第460話―青空とユウゲ〜家庭的なアヒージョ―

アイドルまたスターには大衆の偶像という固定的な概念があるが知らない者からすれば偶像ということに戸惑うものだ。

推しの声優さんが何人もいるが崇拝的のような熱意はなくて、どこか心が渇いている。

テレビの有名人やユーチューバーなども特別視はしていなく学生の頃にはそうした思想まがいな考えを持っている頃から、そうした話題を語ると変な奴と次から話を掛けてこず淘汰とうたされていた。


「これ。兄、ここなんですけど」


ソファーに横並びで座っていた俺と真奈と猫塚さん。

正面のテレビで猫塚が所属しているアイドルグループのライブのブルーレイをわざわざ鞄に入れてあり、持ってきたこと事態は別にいい。


「ど、どうですか!この格好フリフリして可愛いと自分では思うの。

もし、オススメをするならダンス。

激しいダンスで苦労しました分、すごーく上手いなぁと自信があるんですよ。ファンには受けが良かったですけど、お二人の反応は?」


「う、うーん。そうだね……まずは真奈の感想を聞かせてほしいかな」


興味がなくファンや知名度の高さによるフィルター無しの俺からの意見を求めるのは良くしていこうと意欲的で感心するのだが……画面越しからの映像での会場の熱狂や一切のズレなど乱れもなく歌って踊っていく技術には圧巻した。そして心の奥からはスゴイとしか月並みな言葉しか浮かばない。

あまり褒めたことじゃないが真奈の言葉を参考に返そうと考えた。


「ワタシですか?

……えーとごめんなさい。

恥ずかしいですけど会場内でお兄さんと居たら楽しいだろうなぁと想像を膨らませるの夢中になって。

集中して見れなかった」


「「…」」


フムそうなのかなるほど。

どうにか良い言葉を浮ぼうとした思惑は失敗した。

ライブシーンから隣の真奈が静かで、呆然としたように見ていたのは妄想の世界を広げっていたからか。

なにを妄想するかは自由であるが、襲いかかる羞恥心に打ち勝ってでも言わなくてもいいじゃないかと思う。

そうしたことも妄想してしまうほど好意に想っていることに耳に入った俺はおそらく真奈以上に恥ずかしいし

未来の白いスケジュールに目的の予定に記してしまったじゃないかと口にせず留めておく。


「え、えーと黙ってしまうとワタシも恥ずかしいのですけど」


「あっ、ごめん。つい見惚れてしまったというのか」


「そ、そうなの。それは仕方ないですねぇ。見惚れたら」


「あ、ああ」


えーと、なんのアオアルかなこれは?

なかなか混乱した頭の整理がつかすに本音が出てしたまった。または感化されて俺も想ったことを口にせずにいられなくなったのか……ともかく、

オッサンなのに相手が10代にまるで近い世代みたいだ。

真奈はどういう反応しているのか横目で向く。

白々とした頬は赤さは耳の上にも染まっており、一定の間隔で音を刻むようにして動くメトロノームの振り子のように、すじりもじりと耐え忍ぶように

動いていた。

そこまで恥ずかしいなら言わなきゃ良かったじゃないかと思わなくも無いが

別の方向で学習して今後も続けるんだろうなぁ。


「割り込みにくい空気の中すみません、真面目に見てもらえませんか?

イチャついても醜いだけですし」


真奈はともかく俺の見るに耐えれなくなって猫塚さんはわずかに苛立った高い声で現した。


「も、申し訳」


「ご、ごめんなさい」


「……なんですか本当に反省してください!ほら巻き戻すので次はちょんとした意見を期待しますからね」


今度は真奈のコメントを参考にせずに思ったことを口にしたが猫塚さんはなにかを考える素振りで黙ってしまった。もう外は真っ暗になっており

夕食の支度をしないと遅くなると二人に伝えたが。


「それじゃあお兄さんやりましょうか!」


「二人に任せると、調理を放置するかもしれませんので目付役めづけやくとして私も手伝います」


もう一緒に調理をするのが決定事項のように言う真奈に反するように慌てて立ち上がり監視役として助太刀すると猫塚さん。

美少女の二人に手伝ってくれると言うのは料理を作る男性からしたら垂涎すいぜんなシチュエーションのはずなのに、いやそもそも冬雅たちと家で上がるのが日常化になってから

羨ましいとは思えなくなった現在だが

素直に手伝うことは感謝していると純粋に嬉しいのだが不安の以外には無かったのだった。

私服を汚すのも申し訳ないのでエプロン着用は必須だと強く言って二人にエプロンを着用したら調理開始だ。

もう頻繁に泊まる真奈のエプロンは前に一緒に買っており、着けるのを見るたびに同棲している実感が強くなる。

公式的には同棲はしていないのにフシギダネ。

猫塚さんのは以前に真奈が使っていたエプロンを拝借。


「それではなにを作りますか

アニアニ?」


「今夜はアヒージョを作りたいと思います」


「兄がスルーした!?」


いや、だってなんの前触れもなく変な呼称をつけられるのが慣れてしまえば反応もしなくなるよ猫塚さん。

これも耳に聞こえていないように振る舞うことに進む。


「アヒージョか。オレイン酸や野菜など豊富なスペイン料理ですねぇ。

何度か食べたことはあるけど難しくないですか、お兄さん?」


「いや以外にもそうでもないんだな、これが。オリーブオイルとニンニクで他の食材を煮込む料理だからね」


「おぉー!」


まだ作れる料理がそこまで多くない真奈は感嘆の声をもらす。

なんだか真奈にレクチャーして教えるの懐かしく感じるなぁ。すっかり勉強では、すべての科目を逆に教えられてもらっているぐらい立場が逆転しているので斬新に感じた。


「兄って真奈さんには甘いですよね」


「い、いやそんなこと無いよ!」


初夏というのに冷気が台所に吹くような冷たい眼差しを猫塚さんを俺に向けて低い声で言った。

これは、かなり怒ってらっしゃる。


「そ、それじゃあ加熱用で有名かピュアオリーブオイルを150mlミリリットル入れて加熱しようか

猫塚さん?」


「はい」


「真奈はマッシュルームとじゃがいものタカの爪を切って。俺は副菜を作って次の指示を出す」


「任せて、お兄さん」


アヒージョは二人に調理を行わせて俺は副菜のポテトサラダとキムチを載せた冷奴を作る。


「兄そのあと何をすれば?」


「じゃあ…まな板と包丁ここに入れてあるから出してブロコッリーを洗ってから切って加熱。そのあとは、むきエビを鍋に投入」


「お兄さん」


「ジャガイモにレンジ。柔らかくなるまで時間が掛かるから短縮する」


二人は伝えたとおりに孜々しし

とした動きでこなしていく。

ピュアオリーブオイルのあとにニンニク、鷹の爪。それから食材を入れて煮込む。

スムーズに連携したおかげで予定よりも早く進捗していた。


「では最後にエクストラヴァージンオリーブオイルを入れて混ぜたら終わり。さぁ猫塚さん」


「は、はい」


やや緊張ぎみな返事をした猫塚さんはエクストラヴァージンオリーブオイルを上から掛ける。

そうした緊張は、ちょっと促し方が間違ってしまったかなと自省する。


「で、出来ました!?ねぇ兄アヒージョ完成しましたよ」


「はは。ああ、見事なアヒージョだね。さすがは猫塚さんと真奈」


相手をどうしたら喜んでくれるか苦手な俺は拙いながらもを褒める。

すると二人は笑顔を浮かべ羞恥に悶ていた。では皿などに移してテーブルに運んで終わると3人で腰を下ろす。

両手を前に突き合わせるようにして。


「「「いただきます」」」


あえて昔の言葉をするなら夕餉ゆうげ。オリーブオイルをふんだんに使用したスペイン料理の味は。


「オリーブオイルと食材を加えで滋味じみんだ味に遂げたように 美味。すごく

美味しいよ真奈、猫塚さん」


「フフッ、お兄さんの言うとおりに作っただけですよ。そんなに褒められても舞い上がりませんからねぇ」


「本当にそれだね」


そうは言ってはいるが両頬には緩んでおり笑みが隠せていないことに二人は気づいていない。

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