第458話―ディテクション会談G7―
「ではでは皆様方が
大大名クラスのアイドル猫塚李澄という正体を見破られ、どう身の振り方をしていくかを……」
着慣れた執事用の格好に袖を通してから雇用者の部屋に入ると、真っ白なミーティングテーブルの奥に膝をついて手を組むペネお嬢様が俺が入って扉を閉めるタイミングで重々しそうに
告げた。
「ぷはぁー。サファイアの家で出してくれるバナナジュース本当に美味しいんだけどッ!?」
サファイアから見て左ではテーブル前で置かれているバナナジュースを堪能した花恋の発言で空気が一気に和らいでいく。
「な、なにか始まったんだけど……
それに花恋やペネお嬢様は、猫塚李澄の正体を知っていたのか?」
よく姦しげに会話をするから仲の良いと思っていたが猫塚さんの正体を知っていても関係性が変わっていないように窺える。
自分に向けた言葉、またの名を独白と呼ぶ。その独白を直せていない悪い癖をついてしまってから俺は席につく。
「わ、私まだ二人には自分がしている活動を言っていませんよ!?兄のみしか語っていないはずなのに……
あのお二人はどうして私が国民的な
アイドル猫塚李澄と思ったのでしょうか?」
俺よりも急な進行していく状況についてこれず混乱中の猫塚さんは、しどろもどろ尋ねる。
どうもデジャブを頭にモヤかかるように発生している。それを突き詰めようと思考を巡らすと親近感、そして
俺がよく巻き込まれる反応とよく似ていることに気づいた。
なるほど、なるほど。冬雅たちにいつも翻弄されているのと猫塚さんと同類のような仲間意識みたいなのが起きたわけなのか。
ともあれ、いずれ遅かれ早かれ隠していたことを告げないといけない。
なのだけど花恋とペネお嬢様という強いフリーダムの二人がどうして確信的まで察知したのか気になるところ。
「どうやら気づいていない様子。
まるで真田丸の戦いに防備をよく知らずに蛮勇に突撃を仕掛ける雑兵みたいだよ猫塚どの」
そこで真田丸をたとえるのをペネお嬢様らしいけど歴史が苦手な人が伝わっていないと思いますよ。
「……あわわ、そんなことないよペネちゃん。もう、驚いちゃったよ。えっへへでも私は人目につくのが苦手なんだもん。だから猫塚リズム?そんな立派なアイドルじゃないよ」
「取り乱すと被っていた仮面が剥がれているでござるよ猫塚。
そろそろヒビだらけの仮面をはずしてみたらどうでござるか?」
「……ペネちゃん機嫌を損なうかもしれないけど
ニコッととんでもないことを吐くなぁ猫塚さん。ほらペネお嬢様だって、
まさかそこまで鋭利な言葉で来るとは予想していないから頬が引きつっていますよ。
「ほ、本当に機嫌を損ないそうな内容でござるな……。もうヤケになって江戸一番のうつけ者です!
話が逸れてしまいましたけど質問に応えるなら使用人の方――家臣たちに
詳しく人が教えてくれたことや妹と
途中から使用人ところを家臣と言い直していたのを俺は苦笑して聞いていたが、ペネお嬢様の説明に頷ける納得があった。
冬雅たちよりも花恋とペネお嬢様とは年齢が近くて話しやすかったのだろうし、俺も知らないところでお茶会など開いて談笑をほぼ毎日とする仲ではないかと薄々と思っていた。
もし、そうだと仮定すれば声や仕草などの細かい違いには二人が分かっていてテレビ越しであっても猫塚李澄と証拠を集めるのに他の人たちよりも多くを獲得してあって答えに至った。
「し、親友っ!?なんていい響きなんでしょうか……兄もそう思いませんか。そう思いますよね!!」
「ソウダネ」
うん、フシギダネと心中で呟いた。
アイドルなのに友達ワードに強いドーパミンでも分泌でもしているのかと疑いたくなるよ。
ともあれ隠すことなく話が進行することが出来る。名を伏せて打開策を講じていくのとじゃ進捗具合は著しく現れるだろうから。
「はは、落ち着きなよ猫塚。こっちまで嬉しくなるけど普通こっ恥ずかしい反応だよ」
花恋が困ったように人差し指を頬に掻きながら注意と助言が綯い交ぜになって言う。
その内容を耳に入った猫塚さんは、無邪気な笑みざみるみると無くなり羞恥で耳まで赤く染まる。
「そ、そうだよね。あはは」
「そうそう。いったんクールダウンにバナナジュースでも飲んでみるといいよ。あっ、東洋お兄ちゃん甘党だよね!もし良かったら私のバナナジュース飲みませんか?」
「ああ、ありがとう……って飲みかけをそんなナチュラルに簡単に渡そうとしないでくれよ」
危なかった。ここでバナナジュースを飲まないと気兼ねなく言ったことにも驚きだ。
お言葉に甘えていただくことになっていた間接キスを狙ってやっているのか、それとも単純に表裏とかなく純粋な厚意によるものか。
「むぅー、冬雅さんと真奈さんには毎日とやっているのに」
「毎日はやっていないよ花恋様!?」
「ふーん、毎日はやっていない……か。間接キス自体は否定をしないのですね東洋お兄ちゃん?」
ひいっ!?図られてしまった。闇の衣を抱える花恋のニッコリと笑顔が何よりもこわい。
「いずれ赤裸々になりますし、教えてくださいませんかお兄様?」
「兄そんなことをしているのですか。
いくらなんでも好意を持っている女の子の二人にそんなことして恥ずかしくないのですか!!」
語るに落ちった。ペネお嬢様にはどんな気持ちかまでは分からないが嫉妬というよりも興味本位が現れている。
猫塚さんは幻滅したと言葉にも態度にも表れていて精神を言葉という刃で斬られたように痛みが襲う。
それから詰問は続けられて三人から出した条件を一部だけ呑むことで解決した。とくに一番、危ない案がペネお嬢様だった。確実にからかわれているのと分かる酷い提案で、隣の二人に刺激されて大変だった。
「ハァー……俺いない方がスムーズに進んだような気がしてならない」
「はは、うん。それを言われたら否定が出来ない」
今は、落ち着いている猫塚さん。
本当にそうだよ。同行していなかったら無条理に近い条件を呑まない未来があったんだ。こういうとき
タイムマシンが手に入れたいと渇望が沸々と湧き上がる。
「それじゃあ罪滅ぼしに一つ。実はですね兄に秘密にしていましたけど公園の前でたまたま偶然にエンカウントしたわけじゃないんですよ」
「ああ、それなら半分そうじゃないかと思っていた。この出案したのは花恋だと思うけど、どう?」
「うん。せっかくなら待ち伏せして3人で行ったほうがリア充みたいでわーい、わーいと盛り上がるって
花恋が言っていました」
前にあったやり取りを思い起こして楽しそうに笑みを浮かぶ猫塚さん。
なぜか人気アイドルなのに、ぼっちな彼女には舞い上がるような内容だから飛びついたのだろう。
「ちょっと猫塚それ秘密だって私なんども何度も口うるさく言ったのに」
「いいじゃないですか花恋ちゃん。
でしたら次は私の学園生活の何をしているか教えてあげます。
朝の登校は、昨日を直帰した下校とは変わらずに同じ道を機械的に――」
「うわぁぁ!?もういいよ猫塚。
聞いていると悲しくなってくるし、序盤あたりで涙目になるぐらいなら許してあげるから。ねぇ」
花恋が静止の声を掛けてくれたおかげでリアルな自虐を聞かずに済む。
俺も学生の頃には基本的に、ぼっちだったけど恐らく彼女よりもひどい生活していないと思う。
アイドルには表には出さないように配慮して苦痛を隠していると思われるけど猫塚さんの明るさの裏にはどんな
闇があるのか知りたいような知っていいのか
「そうですね。あれは楽しくないダークワールドですからね。
じゃあアイドルとしてバレてしまいましたし本名を名乗っておきたいと思います。私はアイドルネームじゃない名は……
それ以外に、なにかを譲渡が出来そうな情報を出そうと考える素振りをした猫塚さんは席についたままで一人一人と目を送ってから自らの本名を口にするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます