第453話―勉強会にイブンシがいます!―
軽く身体を動かすと知らず知らずに額には汗が出る
まだクーラーが稼働するまで先になりそうだ。
居室の窓から四ミリほど開いた窓から、ときおり風が吹いており暑さよりも温もりを運んでくる。
時刻は17 時に回っているが陽は地平線に落ちるのが遅く、まだ
この時間帯には
それは身近にそんな人がいる者としては対応を要求されることにもなる。
「肩が凝ってきちゃったなぁ……
そうだ!東洋お兄ちゃん肩こりしてほしいなぁ」
勉強をしていた花恋が右の肩を回して悩んでいるアピールをする。
そんな要求をする花恋に俺はこれで何度目になるのか数えていたが注文が多すぎて数えるのやめた。
注文の多い料理店ならぬ注文の多い花恋かなと心に一句。
「期待に
そうだ!俺の代わりに冬雅やってくれるか?」
片手を手のひらに置いてひらめいた案で肩のマッサージを冬雅に
押し付ける、という形でお願いすることにした。
年頃の女の子が男性に肩マッサージを要求というレッドゾーンに近い誘惑。
この手のやり口は経験してある。
「お兄ちゃんの命令でしたら断れませんねぇ。全力でやります」
「えぇっー!?冬雅さん頼りすぎじゃん。じゃあ、もういいよ。
反抗期になってもいいのかあ」
冬雅が椅子を引いて立ち上がるのを横目で見た花恋は引っ込めた。
これが叶えられ、もしアニメだったら美少女2人が仲良くし微笑ましくなる場面に浄化し、そして呟くのだ尊いと、だがしかし拝めることが出来ないのは残念だ。
「また、そんなバカなこといつまでもしないで麦茶をお願いしていいですか?喉が渇いて…」
いつもの流れに呆れ果てたと言わんばかりに挙手して麦茶を求めたのは
現在はペネお嬢様の義理の妹として暮らしており仲良くさせてもらっているようだ。
冬雅たちが通っていた進学校に彼女は一年生として学生をしている。
前は、どこか達観してたが明るくなって年相応に
「了解した。すぐに麦茶を5分内に淹れて持って行くよ。
それで花恋、不死川さん、ペネお嬢様、猫塚さんも喉を乾いていない。麦茶はいるかい?」
手を床に力を入れると心中よっこらしょと言葉を発しないで立ち上がる。
もう20代後半なのでおっさんな俺は立ち上がるだけでも一苦労…でもないけど本当は淹れに行くのがただただ行きたくないだけなのだ。
けれど二十代後半に迫れば何故か自分からおっさんとかおばさんアピールが激しくなる。実際になってみないと
分からないけど三十路になれば自分からおっさんと自虐しなくなり年齢を偽りするだろう。
来年頃には俺はこう言うだろう――どうも三十路になったばかりの二十歳です!……キツイなぁ。
「じゃあ、麦茶を飲もうかな?東洋お兄ちゃんお願いします」
2年生になって他の友達が少ないのか花恋と書いて[かな]と呼ぶ花恋は参考書を睨め子していた顔を上げて
弾けんばかりの笑顔で言う。
「よろー。ついでに菓子も願いますわ兄ちゃん」
勉強が苦手な不死川さんはお菓子を欲しがっている!
冬雅たちと俺も甘党なので菓子のストックは山ほど積もっているが好みを選ぶの難しいなぁ。
「頼み申した兄様」
時々ボソッとサムライ語でデレる隣のペネロペさん。
サムライ語をロシア語にペネロペさんをアリーシャさんを入れ替えると最近で勢いがある人気のラノベタイトルになります。
「あっ、嬉しいです!お願いします」
ぼっちの現役アイドルの猫塚さんは営業スマイルを浮かべて頭を浅く下げて感謝をした。この返事はどこか
慣れた感じがあった。もしかしてライブの裏側でスタッフに毎回ドリンクを差し出しているのだろうか?
そんなことよりも比翼。
(みんなと仲良くやっているか不安だったけど比翼なんだかんだで楽しそうにしているなぁ)
比翼たち女子高生たちは勉強会を俺のリビングで開く流れになったと家に上がった比翼が説明した。
コスプレじゃなくリアルの制服をした比翼が充実した談笑を一瞥するたびに妙な琴線が触れるようでもあり感傷的にもなってしまう。
マグカップと客用のカップを取り出してから台所へ入り、スーパーで売っている普通の麦茶を沸かしたのを注ぐ。
カップを人数に置いて俺は元の席へ戻っていく。向かいには冬雅が俺を見つめながら微笑んでいる。
俺と冬雅は勉強会を邪魔にならないよう少し離れて研鑽を励んでいる。
俺はいつものように小説を書く。
冬雅というとイラストを遮二無二と描いている。それは斬新で、冬雅が自分の意志で夢を追いかけているのが目の前で見れるのは何の視点かなのか感動している。
花恋たち5人は囲むように円卓のテーブルに勉強中だ。カラー違いのクッションに腰を下ろしており座り方は人それぞれ違っていた。
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