第452話―不可視エクスペンスの荒波10―
それを見た瞬間、俺の手が震え始めて血の気が引いていくのが伝わる。
ラインで向かっていると真奈が送ってきて数時間後して訪れた。
いつもの実家みたいな雰囲気で「ただいま」と言われた後に真奈は振り返ると、どうしたのか屈んでなにを漁る。
どうやらドアについている
真奈は回収したあと立ち上がって転回すると「はい」と言って差し出す。
和みますなぁと思い受け取って視線を下げて確認――
光熱費の領収書とスーパーのチラシ。
「お兄さん、また何かトラブル発生ですか?」
「またって、物語の主人公じゃあるまいし現実にそんなことが起きたら
大変だから」
「それブーメランだしフラグだよ!?
もう無自覚な発言している主人公お兄さんには意識するべきだと思います」
手に腰に当てて不満と忠告とも取れる発言をする。
ブーメランとフラグ…合体してブーメランフラグと命名して、
自分の胸に当てて聞いてみるがブーメランフラグというのをやはり思い当たる節がない。
「それよりも真奈なんだか会うのが久し振りだね」
「フフッ実はそうでもないですよ、お兄さん。一週間前が最後ですし
連絡は欠かさずにやっているじゃないですか。
でも顔を会っていないのは正直にワタシも寂しいかったよ……フフッ。
講義や付き合いで、しばらく会っていなかったから今日はいっぱい遊びましょうねぇ………デ、デート」
真奈は冬雅とは違う形でアプローチをする。素直な好意によるのを同じだけど度合いなどは必ずに同じにはならない。真奈の場合は勇気を振り絞る
けど全力ではない。一般的には好きな相手に好意を出すのに真奈の方がそれが普通にそこまでなれないのは羞恥心で自然にブレーキをかけてしまう
からだ。
冬雅も想いの丈をすべてをぶつけてはいないと思うが控えめに言っても九割だと思うので実質的に全力で挑んでいる解釈でオールオーケ!
「真奈……」
「スキありです!」
真奈は光熱費の領収書を奪った。
「あっ!」
「何を見てフリーズしたのか見ておきたいので強奪。さて何を見ていたのかワタシも拝見を……た、たかい!?」
そう高いのだ。
冬雅や真奈と三好さんの二年前に遊びに来ても使用率が上がって支払いの
額も増えていく。
それでも微々たるものと思っていたが比翼を保護(実際は犯罪なので現実は決して駄目。未成年誘拐罪にあたる)したり花恋たちと遊びに来たり(これは…パパ活だろうか?)…いや淫行?
毎日と誰かが来て孤独を感じたことがない代償に電気代や水道代は飛躍的に上がっていった。
「い、いや真奈これは許容範囲だよ。
一般の家庭ではこれが普通なんだ、うん普通なんだよ」
通常の3倍であるが俺は普通と強く主張してこの場をの乗り切ろうとした。
いったい何を乗り切ろうとしているのだろうか俺は。
「ありえませんから!
経済学も学んでいます。ついでに光熱費をデータも見てきています。
そのデータを参照して、お兄さんのは高すぎる。負担が多いのなら
ワタシぐらい相談して。いつでも
力になってあげますから」
「気持ちは嬉しいけど、本当に平気だから。そんなに心配しなくてもいいよ。それよりも手を繋ぎがないのか」
こんな恥ずかしいことは普段なら絶対に俺は口にしたくない。
けど気を向けるには強い興味を惹かれるなにかが必要で思い浮かんだのが、
それしかなかった。貧弱な手札なので、そう切るしかなかった。
「うん、すぐに繋ぎたい!
……そう、じゃなくて。お兄さん話題をすぐ変えようとしないで。
決めました節約デートします」
なにか新たなる言葉を作り出したよ。
節約デートか…ワクワクよりも過剰に接触されて雰囲気に飲まれないか不安しか無い。
「あの、普通の節約して普通にデートがいいと思うのですが」
「お兄さんの口から普通のデート…」
よし!夢心地そうに弛緩する真奈なら今の内に普通の条約を結んで平穏な生活を手に入れるんだ。
これ以上の距離感は、なんだか誘惑的に負けそうで怖いので。
「そう、普通のデート。
並木通りを並んで歩いたりして談笑や喫茶店で見つめ合ったりして」
「それはユートピアですねぇ」
ユートピアと表現をしましたか。
さらに果敢に攻めていく。
「そうユートピア。
1516年にイギリスの思想家であるトマス・モアが本を出して理想的な社会の理想郷という概念を生み出しとされた
ように俺と真奈で二人の世界で実現
するのもありかと」
「ユートピアァァ!」
「それで節約の条件だけど。
一つの空間だけでいることで節電対策に、2つ目は各自にペットボトルなど持参すればコーヒーとか出さずに
節水に。
3つ目は夕食の時間帯には帰ってもらい俺の部屋での食事をしないことでガスの使用量を減らす。
これならどうかな?」
節約を取り始めるにあたって絶対に気をつけるべきことは必要以上のストレスにならないのと追い詰めること。
たとえば知識の投資である本を買うのを控えれば後々から大変。なので参考書も大事だけど倫理やストレス解消のためにもラノベやマンガは必要。
それの単純に張り切って、節約の条件を決めると住んでいる相手や遊びに来る人にも嫌な気持ちをさせてしまう。
まずは試験的に行って小さな成功と失敗を繰り返していき 段階的に行う。
要点をまとめると無理しないで簡単なことからトライアンドエラーして改善してから進んでいく。
我ながら理論的で理想的なアイデアだと自負している。さぁ、真奈よ頷いてひざまつくがいい。
「それ賛成です。
でも、お兄さんが言う第三の条件には飲めません。決して、断固として!」
「……へっ?」
1つ目と2つ目を飲んではくれたが最後の条件には強い抵抗を示した。
ど、ドウシテ?
「それだと、お兄さんと居られる時間が減ります。ワタシも光熱費を半分だけですけど払います!」
まさか一緒に負担をしようと言うとは思いもしなかった。
「いや駄目だよ。
まだ付き合ってもいないんだから真奈にはそこまで負担しなくても。
それに二人だけのユートピアの件ですけど冷静になって考えたら難しいと判断しました。すみません」
「いえ、お兄さんと話したりイチャつける料金と考えたら妥当だと思いますよ。それとユートピアの件は
いつか二人だけの世界を作るのもワタシの野暮ですので、お兄さんが引いても実現するつもりだから」
お互いなかなか引かずに俺と真奈は玄関で議論を続けた。
それから花恋や不死川さんが遊びに来て関心と引かれてしまったが一顧だにせず俺と真奈は論破しようと続ける。
最終的には折衷案として中途半端な条件で無理に解決にとなった。
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