第446話―不可避エクスペンスの荒波4―
挨拶や世間話をほどほどに単刀直入に要件を伝える。
しかし彼女のメリットはないため俺はなにをするのか具体的に説明を端折らずにしても快く力添えになりますと応えてくれた。いきなりのお願いであったから断れると思ったが意外な反応に俺は驚いた。なので数回ほど本当にいいのですかと確認したりしてみた。
お店は閑古鳥が鳴いていて退屈だったと愚痴のようなことをこぼし、だから手伝えることが出来るのだと述べた。
協力を仰いでいる立場なのに、
なんども確認するのは煩雑だったと後で反省する。
連絡を切ってから30分ほど経った頃か彼女は呼び鈴を押して家に訪れた。
「三好さん助かります。
冬雅のためにわざわざ来てくれて、本当にありがとうございます。
さぁ中にどうぞ」
「そう頭を下げないでくださいよ。
友達ですのでモデルぐらいならいつでも協力しますから。
それじゃあ、お邪魔します」
そう言って微笑む三好茜。彼女の実家は、ここからそう遠くない位置に、あかね書店。出費が増えて、金策として比翼の実家にバイトしていたのが、ずっと前のように懐かしくなる。
三好さんはドアを音を立てずに閉めると玄関に上がる。洗面所に案内をして手をゆっくり時間をかけて洗う彼女の背を見て改めて私服姿を眺める。
女の子コーデを観察するのもどうかと思ったが三好さんの私服なんて滅多に見ていなく珍しかったからだと思う。
無地のシャツにカーディガンと8分丈のパンツとモデルのようなコーデを纏っているが理知的な印象が強く表に出ていた。
入念に洗い終わると三好さんと居間に入ると準備に取り掛かっていた冬雅は顔を上げると廊下から入ってきた出入り口の方に向く。
「わぁっ!?大人なファッションをしている
遅い時間にお願いしてごめんねぇ。
なんだか久し振り…だよねぇ?」
「どこを答えたいいのか迷いますけど順次通りに答えると。
趣旨をお聞きしたので見合うように、私なりにコーデして来ました。
お礼でしたら冬雅のお兄さんに幾度も受けましたので結構ですよ。
懐かしさに浸るのは、やっぱり大学が別々ですので必然的に接触する回数も減っていくので、そう感じるのだと
思いますし休日は必ずライン使用しておりますし疑問視しなくてもいいのですが」
そういえば、この二人が隣に真奈がいないで話をするのも珍しいことにも思える。俺の考えでは親友と認識はしているが一対一で会話をあまりみたことがないので実はそんなに接点がなく
仲のいい友達だから友達というだけではないかと少し心配していた。
しかしそんな心配は、ただの杞憂であった。三好さんは教鞭の代わりなのか人差し指を立てて回しながら質問の一つ一つを答えていく。
けっこう
「えへへ、そうかも。それじゃあ早速お願いしていいかな?」
「その為に来たからねぇ。ここに置かれている椅子を座ればいいのですね」
「そうだよ」
三好さんが指を向けて示すのは窓際で真ん中には木製のイスがポツンと置かれている。やや斜めに向けられており
冬雅の視覚的な狙いがあるのだろう。
指示に従い三好さんは腰を据える。
「「「………」」」
ふむ騒がしかった空間から数秒には静寂が空間を支配している。
2人のこういう性質が生じている。
笑顔や気遣いが絶えることない冬雅の天真爛漫のポジティブを持つか集中力は凄まじく一度そう没頭すれば他のことに遮断して話さないし言葉が届くことはない。
次に三好さんは調和という能力が秀でており、たとえばそれぞれの意見がぶつかりあっても話を総括させて妥協案を出し示すことがあると思える。
でも、それを卓越性があってメリットばかりではないのが悲しい現実のさが。関係をさらに良くしようと踏み込むことになかなかしようとしない。
もし誰かに要約して説明をするなら俺はこう説明するだろう。確実に成功する戦術はとるが賭けには手を出さないイメージだろう。
「はは、なんだか見つめられると照れてしまいますねぇ。穴があったら入りたい心境です」
とうとう我慢が出来ず三好さんは苦笑して言った。よくみれば頬が淡くて赤らめていた。
「はげしく同意見ですよ三好さん。
俺なんか冬雅の手作りを本人がニコニコしている前で食べないといけない時が恥ずかしいかったですね。
ともあれ人事を尽くして天命を待つの天命を待つと思って気楽に何か考えてみたらどうでしょうか?」
「勧められて即実行は難しいものですけど。
これは心頭滅却すれば火もまた涼しにならぬ、恥じらいもまた無に」
「
「それ悪い意味のことわざ。
いくらおとなしい私でも冬雅のお兄さんに窮鼠猫を噛むことがありますよ」
ふむ、微笑んでいるがそれ以上をからかうと反撃をすると示唆していると解釈が出来る。
これって顔は笑って心は怒っているのか推測しても答えが出そうにもなさそうだ。ともあれ、なんだか三好さんと会話して所々にことわざが入っている。そんな、ことわざ乱発していたら俺の隣に鈴を転がした声が耳に入る。
「うらやましいです」
冬雅の声だ。その視線はタブレット画面ときには三好さんを眺めて戻すの繰り返しであった。
おそらく、これが終わったあとがなんとなく想像がつく。三好さんとしたことをそのまま採用して冬雅は清水の舞台から飛び降りる覚悟でイチャイチャしようとするのは明白だろう。
豆知識、先程のことわざに清水の舞台を使ったが昔の時代では比喩的な意味ではなく恋を成就せんと本当に敢行した人がいた。
そしてモデルの役目を果たした三好さんを家まで送って家に戻ると。
「お、お兄ちゃんなかなか名案がなかったので、ことわざのしりとりしましょう。負けた人には勝った人の言うことを何でも聞くという条件で」
「普通にことわざしりとりで良くないかな冬雅さん!?」
そんな条件で行おうとしたらイベント発生するじゃないか。
それからも冬雅は、諦めずに強く主張していたがなかなか折れない俺に
次第に条件は負けたら膝枕となった。
条件が低くなって膝枕であるなら呑んでいたら危うい展開になっていたかもしれないと思うと俺は安堵のため息を吐くのであった。
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