第445話―不可避エクスペンスの荒波3―
意思疎通の生き違いがあったが冬雅の心意気を俺は買うことにした。
ここまで夢を追うとする冬雅を応援するのは俺の中で決定事項だ。
去年は大学受験で忙しく、イラストを上達するための貴重な
「美少女を描くなら知り合いにお願いした方がいいだろうね。真奈とか不死川さんなら快く承諾してくれるはず
だよ」
「うん。けど、わたしかま描きたいのは知的キャラの美少女なの」
落としたタブレットとペンを丁寧にテーブルを置く冬雅は、そのあと椅子を引いて俺の向かいに座る。
「リクエストは知的キャラ…か。
当て嵌まりそうな人は、真奈とかけっこう多くいるけど能力とかじゃなく外見での印象を与える知的キャラこと」
「はい、そんな感じですね。
わたしたちの間では真奈は人類を超えた途方も無いイメージありますけど
知らない人からすれば神の領域じゃなく活発そうで陽キャラのイメージだなと感じます。客観的に近い、わたしがそう捉える人が多そうな
印象ですけど」
「とうとう冬雅まで真奈をそんなふうに見ていたのか…それは、俺も同意見と言いたいところだけど。
勝手な印象だと危なかっしいイメージがあるからね。
解決案をひとつ、普通にメガネをかけるとかならいけないかな?」
「やってみないとわからないですけど難しいと思います。
やっぱり誰が見てもこの人は知的キャラだって思わせるのが欲しいですね」
すぐに浮かんだ案をやんわりの言葉と微笑で断れた。大事な話の途中なんだけど、そんな小さな特別な感情で表れるのを垣間見ると恋人に向けるの顔ってこんな風なのかなと考えてしまう。
まだ恋人になっていないのに、なにを妄想しているのか俺は。
浮ついた感情をそっぽを向いて俺は腕を組んで天井を仰ぎながら考える。
条件に合うのは無いかを…。
「あれ?それって難しくないかな。
なんとなくドラマで出てきそうな
優踏生だと分かるグルグルとした
メガネとか片手には辞書を抱えているザ知的キャラって普通に
絶滅危惧種な気がするんだけど」
「あはは、ですねぇ。わたしも高校ではコスプレした人はいても実物は見たことがないですからね。
普通に金髪とかしている人もいたし」
「へぇ!そうなのか」
なんちゃって進学校じゃなく本物の進学校であっても髪を染める人もいることか。髪を別の色に染めたかまで
セリフしていないが、そう解釈していいだろう。
「うーん、そうなると思いあたる人がいない。いや、いた。知的そうなキャラの人が!」
「本当ですか、お兄ちゃん」
「ああ、でもグルグルメガネや辞書を装備していないけど似合いそうな
人ならいる。
さっそく連絡してみるよ」
「えへへ、やっぱりいざとなったら頼りになりますねぇ。お願いします!」
冬雅がいるなら今からお願いをする相手も講義が終わっているはず。
もし働いているなら迷惑を被ることになる。
忙しくない時間を見計らってから電話をかけるのだが冬雅の協力ためなら
と躊躇いが薄らいでいたのもある。
「あっ、こんばんは。いきなりですけどお願いがあるのですが」
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