第438話―ファンタズム・ステージ―

現実を参考になったが赤の他人からの配慮がゼロの意見も欲しくコメント欄を確認する。

ネットの方では、なかなかの賛否はあったもののコメントは短く温かいコメントもあれば誤字脱字などもあるが

熱意のあるコメントは少ない。

執筆活動して暇があれば修正などをして邁進していた。そして土曜日

箙瀬比翼えびらせひよが訪れた。


「じゃあーん!ねぇ、ねぇ驚いた?

かつて、おねぇちゃん達が身に纏っていた柘榴坂ザクロざか高校の制服」


冬雅と真奈での連携で完成した、うどんに舌鼓を打ち満足を満ちた昼下りのリビング。

もう当たり前のようにいる冬雅と真奈。そして自宅での仕事にシフトチェンジなった移山、それと比翼ひよが遊びにきていた。

これには人数が増えてしまったため昼食は想定外になったと移山は口にしていたがガチガチ想定内である。

前もって、アポ無しでの急な訪問があっても人数分は作れるように前もって買ってある。…本当に、いきなり来られるから前もって用意してある自分が

慣れて受け入れている自分に、

これでいいのかとツッコミたい。

前もって報せてくれとか、サプライズは特別日にとか、せめて俺にだけ相談とかしてほしいものだ。まぁ言っても聞いてくれなかったから諦めたけど。

起きたことに振り返って嘆くのは、

これぐらいにして

ドアを開けてリビングに飛び込むと、そのまま2回転を決める比翼。


「きゃーー!

高校の制服をし比翼かわいい。

後で一緒を写真を取らせてほしいよ。

いえ、まずは連射しなくちゃ」


「なんだか感慨深い…立派になったねぇ比翼。フフッ、年なのかな?

涙脆なみだもろくなってきた」


有言実行、スマホのカメラで冬雅は通うことになった比翼の新しい制服に

向けて連射を始める。

感慨無量、ハンカチを取り出して成長した比翼の姿に涙を拭いながら愛情のある言葉をする真奈。

盛り上がるのも仕方ないことだろう。

最悪な道を進むことしか知らなかった子供をどうにかしようとして劣悪的な環境から変えようとした。

だからなのか俺と近い感情を二人は持っているし、もしそうだとすれば

比翼を保護者的な立場と妹のように

面倒を見ていた。まぁ、俺はほとんど丸投げをしたようなものだから偉そうなことは言えないが。

ともあれ比翼が言ったようにかつて冬雅と真奈たちが通っていた

なんちゃって進学校ではなく本物の

偏差値が高めの柘榴坂高校に合格して制服を纏うのは感激しない方が

無理があるほうだ。


「お、おねぇちゃん…引いてしまうぐらいに喜びすぎだよ。たかだか学校に合格して制服を発表会みたいに見せつけようとしただけなのに…大げさ!」


その反応からして想像したよりも感動したことに若干に引き気味の比翼。

頬は緩んで微苦笑して頬は赤い。

まさか、ここまで反応されるとは思いもせず嬉しい反面、恥ずかしくて困っているのだろう。

対応に困っており俺にさり気なく視線で助け舟を求めてきた。


「……くっ。離れて暮らして心配していたけど元気な姿を見て安心して

制服すがた……見守っていた程度の俺にも、ここまで感動が込み上げってくるものがあるとは!?」


ダメだ限界だ我慢が出来ずに涙が勝手に溢れてくる。


「えぇぇぇッ、おにいちゃんも!?

これ誰が事態の収拾すれば」


「そうなれば部外者の俺が回るわけだな。おーい、大人ども高校生が

困っているぞ。

その辺にしておけよ」


パンパンと手のひらを叩いて暴走気味な冬雅の連射を妨げるように前に回って壁になる移山。

ブレーキなのは冬雅も理解はしているが、理屈や自制で止まるはずがなく右に回ってと見せかけて左に急変更して

シャッター音の雨を鳴らして

取り続ける。


「フェイトだと!?クソ、追いついてみせる」


「デスクワークがメインだった人が、神速のわたしに追いつくとでも?

お兄ちゃん早く逢いたい一心で、

いつも走り続けて家路につこうとした足に勝てるとでも?」


一体なにをしているのだろうか。

とくに冬雅それ自慢気に言っているけど普通の人が聞いたらドン引きだから自覚してくださいね。

あの豪快で大抵のことには驚かない移山が驚いて呆れているし。


「あっ!もう駄目ですよ、お兄さん。手なんかで目をこするのは」


高校ほとんど一緒だった真奈は、いまさら冬雅が常識のネジがはずれた言動をみせても気にしておらずにある。

それよりも菌が目に入っては駄目だと、やんわりと怒られ真奈はハンカチで俺の目頭を慎重にあてて丁寧に拭い始めたのだった。


「あっ、悪い。汚いのを拭かせてしまって気分を害しただろう?」


「そんなこと無いよ。

ど、どっちかと言えば心配しているし後から…あ、あの。

ドキドキが早くなって落ちつない

ぐらいだから」


あの自分から恥ずかしいことを言っているのに照れるのは、どうかと俺は思うのです。


「もういい加減にしてください。

冬雅おねぇちゃんはどれだけ撮れば気が済むのですか?本当にやめてくださいよ残りは、

おにいちゃんツーショット撮るとか。

それと…そこの夫婦の二人もイチャつかない!見ていて恥ずかしくなる」


いつの間にかカオスな状況に、それを壊したのは主役である比翼。

暴走していた冬雅は、目を大きく見開いて確かにそれは一理あると容易に読まれる顔でカメラを下げる。

え、待って残りことはツーショットをたくさん撮られるの?

そしてビシッと俺たちにロックオンと人差し指を向けて注意をする比翼。

ど、どこが夫婦なのか分からないのだけど……内心そう思っていたけど。


「ち、違うよお兄さんと夫婦なんて…まだ、、夫婦なんて呼ばれる関係じゃないし、今は、、親友でそこまで進んでいないからねぇ」


ちょっと気になった単語がいくつか聞こえた。まだとか今はとまくし立てていましたが今後そこまで進展する

予定していたのだろうか?

そうであるなら、より一層の自制心を持ってそんな展開にならないよう回避しておかないといけない。

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