第432話―犬と幼なじみの黄金週間5―
5月5日ゴールデンウィーク最終日。
まだ俺は実感していないが二人は
その二人は、その認識をしていると前に質問をしてみたが当たり前だが実感はあると主張しているが甚だ疑わしい。
もし俺が間違いを犯すという可能性を完全に排除したような行動をするのだ。
笑顔を向けてほしいだけで犬になったり、幼なじみだと言って肩に顔を乗せるなどなど昨年よりもイチャイチャしてくる。きっと、無意識に二人が気を向けようと争っての結果だろうけど少しは控えるというものを覚えてもらいたい。
「ヒュヴァー、フオメンタ!
天気は微妙ですけど、お兄ちゃんの顔を見れて心は晴れやかです!
えへへ、なんて…すごく大好きです」
目覚めると再び日課となったベランダの挨拶。大きく変化したのは、冬雅が相思相愛という点。拍車がかかり好意を以前とは比較にはならないほど強くなっている。
「今日も元気だね冬雅。おはよう、
それだけの語学力があれば世界で活躍が出来るそうだね」
「お兄ちゃんがいればロケット開発も出来る勢いです!スルーされたので自分から今日の挨拶ヒュヴァーフオメンタを言いますと、フィンランドのおはようございます!なんですよ」
「なるほど、それがフィンランドの挨拶なのか。
冗談抜きで冬雅の語学力には
わざとらしく俺は肩を竦めてみせた。
やってみて外国人かと自分に対して突っ込みたくなる行動なのだが
大人らしい様子を見せようと小さな矜持で、こうして泰然と構えた。
「そんな事ないですよ。
簡単な言葉なら話せても日常会話となると厳しくて、電車のように速くて流暢に話されると聞き取るのに断片的になってしまいまし、ですのでお兄ちゃんがわたしをそこまで尊敬されるほどじゃありませんよ」
「えっ、あの冬雅が謙遜して…いる…だと!?」
「ちょ、ちょっと!お兄ちゃんそれ心外ですよ。
お兄ちゃんの中でのわたしってどんな天狗なのですか?」
両手を上下にシェアして批判をする冬雅。それが愛らしく微笑ましい姿に頬が緩みそうになるが堪える。
「ごめん、ごめん。でも天狗って源義経が幼少時代では剣術の師だって伝説で有名らしいよ」
「そうなのですか。話が脱線ましたけど、ノルマの告白は終えました。
お兄ちゃんそろそろ儀式の時間です」
白い手が俺に向けて伸ばした。その儀式という言葉の裏にある定義は俺は知っている。
以外はもっとロマンチックなタイミングを図ってから促すものだと思った。
誘われるまま俺は手すりに近づいて落ちない気をつけながら手を伸ばす。
「あっ!お兄ちゃん危ないので少し離れてください!!」
「ああ、分かった」
手すりに上半身を乗せるなどして冬雅から過ぎて注意をされる。これも日課として復活した手のひらと手のひらを合わせるという儀式。
そう表現を俺たちはしているが、ようするに手のひらを合わせるだけ一種のイチャイチャ。
手のひらから伝ってくる温度や柔らかさか。動悸が早くなっているのと別に頭が整理されるように落ち着いている。
不思議なものだった。こうしているだけで多幸感で満ちてしまうのだから。
「「………」」
目と目。視線は必然的に想い人である冬雅を見る。それは冬雅も同じく俺を見ている。俺は、なるべく熱意が無いように気をつけて互いに見つめ合う。
「えへへ、恥ずかしくなりますねぇ」
「俺は…そうでも無いけど」
こんな状態なのに、どうして目を話せず話しかける事が出来るのか思ったが、そもそも容姿端麗な冬雅と美貌とは無縁な俺の顔では、そうなるのか。
「そういうことにしておくますねぇ。あっ!名残惜しいてますけど、
そろそろ終わりにしましょうか」
隣に住む冬雅は途中から目を見開いて手を離してベランダから自室に入って戻っていく。窓を閉めようとする前に冬雅は右手を挙げて小さく手を振る。
「また次の明日も。朝食は家で食べるので大丈夫。すぐに行くので、しばらく待っていてくださいねぇ」
「ああ。慌てずにゆっくりで」
返事を返すと優しく微笑むと窓を閉じてから冬雅は自室に出る。俺は反転をして硬直することになった。
冬雅が目を見開いた謎は振り返ってから理解した。真奈が複雑そうに
していた。視線に気づいて真奈は硬い笑顔を作る。
とりあえず俺はベランダから自室におもむろに入った。
「真奈おはよう」
「うん。おはよう」
一緒に寝ている際は、しつこいぐらいに質問攻めをしていたのに今は本音を出さないよう笑顔を作っていた。
「えーと…手を繋ごうか?」
「その前に、お兄さん!ワタシにも手と手を合わせる儀式したい」
儀式という単語まで聞こえてしまったか!どこまで話を聞いてしまったのか訊くのが分からない。
「わ、分かった…」
希望するのが真奈じゃなかったら俺は断っていただろう。色々と迷惑を被ったりと世話を焼かれている想い人と同じぐらいに想っている。
なので俺は冬雅に心の中で何度も謝罪をしながら俺は手を伸ばして真奈の手のひらを合わせるように密着した。
「わあぁ…お兄さんの手のひら大きいんですねぇ」
「真奈…いつも手を繋いでいるから分かるじゃないのか」
「でも、なんだか大きいの。指を伸ばして大きさとか太さを目でよく比較なんか出来るし。やってみると凄くドキドキする」
そうなのか。でも素直な気持ちを聞いた側からすへば恥ずかしくて次の言葉を述べられることなんて出来そうにない。真奈は俺がなかなか喋らないことに不思議そうに首を傾げていたが、
スキル読心術によって読まれるのは、暫くしてから。真奈の白磁な肌はまるで沸騰をしたように赤くなって顔を伏せて無言になるのであった。
この空間は、甘酸っぱさで空気が充満して支配された。
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