第423話―無計画な通学デート―
沈んでいた眠りの
まだ眠気がついて残っている感覚。瞼の裏側から窓越しからの陽光、この先に行動するパターンを
身体を起こすか、目を開くかを。ぼんやりとして思考は眠気で、あまり回らずに俺は
はっきりしない視界に入るのは……美少女の寝顔でした。
「近い!?…そうだった一緒に」
あまりにも衝撃が大きく動悸が激しくなり焦ってしまったが真奈が泊まっていたんだと思い出す。…ふむ、ここは一旦に冷静になろう。今日が初めてではないのだから俺は願うように動悸を鎮まってほしいと心の中で呟く。
意識すれば収まらないので隅に追いやることにした。おかげで覚めてしまった。
「うーん、怖いのは苦手なのに…」
どんな夢を見ているのか真奈の寝言に起こさないように気をつけて立ち上がるとしますか。昨日は冬雅の引っ越しで張り切っていたから疲れているのだろう。
おそらく真奈は体力が同世代よりも著しく低く疲れてしまい深い眠りについたのだろう。疲弊していなかったら俺よりも早く目覚めているからなぁ。
(引っ越し…もしかしてベランダに冬雅が待っているかもしれない)
カーテンを開いて、その予想は的中。確信とはいかないが待っているだろうなぁと九分九厘に近い予想はあったので大きな驚きはなかった。隣のベランダで現れるのを待っていたことよりも
冬雅が一段と女の子らしくなっていることに驚いている。
待っている間に本を読んでいる。少し距離があって装丁まで見えないが色からして
ベランダを出ると冬雅は視線を上げて花が咲くような笑みを浮かべる。うん、可愛いです。しおりを本に挟んで閉じると持ったまま手を振り上げる。
「おはようございます、お兄ちゃん。今日もいい天気ですねぇ。わたしの心も今日の天候と同じく晴ればれとしているよ。えへへ、大好きです」
挨拶と告白をする冬雅は、自分の発言が後になって羞恥で頬が赤らめる。
けど視線は決して逸らそうとせず真っ直ぐと見つめてくる。溢れんばかりの好意をありのままに快活に言った。
「お、おはよう冬雅」
「お兄ちゃん、どうしたのですか?目を逸らすなんて…あっ!も、もしかすると照れて……いるのですか」
「ま、まさか。俺が照れるなんて無いよ」
はい、嘘を発言しました、本音は照れていました。となりのベランダで挨拶が久しぶりでドキっとしたのもあるけど、冬雅との成長したのもある。それに女子大学生となった冬雅と距離間が以前よりも近づいた…かもしれない曖昧なのもあった。
ようするに俺は前よりも冬雅を意識するようになっていた。大好きという何も変わらないはずの挨拶のような告白でも心に響くものはあった。
きっと付き合える年齢になったから現実的にそう考えてしまっているのだろう。自分のことなのに、よく分からないなんて変な話だけど。
「そ、そうですよねぇ…あ、あの後で寄りますのでよろしくお願いします」
「あ、ああ。分かったよ」
あの反応からして気づいたのだろう。そうじゃなかったら急に余所余所しいような反応なんかしないから。
少しは大人らしい振る舞いかたをしないと自分に叱責してベランダから自室に戻ると真奈がベッドの上に座っていた。
「おはよう、お兄さん」
「真奈…おはよう。下に降りようか」
「うん。その前に、お兄さん…ワタシお兄さんを慕っているの。だ、大好き!」
突然の告白に俺は何を言われたのか分からずに時が止まったように動かなくなる。まるでうわ言みたいに錯覚する。けど時間が経つにつれて現実へと
変えていく。真奈は恥じられい耐えられずに目を閉じている。
「…ま、真奈?気持ちは嬉しいけど…いや違うか。どう返事をすれば上手く今の気持ちを伝えれるか言語化するの難しいから率直な気持ちを言うと。
……大好きだよ」
「お兄さん!」
腰を下ろしていた真奈はベッドから立ち上がると走って近寄ったと思ったら、そのままためらいがちに腕を広げてギュッとハグを敢行するのだった。
「真奈?」
「……頭なでなで」
急にハグをされた衝撃が大きい。豊満な胸が当たっていて落ち着かないのもあるけど頭を撫でてほしいと要求。
どうしようかと悩んだ末に俺は応えることにした。真奈の頭を優しく撫でる。
表情が窺えないが、きっと気持ちよさそうにしているといいが。
「…お兄さんそろそろ下に行こう」
「ああ。そうだね。行こうか」
今日はなんだか真奈も会話が余所余所しい。今後の彼女たちとどう付き合うことを真剣に検討をしないといけないのだろう。
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