第346話―暗闇の小雪2―
年下の女の子に名前を呼び捨て
要望が増えた気がするのは俺の自意識過剰ではないかと思ってしまう。
「よく見るとサファイアさんの髪ってキラキラしていてキレイですね」
「過分なお褒めをいただき嬉しく存じます。そう仰る広岡様の艷やか一面の黒髪も素敵です」
初対面なのに二人は、すぐ打ち解けて楽しそうに話をしていた。
ペネの左右に俺と花恋が挟む位置でベンチに腰掛ける。
仲睦まじいさに百合々々して尊いと思うのは全人類そうだと静かに見てそう思う。
「広岡様って年齢そう離れていないんだし花恋でいいよサファイアさん」
「ええ。でしたら、わたくしにも
あっ!あだ名なども構いません」
和やかな空気が流れているなぁ、一瞬でも破滅的な変化になると思ったが杞憂となったらしい。
花恋とペネの二人がこうして仲良くなっているのだし友達が少ないと意気消沈している猫塚さんにも 親友になってくれるかもしれない。
しかし大人気アイドルを紹介していいものかどうか、萎縮して同等の存在として見てくれるか分からない。
おそらく猫塚さんが求めて渇望している友とは立場とか上下など入り込むこと無い彼女が理想とする人物のはず。
きっと花恋とペネの二人は事情を知れば真に優しいからこそ応えようとして――
(そう決めつけるのは良くないなぁ。知り合って日が短いのに決めるようなことを…後で本人に誘って意思を尊重するとしよう)
「もしもーし?」
風鈴を鳴らすような癒やされる声には覚えがあった。友達がいない事に哀愁のある美少女を。
噂をすれば引き寄せる原理でもあるのか、猫塚李澄さんサングラスとショルダーカバンを持って屈託のない笑顔で見下ろしていた。
「幸運か不運どっちかな…
こんにちは猫塚さん良き天気ですね。
こんな所で何を」
「今日もここに来るかなって直感ですね。天気は…そうでもないけど、せっかくの休日ですので遊びにいきませんか?幸運とか何か気になる」
本人は直感と言っているが毎日ここに俺が来ていないか訪れていないだろうか。そう実行しても
不思議じゃないんだよね屈託のない笑顔を見ると。よく知らないのに核心的そう思わせるものがある。
「ま、また同い年の女の子と…東洋お兄ちゃんは見境ないにもほどがあるじゃないの!」
「まぁまぁ落ちついてください花恋。
もしかしたら妹または娘かもしれません」
花恋は人差し指を小刻みに震えながれ俺と猫塚さん交互に向ける。
ペネはお淑やかな笑みを浮かべてはいるが娘とか出ているのを考慮して内心は焦っているかもしれん。
「えっ?あの子達は…知り合い」
猫塚さんに質問を投げかけられ俺は首肯すると小首を傾げて何事か考えていたと思ったら何か気づいたのか驚愕な声を出す。
「ご、ごめんなさい。デートの真っ最中でしたよね。今すぐに離れますので安心してください。
……おかしいなぁ、心が痛い」
胸を抑えて立ち去ろうとする猫塚さんの後ろ姿。背中が見えなくなるまで見送るつもりなのかと俺は状況の流れに立ち直るといつもより声を上げて言う。
「違いますから!そんな関係とかじゃありませんから説明を聞いてください」
「………」
足を止める猫塚さん。しばらくして踵を返して戻って来てくれた。
花恋やペネの美少女の二人がいれば淫行とか少し侮蔑をした零度ごとく眼差しを向けられているが気にせず説明をする。省かずに
花恋とペネの出会いを伝える。
「えぇ!?そうなんですか。
仲のいい知り合いって少し信じられないけど……」
事実を伝えようにも恋人や友人とは違い説明に困った俺は雲のようなフワフワした説明した。
「東洋お兄ちゃんと禁断の恋なんてしていないよ…今は」
「お兄様の仰った言葉は嘘ではありませんわ」
聞いていた二人も頷いて怪しい関係ではないと払拭しようとするが納得はいくらか薄れていはいるが
納得していなかった。
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