第342話―甘味処で金髪JKと―

あれから三日間は大きな変化がなく過ごしていた。社会的な変化ではなく俺と付き合いがある人達に変化を。

おそらくと言ったところだろうか、地盤が揺らぐような事態が起きていないのは俺だけで不安させないように知人は違うのかもしれない。

この不安は絶え間なく続いて何かで、すり替えるのが出来なくなって帰り道ずっと考えている時だった。


「おや?そこにおられるのは、お兄様ではないですか」


「その声は…いつぞやの」


「ええ。わたくしです。あらため…ここで会うは百年目!せっしゃについて参られよ」


出会ったのは燃える光に染まる駅前。

不死川さんと動画の相談をしたいとファミレスに呼び出され、想定した緩い話ではなく真剣な話に参考になったか怪しい助言をして、

気づけば少し遅くなり不死川さんと別れてから帰路に就いて駅前で制服姿のペネロペさんに声を掛けられた。独特な挨拶を済ませると

笑顔で、ついて参れと商店街へ歩き始めた。


「えーと、どこに向かうのですか?」


その唐突な行動力にポカンと放心状態になって立ち直るのは一瞬。

ほとんど突然の出来事にも動けるのは何度も体験すればこそ。

遅れて後を追う形でペネロペさんに目的地を問う。


「せっかくの機会。わたくし…せっしゃはゆっくりする余裕がないそうろう。時は金なりと言いますので説明を省かせてもらいました。それで向かうのは甘味処かんみどころです」


「甘味処ですか?再確認でいいのか疑問だけど俺も同行していいのですか」


「それを任せるのは、そなた以外にはいない!」


キッパリと言ったペネロペさん。

不自然に感じてしまい考察して俺は納得する。

かっこいいセリフを使って迷言な返事をしているのは至極、単純に言いたいだけだったことを。


「ここが…穴場と言われる甘味処」


(えーと、穴場というワードに惹かれたのかな?)


ペネロペさんは店の前で足を止めると瞳を輝き出して見上げていた。

ほとんど店が閉まっている商店街を歩いて狭い道が続くと影のように開店している甘味処がある。


「確かに穴場というだけありますね」


しかり、雰囲気も損なわっていないと好評のようです。

さぁ話は中に入ってからにしましょう」


ペネロペさんは返事を待たずに入店する。前に出会った彼女には神社を巡りしたりもして見たとは裏腹に後先を見ないで行動力する

みたいだ。


「おぉー!和の風が溢れています」


彼女みたいに感動はしないけど普通な店内だと淡々としたものが抱く俺は知識が足りないから

だろうかと考える。

店員に案内され窓際の席に座ったけど俺と金髪JKというアンバランスな組み合わせに訝しんでいた。

これは淫行という疑われないのがレアなケースで俺が驚いてしまう。


「ではでは!お兄様は何をいたしますか?」


「うーん、そうだね…ここはオーソドックスに御手洗団子みたらしだんご金時きんときかな?」


「で、あるか…せっしゃ白玉しらたまぜんざいとあんみつにいたそうか……。すみません」


まだ悩むような言葉を呟いていたが店員を呼ぶと決めていたメニューをそのまま注文した。

ついでに俺の分も注文してくれた。


「では話をいたしましょう!」


そうは話を降っても返せるほど高いコミュニケーションは取っておらず待っているペネロペさんに

苦笑しながら俺は訊いてみることに選んだ。


「じゃあ…ペネロペさん甘いの好きなのですか?

俺はこう見えて好物ですよ」


普通かなと考えたが口にしてみれば不自然だなと自分の行いに落胆する。


「ええ、せっしゃも同じく。

えー、少しよろしいですか?」


「はい?どうぞ」


何が、どうぞなのかと内心そうツッコミをした。


「ペネロペさんとは愛着がないと思います。竹馬の友になるのに名前の後さんは廃止に願います。

愛称とかつけてくれたら嬉しいです」


「え、えーと…じゃあ……ペネ」


「ペネですか。はい!気に入り

ました」


ペネロペさんは新しい愛称にご満足だったようで、積極的にだなと

思いながら窓越しに黄昏に照らされる外の景色を眺めた。

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