第337話―ポジティブJKによる瓦全で定期的な告白14―

真奈が帰ってからは一人の時間が増え評価が芳しくない小説を書いて明け暮れる日々。2日に一回のベースで花恋が遊びにくるが、

他の友達と遊ぶよりも選んだ事は嬉しく思うが同世代がいない俺では満足に話せたか自信がない。

まだ、彼女にはどう接するのか苦手意識はあって悩んで答えの出ないと分かりながらも帰路に就く姿を手を振って見送ってから考える。

真奈達も訪れる頻度は確実に減ってはいる。受験や移動距離など様々な理由があってだ。

そして第2土曜日は真奈が訪れる。いつでも開けれるよう早朝に目覚めて腕を伸ばして伸びをする。

布団から出るとさっきまで忘れていた寒さがよみがるように襲うわれる。そのまま何かに取り憑かれたようにベランダへと足を向け、窓を開けると凍えるような風が部屋に吹き抜ける。

そして正面にある隣の家から同じ長さと幅の同じベランダの奥にある…窓越しから冬雅がいた部屋を見つめる。


「居ないと分かってはいるんだけど…何かあるって向かっている自分がいる」


この呟きには答える相手はいない。

長い黒髪を風で激しく波立ち、光を集めたような大きな瞳が俺に捉えると眩しい笑顔で「お兄ちゃんおはようございます」っと挨拶してきた。


「なにが!?いや、これは…幻だ」


(幻覚さえ見えてしまうほど渇望しているのか…それだけ存在は大きいことなのか?)


幻影のイマジネーションは強すぎる想いによって起きた。冬雅に無性に会いたく挨拶だけでもしたいが本人が会いたくないと告げていた。相談しても今の冬雅は、けんもほろろな対応するやもしれない。

敷居が高さを覚えてしまう。

下に降りて気持ちを切り替えようと洗顔して居間に入りキッチンに立ち料理を作る。

ちょっと凝った物を作ろうと思い揚げ出し豆腐と玉ねぎをレンジで加熱し千切りしたキャベツの和え物サラダに、サバ缶としめじとワカメの味噌汁。味噌を入れようと火を止めて箸で混ぜようとしてインターホンの音が静寂な空間を破る。


「はーい」


真奈だと分かっていながらもドアを開けると思った通り真奈だった。


「おはよう、今日もいい天気で気持ちのいい空だけど寒いよ、お兄さん」


「はいはい、なら中に入って温かいものを食べない……か」


言葉が変に途絶えてしまうのは真奈の後ろにいた車と人物だった。


「認めないぞ…こんな男が真奈を」


クールでダンディな整った容姿である男性は真奈の父親さんだった。

その容姿を見て抱くのは物腰が落ち着いた大人なイメージは崩壊していて、充血するような目を大きく開いて憎悪と怨嗟に支配され睨んでいた。

阿修羅あしゅらごとく形相をして不倶戴天ふぐたいてんな敵と遭遇したようなものだった。


「ママ、パパ送ってくれてありがとうねぇ」


「早く孫の顔を見せてね〜」


「もし手を出せば分かっているだろうなぁ貴様!!」


真奈と母親さんは女神の生まれ変わりな温厚な人柄で、守護するのは戦いの神である阿修羅。うーん、この変な表現をしているほど俺も大概だな。鏡がなくて自分の顔をどんな表情しているか知らないが、おそらく頬をけいれんしたようになっていることだろう。

ご両親は車に乗り込むと走って行った。たぶん真奈が座っていたのは後部座席リアシートだろう。


「そ、それじゃあ…家デートゲームを始めましょう。お兄さん」


「家デートゲーム?」


「はい!どちらか先に照れてしまうか想いと勇気が試されるゲームを思いついて言ってみた」


うーん、これをラノベ風なタイトルにするならこうかな…

俺のJKがゲームを挑んで落とそうとするラブコメファンタジー。

うわぁー、我ながら真奈を所有物にした発想に俺は何を考えているんだと苛まれる。

仮に恋人や夫婦になっても所有物

のようになるわけがないのに、何をバカな事を。


「あー、お兄さんそれ始める前から照れてしまったらダメじゃない。まだまだドキドキさせるから楽しみにしてねぇ…ふふ」


幸せそうですね真奈。よし、これを略してシアマナ。

真奈を家に上がらせて居間に一緒に入って僅かに発生するのは僅かな不安感と高揚感の矛盾だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る