第274話―タナカまりとマナオリン―
「わたしが、帰ってきた!ただいま比翼・・・お兄・・・ちゃん」
「こんにちは、お兄さんと比翼」
「こんにちはお二人さん」
冬雅、
リビングで勉強していた比翼は、
真剣な表情で勉強していたのを親が帰ってきた幼い子供のように元気になり走る。PCを閉じて立ち上がり出迎えないといけない使命感と別の感情がそうさせる。
「おかえりおねえちゃん達」
「今日も元気あり余っている感じだねぇ比翼。かわいい過ぎるぅぅ」
「同意するけど冬雅…抱きつくのは手を洗ってからにしてよ」
「後で頭をなでなでしたい」
女が3人も集まれば姦しいと言うが、なるほど確かに頷けテンションの高さに参加が出来そうになさそう。
「おかえり」
「お兄ちゃん!…」
「お兄さん!…」
「ふふ、なかなか面白そうになってきましたねぇ」
「茜おねえちゃん性格がわるいよ」
当然、空気として雑に扱ってくれない。冬雅と真奈に想ってくれるのは光栄だけど乙女な反応をけっこう高い頻度で向けられるのは、
落ち着かない。
なんと言うか友情や熱血な展開がそろそろしたいなぁと心では思っている。はい。
マスクを外し入念に洗ってから3人は比翼と勉強会を始める。
俺は邪魔をしないようにと二階でいつもの執筆。小説投稿サイトで
活動しているが星とPVが少ないまま。
だけどまだ諦めていない。不屈の闘志と書くのが好きだから。
日が沈み始めると俺は夕食を作り完成して弟の
談笑を交わし、笑顔がこぼれる食卓。
そして夜の
「お兄さん、髪が伸びてきているけど切りにいかないの?」
「んっ、ああ。足を向けるのも億劫と感じていたからね。もしかしておかしかったりする」
「うん、少しは。でも今のままでもお兄さんらしくて個性があります」
「あ、ああ。ありがとう」
個性があるって大抵は気遣っているのが大半だろうから散髪しないもいけないか。
「真奈さんと冬雅お兄さんって仲がいいんですよね。いつも手を繋いでいまして。感染しないようにと手袋まで使っていて。
素敵ですね」
「な、何を誤解をしているのよ。ワタシはお兄さんのためにしているんだから」
その反論は思いつきにもほどがないかな真奈。武装するための反論が弱ければ親友である
黒髪のショートヘアーは夜風が吹き
バストは
思う。
三好さんの距離感は好ましく思っているけどやりにくいと感じている。
「そういうことにしておきます。やっぱり真奈さんや冬雅さんが
卒業をなさったらどちらかと付き合うのでしょうか?
冬雅お兄さん」
「えっ?どうして急にそんな話題になったの!?」
「相手が女子高生だから紳士的に対応しているけど卒業すれば
付き合っても法的に触れないだろうですし。親友としては
でもありますから」
三好さんからの見方ではどっちつかずまま捨てるような行為は許さないと声の僅かな高さで推し量る。
どうあれ、俺はかなり年上だから
慎重にならざるしかない。法的に触れるとか触れないとかそんな低次元の話ではない。彼女達が
幸せであれる選択をしないといけないのだ。
それは揺るぎない闘志はあれど具体的に何をすればいいか模索している最中。
「そして、もう一人も分かってしまうなんて鋭いにもほどがある。たぶん彼女達が二十歳になってから決めたいと思っています」
「・・・お兄さん」
「・・・・・どんな応えをたどるのか楽しみにしておきますね」
三好さんの実家は両親が経営している書店。あかね書店と看板が入り口の上に置かれている門前で
送り届ける。二重の意味で無事に
済んで次は真奈を送るだけ。
「お兄さん・・・その、なんて言ったらいいのか混乱していて分からないままだけど。
冬雅を選んでも一緒に手を繋いだ思い出は残るから」
「真奈・・・・・。思い出は残るものだけど何かを諦めてもしかたないけど、したくない選択はやめた方がいい。それは真奈や周りが望んでいないものだから」
どこか哀愁を漂う真奈。そして
抱いていた想いを諦める事の意味と捉えるには疑いないと感じた。
最後は過去形にして理想的な終わりを見つけようとする。
俺は好きな相手は冬雅。だからこそ手を引いて関係が少し変わることも否定はしないつもりだった。
だけど配慮して無駄な抵抗と自分にも周りにも傷を負うようなことを避けたい
そうなら自分を優しい彼女は強い恋慕と好きな事、気を遣わないよう事に優先するなら俺は否定する。
「お兄さん勝手すぎるよ。ワタシの事を考えてほしい!
それを言われたら、どうすればいいのぉぉ!」
「楽しいことを優先順位に振る舞えばいいと思う」
「何を・・・言っているの」
「簡単な話だよ。熟考は大事だが目に見えるだけを向けるのも大事だと思う。
真奈が先に抱いた感情を、最も強く光っているものを」
「・・・それだとワタシ、お兄さんにすごい事をしますよ」
「その時は壊してみせるよ。
良い雰囲気とか危ない雰囲気も」
「フフ、なにそれ」
頬を伝って流れ落ちる涙。真奈は
微笑んで頬を赤らめる。
つややかな栗色ポニーテールは月光で輝き、大きな瞳は真っ直ぐと見上げている。そんな今が良い雰囲気をどう壊そうかなと考えていると真奈のスマホが鳴り響く。
「すみません。・・・・・はい、もしもし?うん。・・・・・えっ!?いいけど。お兄さん、
どうやら通話の相手は
俺と真奈は
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