第258話―冬雅作戦NEXT3ジューンブライド―

それから3日後。冬雅作戦のメインに取り掛かり始めた。逆説的に考えて準備段階の三日間は平和だったこと。

ピンポーンと鳴り響く度に二階で執筆して待っている俺は肩を揺らしてしまう恐怖にあった。


「ハァー。恐るべき冬雅作戦」


これから冬雅の思いつきのドキドキさせる及び惚れさせる有言実行または無限実行をそう命名とする。決めた、俺の中では。

数秒前にも入ったピンポーンの情報がまたも部屋からでも鳴り響く。


(いやでも分かってしまう。これ真奈と比翼の3人だけじゃない。三好さんも花音まで呼んでいる気がしてきた・・・おかしいなぁ?JKのサプライズってこんなに戦々恐々となるものだったけ)


いえ冬雅の行動力と無鉄砲さが恐慌へとさせる要因ですね。

赤シャツ達を義憤を燃やして暴力という手法を選んだ坊っちゃんレベルの行動力。

夏目漱石で思い出したが小説の印税を最初に作ったの、あの人だからなぁ。

想像力を働かせ幻想に逃げていた最中にトントンと控えめなドアノックに幻想を破壊された。


「・・・はーい。入っています」


返事をすれば、6月のお嫁さんまたは6月の結婚であるジューンブライドの衣装をした冬雅達を見ることになる。駄目だ!

手を抜いたあらすじだけでも頭痛がしてきた。

返事したが反応は無いため、どうしたのだろうかと訝しく思う。

ドア越しから心を読まれたわけではないが怪訝なるタイミングでドアノブがゆっくりと下に、そして引く。


「こんにちは冬雅のお兄さん。

ご無沙汰しています」


ニコッとした三好さんだった。やっぱり呼ばれていたのかと心でツッコミする・・・んっ?目の錯覚かな。髪が濡れているようなんだが。


「こんにちは。久しぶりの再会が変なイベント催しているの付き合って心から申し訳ないと思うよ」


「いえいえ、そんな事ないですよ。とんでもない状況下で楽しんでいます」


「そ、そうですか・・・」


薄々と感じていたが三好さんの性格は少し歪んでいるのが言葉の裏から思ってしまうんだよなぁ。

ショートボブヘアー黒髪が気になる。


「もしかして、髪がキレイで見惚れていました?」


「いえ、そんな事ないです。安心してください」


「そ、そう。速く答えられると多少は傷つくかな」


「あっ、ごめん。俺こういう答えがよく分からないんだ。本当は綺麗だよ」


「すこぶる社交辞令に聞こえるけど、まぁ許して上げましょうか。

真奈さん達の準備が終わりました」


「・・・ああ、分かった」


終焉を告げる角笛つのぶえギャラルホルンが高らかに吹くに等しい絶望感。PCを閉じ腰を上げる。重たく感じるのは足の痺れなどではなく気持ちによるものか。部屋を出ようと進み、階段を降りる道の反対に下がる三好さん。


「私の髪がいつもより綺麗なのはシャワーに入っていたからですよ」


(いや、訊いていないんだが)


「へぇー」


関心があるか無いか返事してドアを閉める。その情報はいる?そうツッコミたいが堪えよう。

まぁウイルスが広まりマスクを外しているのを僅かな考察すれば

徹底してから外していると至る。

階下に降りていくとリビングから声が聞こえない。

俺が来るのを待っているのは明白。そう考えると入る前から張り詰める空気へとなる。


「冬雅さん達ウェディングドレスすごく可愛いですから期待していてください」


「まぁ、可愛いのは間違いないだろうね」


そんなの冬雅達を見ていたら誰だって思うだろう。当然の事実と感じたからか三好さんはピアノが奏でた美声で「自明のことでしたね」と自虐的に言った。

さて、このドアノブ奥に入るんだよなぁ。深呼吸して、いざ参る!

覚悟していた。心を奪わるのを自覚して奪われないリアクション心掛けた。大きな反応はしない。

そう気を引き締めていたが駄目であった。

毎日と見るリビングが宮殿のように感じるのはウェディングドレスした冬雅達による魔法だろう。


「お兄ちゃん大好き!」


橙色ウェディングドレスの冬雅は率直な告白する。


「お兄さん愛しています・・・ワタシを奪ってください!!」


水色と白を基調としたウェディングドレスで、レーティングがつきそうな発言をする。


「おにいちゃんが世界一で大好き!だから結婚しよう」


比翼が真っ赤な顔で、後輩美少女ような茶目たっぱり笑みではなく

真剣な表情で伝えにきた。

ウェディングドレスは純白だけど

スカートが短いタイプ。


「真奈様の盾になる!狙うなら私を狙いなさい。それにしても

真奈様のウェディングドレスはヤバすぎるぅぅ!!」


な、なんていうかブレない花音。

略してブレカ。息を切らしながら恍惚こうこつな笑みを浮かべる姿は危ない人。せっかくの

ワインレッドという派手色でのウェディングドレスしているのに。


「見事なほど混迷を極める光景ですよね」


背後から三好さんの楽しげな声が背に聞こえた俺は心の中心で叫ぶ。

なんじゃ、こりゃ!?と。太陽の吠えろで心の中で叫んだこれは

台本に無かったセリフで、ようすふにアドリブなのである。

ともかく俺は、手作り感ウェディングドレスを見て酷く驚いてしまった。

手作りと言ってもレベルが低い決してなく、その真逆。精緻せいちな作りになっていて、こだわりを感じるさせる完成度。


「空想上の楽園みたいで驚いたよ・・・色んな意味だけど。

冬雅と真奈と比翼と花音。ツッコミ要素が溢れているけど四人ともものすごく可愛いよ」


ただでさえ才媛な四人が、手作りと擬似的な雰囲気であってもウェディングドレスは神々しくて輝いて見えるまである。


「やったー!えへへ、それじゃあ告白タイムの次は食事タイムだよ。お兄ちゃん」


冬雅はご覧あれ!と手を広げ示す場所へ移すと装飾されたダイニングテーブル。テーブルクロスの上にキャンドルとミカンタルトと様々な料理が所狭しと並べられている。

これを見て俺は悟る。これ、結婚式に似せようとしているのでは?


「お兄さんを想って・・・作りました。喜んでくれたらいいなぁって。フフ」


「真奈おねえちゃんだけじゃないよ!わたしも丹念に作ったんだから」


比翼が手を上げて強く主張した。


「ゲスの極みな変態には怖じ気づいたと思って私の愛情も込めていない料理を用意してあげたから

喜びなさいよねぇ。かなり手抜き料理だから」


花音がソファーに行き何かを探る動作をしていると、ラッピングされた小さなプレゼント用を両手で大事に持って目の前まで歩く。


「喜ばないでよ変態・・・」


両手で前に差し出し顔ごと横に逸らす古風な高いレベルのツンデレ反応。


「ああ、ありがとう。ここで開けてもいいかい」


「・・・・・うん」


貰った中身に何が入っているかの好奇心がそそり開ける許可を問い二つ返事で応えを聞き俺はラッピングを解き開ける。

なんと中身は手作りチョコ。

不慣れなのか形の均衡が取れていなくて拙さが表れている。


「食べていいか」


「そのために作ったんだから」


どうやら食べていい受け取っていいのだろうか?そうじゃなかったら言わないかと納得して口に運ぶ。

口の中に広がる少し主張が強い甘さ。固くはないけど柔らかくない。おそらくプロの下には満足しないだろうが手作りの独特である外食では食べれない粗さとか濃い味が個人的には好きだった。


「ど、どう?」


「美味しいよ。甘くって」


「・・・ふーん。そう」


腕を組んで後ろへ向く花音。

耳の赤さまでは隠せず知らない。


「まさか花音おねえちゃんがいつの間にか手作り料理を用意していたなんて!?」


「ワタシも作っておけば良かったかな」


比翼と真奈はそう呟いて花音に羨望の眼差し向ける。うーん、

急に羞恥心が襲ってきた。速く終わってほしいなぁ。

椅子にもたれていると対面に座り始めるのは橙色のウェディングドレスの冬雅。


「お、お兄ちゃん。わたしがあーんしてあげます」


触発されたのだろう。冬雅はスプーンを持ち、たくさんのミカンを乗せたケーキを掬い食べさせようとする。俺は仕方なく抵抗しないで口を開き食べることにした。


「これを作ったの、わたしなんですけど。どうでしょうか?」


「ケーキの腕を上げたね」


「そ、そうですか!えへへ。

それじゃあ次はこちらのケーキも食べていてよ」


それからケーキの散々と食べさせられ俺は満足したが次の体重時計を目にするが怖い。

その後、真奈と比翼は手作りは無かったようだが、あーんや距離を詰められる状況へとなっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る