第249話―小説家志望者―

真奈が家に泊まるようになってから3日が経ち、オンライン授業を受けるようだったので昨夜で集中するなど事で俺の部屋を使う事になった。


朝から昼の時間はニートの特権である膨大な時間を有意義に使うは執筆。

プロットを俺なりに練ってみたが、やはりプロまたはベテランじゃないのか瑕疵かし(欠点)があるものだ。

臥薪嘗胆がしんしょうたんの思いでプロットを書き、いざ文字を入力という書く段階になると

楽しくて仕方ない。小説の構想であるプロットをキャラや用語などを最後まで書けずに終わらせた

作品はいくつもある。


(用意したものを全部、出すなんて出来ないだろうなぁ。

それでもいい・・・せめて人気作品を生み出して出版業界に声を掛ければ)


比翼を高校に上がっての学費のため金策に奔走しないといけない。

お金が用意しても受験や住所と遠く離れ避難することになった両親。問題は山積みで正式な保護者でも無ければ家族でもないが、

それは紙や周囲が決めることじゃない。すでに時間と思いが家族としてなっているのだ。


(この、ご時世で仕事を探すのも困難だしバイトをしても学費なんて稼げるはずがない。

小説家になる目的が増えた・・・

大器晩成たいきばんせい!遅くなったけど28歳でレビューして今度こそ夢を叶える)


遮二無二しゃにむにと書いてきた俺は手をキーボードから離れ椅子に深くもたれ天井を仰ぎため息をこぼす。

書くことは楽しくキャラが活き活きと書けた充実感はある。

けど、それでいいのか。これだといつものように書くことが目的だけで惰性的すぎる。もっと書いて積極的に応募する必要があるんだ。

休憩は終わりだ。再開しようと指が披露の声なき叫びを無視して動かす。


「おにいちゃん!小説の手伝いをするよ」


「うわっ!?」


弾む明るさで比翼は腕を伸ばし何をされるのか容易に想像がつく。俺の首周りを優しく回し、続いて左肩の上から顔を出して頬と頬が触れる至近距離に後ろから抱きついてきたのだ。

普段ならドキマギと反応はしないのだが奇襲されたからかドキッとした。これは驚きが大きいですね、決して改めて可愛い等ではない。そして俺は誰に対して言い訳をしているのだろう。


「しょ、小説の手伝い?」


「そう!ため息をしていた所から察するに悩んでいるよねぇ!

微力ながら、わたしなりに協力してあげるよ。決して、あわよくばイチャイチャしようなんて下心は・・・あるよ!」


「あるのか。なら全力で阻止しないとなぁ」


「てへへ、冗談はともかく。

そろそろヒロインのデート描写にシチュエーションをリアリティが必要だよねぇ。実践してあげるから早速やろうよ!」


断ろうかと口に出そうとしたが留める。ヒロインのデレや

ときめくのを実践してみないと分からないのが大きい。

ほとんどが想像で補足していたが

出来ればクオリティーは高めたい。


「助かるけど、迷惑じゃないか?想像よりも恥ずかしい事を要求することになると思うよ」


恋人でもない相手にお願いするには気が引ける。だけど小説をより面白くしたい向上心の方が優先的だった。すると満面な笑みだった比翼の肩をビクッと驚愕で上がり

のりが利いたように固まる。

沈黙と止まったのは一瞬、比翼は

頬を赤くなり視線は泳ぐ。


「う、うん。もちろんだよ。

おにいちゃんとイチャイチャしたいのは本心だから・・・」


「・・・ああ、助かる。ありがとう比翼」


茶目たっぷりなのと積極的で忘れていたが、まだ中学生で甘酸っぱい恋愛には不慣れだったことに。


「いえーい!」


一度、廊下に出てリビングのドアを開けると溢れんばかりの

リア充を輝かせながらやって来てひじを曲げて両手のてのひらを向ける。

ハイタッチを要求する構え。


「いぇーい」


慣れないリア充おたけび。

ハイタッチをする。


「いぇーい!それじゃあ、パーリーピーポーしよう!!EAイーエイ!!!」


爆発せんばかりに頭が浮かれ過ぎた発言とダンスのようなノリをする比翼。

パーティ好きな人々パーティ・ピープルの勢いを俺は

過去にあった底辺のスクールカーストがリア充になった違和感がパリパリになる。


「いぇーい!いぇーいストーム!!」


パリピが高鳴ると、いぇーいと咆哮する。それから俺達のパリピは

踊る。


「・・・おにいちゃん言いたいことがあるのですが」


顔をうつむきプルプルと小刻みに震える比翼。


「ああ。もちろん」


顔を上げると真っ赤になる頬にキッと珍しく睨まれてしまった。


「これ、なんですか!?

参考にするお願いがリア充のとりあえずパリピしてくれ?

はあぁぁ〜ですよ!!普通はヒロインに壁ドンとかあごくいドキドキしてときめく必要あるよねぇ。もう少しあったよねぇ、おにいちゃん!!」


「途中から、どうしてパリピしたのか俺も思ったよ。はは」


「笑いどころじゃない!!」


手を繋ぐ事や壁ドンや告白も体験しているから悩んでお願いしたのは、なんか盛り上がるリア充。

あの謎すぎるテンションか上がり上がっていく動力源を知りたい俺は雰囲気なら比翼が出来るのではと思ってお願いした。

結果は、まぁお互い知らなすぎるのもあって「いぇーい!」としか言ってないほどもある。

いぇーい!で問い、いぇーい!と返すのは滑稽こっけいだった。

結論、なるほど同じ単語で返すと肯定されているようで爽快感がある。

最後まで協力してくれた比翼だったが羞恥心が強かったようで怒らせてしまった。

中学生に本気で怒られせた28歳・・・うん、頭おかしいですね我ながら。

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