第243話―主役の誕生日はハーレムになるのがお約束3―

「ねぇ、ねぇ。おねえちゃん達は何をプレゼントしたの?」


「あー、私は普通にハンドクリームにしたかな・・・って知っているか」


「世話好きな香音らしい選択ですね。私は――――」


談笑を交えた昼食の後はそれぞれ好きに過ごしていた。俺と移山はパソコンを使い、真奈達はソファーでお菓子や紅茶を食べながらかしましく楽しそう会話に興じていた。


「お、お兄さんそんな本を!?」


(はい。真奈のセリフでどんな内容が分かりました。例の本を教えたのだろう)


頭の可笑しい作家の実用書。それ以外は文学作品など普通の本。

出来れば実用書は掃除や役に立ちそうなものが欲しかった。


「へぇー、おにいちゃんが。

JKが好きじゃないとか言っていたけど。証拠品が続々と現れているよねぇ」


比翼、好意に貰ったのを証拠品にしないで。その口調だと常習犯みたいだよ俺。


「うわぁー、あの人そんな本が欲しかったの。とんでもない変態」


いえ、その本は読むつもりないしページを手繰たぐる事は決してこないと宣言が出来る自信はある。


「お兄さんがJK大好きだったら猶予ゆうよが短くなってきている・・・思い切ってワタシが

攻めないと」


「ゴホッ、ゴホッ!!」


本人は無意識で口にした言葉を、俺がいるテーブルまで届いている。対面を見ると移山は、笑いを堪えて、吹き出す一歩手前。

真奈達を一瞥しようと、チラッと振り向くと4人の美少女は4視線を逸らすが真奈だけは視線を

彷徨わせ見たり逸らす繰り返す。

真奈の恋い焦がれる熱視線を浴びられ恥ずかしくなって画面に戻す。


「ハァー」


「もうハーレムだな兄者」


「いや・・・庶民的な俺がそんな

て、展開があるわけないじゃないか」


「戸惑っているぞ。ともかく相手を選ぶんだ後が大変だから。

兄者も比翼達も」


「ああ。そうだなぁ」


「ハーレム否定して、そこは否定をしないの気づいている?」


「痛いところを。少しだけ思っていた」


ハーレムだと少しだけ欠片ほどの分子レベルほど素直に思っていた事を認めた。移山は面白かったのか口角を上げて静かに笑う。


(んー、休憩するか)


天井を向けて伸びした俺は立ち上がり台所に向かう。今日はコーヒーの気分。マグカップ入れ戻る。

真奈達は、勉強中ようで頑張っている。

邪魔しないよう俺は調べ事でもするかと手を動かす。家で出来る

バーベキュー。うーんアウトドア無縁だから難しそうに感じるなぁ。他には比翼のベッド購入とか

そろそろしないと。


「お兄さん調べ事ですか?」


右上を向けると両手を後ろの真奈。上から見るからか、やや前のめりによるものか巨乳が目立って

目に移しそうになる。うーん、

指摘しづらいし向けないようしないと自分の戦いが火蓋を切る。

実際には火蓋を切らないが。


「ああ。真奈も休憩か」


「はい。横いいですか」


俺が答える前に右隣に座った。

手には砂糖を多めに入れたコーヒー。


「ああ、いいよ。良かったらパソコンを使うか?」


「お気にせず。ワタシお兄さんの隣で見ていますから」


「そうか・・・なら、もう少し近くで来ないと見えにくいじゃないかな」


「うん、それじゃあお言葉に甘えようかな」


肩と肩が触れる距離。自分で勧めた事だが様々な感情が巻き起こされる。純情な気持ちが肩に触れて恋い焦がれる少女――否、

偽らず気持ちを表したいと理性で押し込めようとするが葛藤し問うのを感じた。それは

海のように広大な感情を迷い理屈で抑えているよう。


「やっぱり真っ直ぐ。お兄さんって頭が変に切れるようで天然で

変なリアクションもするけど、

真っ直ぐ!」


「そうでもないと思うが。急に褒められても困るんだけど」


唐突な賛否する言葉にどんな意味だろうかと思い、苦笑して話題を終わらせようと返す。それにしても、真っ直ぐなのは百人に聞いて全員が真奈を選ぶと思うが。


「フッフフ、駄目だよ。お兄さんをとことん褒めるつもりですから」


「やめてくれ言っても納得しないだろうけど、やめてほしいかな」


「ワタシ達には、優しく適切な言葉を模索し続けるのに自分には

雑に見て厳しいですし」


人差し指をおとがいに当て視線を上にして頭に浮かんだ

過去に抱いた事を口にしていく。

それは、自覚はあるが今後それは治せる自信がない。真奈は、また探しだし続ける。


「普段は頭をなでたりしないけど困っていたり泣いていると反射的に、なでなで威力が凄まじ過ぎます!」


「な、なるほど。それじゃあ肉まんとあんまん論争でも」


「話題を逸らそうと必死になると大抵がつまらないの多いんですよねぇ。そこが、かわいいんですけどねぇ」


出た。また可愛いですか女の子が言う異性に対して可愛いって

なんだろう?ミステリーがまた増えて考察をしていると。


「二人で何をコソコソ話をしているの?わたしも混ぜって」


後ろから比翼が抱きついてきた。


「真奈様に変な事をしていないでしょうね変態ロリコン」


刺さるような言葉を香音は容赦なく言い放つ。二人は何故か・・・実際は薄々と分かっているが間に入ってきた。二人は椅子に座り会話を参加するようだ。

あれ?そうなると三好さんは一人じゃないかと孤独感で無理していないかと振り返ると本を読んでいた。

安堵つかの間それは周囲に憐れみや冷笑などを避ける防衛の一種である行動ではないかと思った。


「三好さん、良かったら俺の椅子に座りませんか?」


三好さんは顔を上げて微笑する。


「お構いなく。ゆっくり読書しているので私の事を気にせずイチャついてください」


「はぁ!?違うし」


「そうします。ビシッ!」


「真奈様にイチャつくなら、私が身代わりに」


うーん、そんな流れにさせる運命さだめがあるのかな俺は。

それから冬雅が到達してインターホン押すのは午後3時。大勢で出迎えると男装した冬雅。


「ま、眩しい太陽のイケメン・・・誰なの?無敵変態の知り合い」


なんだか無敵艦隊みたいでカッコいいけど。変態だから全然、嬉しくない。そろそろ親しみのある

のが欲しいのだけど。


「きゃあーー冬雅とうがおにいちゃんだ!!」


ぴょん、ぴょんと跳躍するのは比翼。ウサギモードにさせるほど

とりこにさせる美貌や佇まいがある。俺もドキッとしましたからね。


「とうが・・・言うんだ。ふーん」


香音お嬢様は上機嫌。うーん、やっぱりイケメンは、あらゆる事を許容されるからなぁ。それ以外の男性は扱いが雑になる。とくに

俺のような人間だと。


「・・・驚きです。冬雅のお兄さん侮れない交友の広さには」


三好さんも、玄関に立つ男装した冬雅に大きく目を見開いて勘違いする。彼女の中では大物クラスにある俺。株が勝手に上がって

いくのは居心地が悪くて落ち着かない。


「遅くて来ないと思って不安だったけど、ありがとう冬雅」


「お兄ちゃんの誕生日ですからねぇ。絶対に行きますよ。

どんな忙しくても絶対に駆けつけるから」


「「冬雅!?」さんなのですか!?」


正体を知った三好さんと香音は驚愕させた情報に声を同時に言葉をする二人。満面な笑顔だった冬雅は苦笑していた。


「お兄ちゃん・・・モテモテだねぇ」


太陽ように輝かんばかりに向ける冬雅だったが予想外の言葉に

フリーズするのだった。

氷解した俺は冬雅以外でリビングに戻る。


「お兄ちゃん!いきなりですけどプレゼントを持ってきましたよ!」


手洗いを終えた冬雅は、両手で抱える大きな箱をおもむろにテーブル置く。中は、なんだろうかと俺達は、その箱を見る。


「波誕生日おめでとう。お兄ちゃんこれ次のプレゼント第二弾です!」


開封すると中に入っていたのはフルーツタルトであった。

「おぉー!」っと俺達は感嘆の声をもらす。ミカンやブドウなど飾られたケーキ。


「甘党のお兄ちゃんが忘れない味にしようと頑張って作りました。えへへ、どうでしょうか?」


「まだ食べていないけど完成度からして美味しそうなのは甘さにはうるさい俺の直感が言っているし、綺麗だよ」


「き、綺麗ですか。もう一度いいですか!!」


頬を赤くした冬雅は指を立て先程の言葉をアンコール言ってきた。

えっ、何これ?アイドルの歌をアンコールなにか。


「冬雅おねえちゃんが、綺麗と褒められたわけじゃないんですよ」


比翼はジト目で間に入り指摘。

けど、綺麗と言ったのは間違いないが。すると、冬雅はケーキを見て肩を落とす動作を見て悟る。

あー、容姿と思ったのか。

疲れていると考え冬雅を座らせ休ませる。俺達は皿やそれぞれ飲みたい物をなど運んでいく。人数が増えればテーブルは食器など埋め尽くす。


「こほん。それじゃあ、僭越せんえつながらわたし峰島冬雅が言います」


オレンジジュースを片手にする冬雅。そして、高々とグラスを上げる。


「乾杯!」


「「「乾杯!」」」


グラスの中身は違えど、続けて言った乾杯の言葉は文句なしの綺麗にハモった。そして、ケーキを食べ盛り上がりを向上していく。

そして午後6時まで盛り上がりムードは止まらず知らず。その6時に迫ると後片付けをする。

本来なら夜に行うのだが夜にJKだけで歩かせるには危険だった。

そして時期も時期でソーシャルディスタンスも考えないといけない。なので、一人で帰れる許せる範囲まで楽しんだ。


「お兄さん」


「んっ?顔が赤いけど・・・」


「そ、そう警戒しなくても冬雅みたいなことしないから!ほら、第二弾プレゼント」


真奈もですか。

玄関に向かった冬雅達、そして俺も向かおうとして

真奈が声を掛けた。ここ居室にいるのは俺と真奈に赤ワインで酔ってバラエティを見ている移山の三人。

その第二弾というのは真奈のショルダーバッグの中に入っていた。

中を取り出し見覚えのある袋。

有名なゲームショップの袋。


「これ、ワタシのランキングで面白かったゲームと・・・あ、あと。大人の人が女子高生と恋愛シミュレーションゲームです」


「なぁっ!?あ、ありがとう。

嬉しいよ」


「お兄さん、もしかしてイヤだった」


「そんなわけ無いよ。真奈が厳選したゲームなんてそそる」


最後のセレクトがおかしいのだが、折角の第二弾プレゼントに不満を口にするわけにはいかない。


「ワタシが選んだから唆る。いいゲームが多いですから楽しめます!そ、それに恋愛シミュレーションゲームのオススメのヒロインですけどポニーテールの女の子です!」


指摘しにくいが、そのキャラは真奈と似ているから重ねて見ているのだろうか。これで俺に真奈と

ゲームのキャラで混同させようと作戦なのかと考えたが考え過ぎだなぁと嘆息する。


「・・・わ、分かった。ポニーテールのヒロインを先に攻略させてもらうよ」


きっと面白いゲームなのだが、キャラに惚れないよう気をつけないと。

俺は恋愛シミュレーションゲームに恋をしないよう励もうと決意する。過去にこんな決意する

人がいるのか?いや、いるわけがない。

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