第211話―彼女達は夢を見て、俺は夢をつかめず終局―
真奈の家で一泊2日も終わり、少しの買い物を済ませ夜の7時に帰宅した。
「ただいま。冬雅お土産を買ってきたよ」
「ただ・・・居間」
今は腕に抱きついたりの密着しないでいる隣の比翼は帰宅した言葉をした。のだが、居間と漢字で
頭に浮かんでしまうのは俺が
疲れているからだろう。
マスターオブインドアなのが理由。
益体の無い思考でいると、居間のドアから勢いよく開いて
速度で玄関に向かう美少女さん。
「お兄ちゃん、おかえりなさい。
・・・久しぶりに逢えて嬉しい。
お兄ちゃん大好きだよ!」
ラインでやりとりしていたのに
久しぶりなんて冬雅らしい。
「まったく久しぶりじゃないんだけどなぁ。こんな俺なんかに大好き言ったお礼に、お土産どうぞ」
寄り道して購入した袋を冬雅の顔の少し下に差し出す。
「こんな俺なんか・・・なんて卑下なんかやめようよ。気分よくないかは、明るくなれる話がしたいなぁ」
「・・・えーと、それじゃ冬雅の希望を考慮した上で言い改めるよ」
自虐ネタをすれば話は楽しく進めると思ったが好意を抱く相手側からすれば嬉しくない。当然か、
なんて俺は恋愛経験が無い俺は想像をするしかない、今は。
俺は望んでいる言の葉を紡ぐ。
「太陽の下に照らさせれるみたいで、どうしても明るくなってしまう。冬雅、語り尽くせない気持ちから一言で言うなら色々とありがとう。これは
しばらく一緒にいるための物だよ」
お土産を差し出すが、中はなんともない。ただの日常品の数々だ。
新しい冬雅のブラシや比翼と話し合って決めた少し高めのシャンプーやタオル等を入っている。
冬雅は俺の言い換えた言葉に幾度と瞠目して唖然となっている。
「おにいちゃん先に手を洗いに行ってくるね」
「えっ!あ、ああ」
比翼が、小さな嘆息をして洗面所へと行き姿が見えなくなる。
視線を再び冬雅に戻すと、目があうと彼女は目を泳ぎ動揺する。
「ご、ごめん。お兄ちゃん少しドキドキしてしまった。・・・えっへへ、お土産ありがとう。開けてもいい」
袋を受け取りお礼をした。朱色に染まる頬や満面な笑顔から察した
俺は首を縦に振って靴を脱ぐ上がる。
(鼓動が高まってもすぐに立ち直っていた。今のセリフってそんなにときめくなのか客観は出来ないからなぁ)
「何が入っているかなぁ・・・あれ?ブラシとか美容ローラー?」
「ああ。どうせ俺の家に長くいるんだろうと思って、そろそろ買い替え時と必要な物がたくさんだろうから」
俺も比翼に続いて洗面所に向かう。その後を冬雅は距離を開けてついていく。
「お兄ちゃん・・・ありがとう。
ま、まるで同棲だね」
「あっ、どうだろう」
もう実質の同棲にあるのだが倫理観がそれを決して肯定が出来ない。否定をすれば落ち込むのだから
手洗いと、ついでにうがいを済ませてから居間に入ると食欲が一気に増加させてしまう、
「えへへ、待ってください。すぐに出来ますので」
キッチンで顔だけ振り向く冬雅が幸せそうな笑みで言う。
もしかして帰宅の時間を予想して作ったのだろうか。いや、火を温めていることからして結構、前からだろうかと考察。テーブルに座りテレビを見ようと、冬雅が用意したのか上に置かれたリモコン
で電源をつける。視界の端に
ソファーの隅でお土産が置いていた。後で片付けるのだろう。
「冬雅おねえちゃんと、いい雰囲気だったよね。何か恋愛進捗とかありました?」
比翼が興味津々と不安げな顔で訊ねた。俺は違う!とつい反射的に返事するのをグッと堪える。
「恋愛進捗は無いかな。いつも通りだよ」
「それ二人の中では絶対に、ありえないんだけど。どうせ、二人ともエモくなって
「おぉー、抱擁って難しい言葉をよく知っているんだね。
賢いよ比翼」
「おにいちゃん、わたしだって勉強をしていたら、それぐらい
当然じゃん。あと、もっと褒めて頭をなでなで」
「はい、はい。成長してスゴイぞ」
比翼の要求に答え追加の褒め言葉と口にして(やや雑になったが)頭を
「はい、カレー出来たよ。
えへへ仲良しだねぇ」
テーブルの上にカレーを入れた皿を置く。冬雅の言葉に比翼は頬を風船のように膨らむ。
「むぅー、おにいちゃんとイチャラブしていたの。あっ、もしかして冬雅おねえちゃん嫉妬していた」
「うん。していた」
「そんな明るい笑顔で嫉妬と答える人はいないよ冬雅おねえちゃん!?」
二人とも俺がいない時に嫉妬とか云々をしてほしいかなと俺は心中で苦笑の避難を呟く。
夕食を食べ終えて二人の生活に欠かせないアイテムを片付けを済ませたらソファーで他愛のない話をして比翼が好きな録画した番組を一緒に観る。番組タイトルは歴史秘話ヒストリアで、十年前よりも面白くなってきている。
終われば爆発的に盛り上がった後に就寝時間。二人が、部屋に行き
俺はしばらくリビングで執筆する。
「お兄ちゃん」
「んっ?冬雅、起きていたのか。夜ふかしは、ほどほどにするんだよ」
「それ、お兄ちゃんに返します」
比翼と一緒に寝ていたはずの冬雅は猫の動物パジャマ姿でリビングに降りてきて俺の向かいに腰を下ろす。ダイニングテーブルを挟む。どうやら勉強をするようだ。
「一緒に同じ空間。同じ空気を吸っていると幸せですね」
「ごめん冬雅。
「お兄ちゃんと結婚したら、こうなのかな?えへへへ」
「・・・・・」
途轍もない言葉をした。いつもの妄想による世界から旅立って出てきた言葉にちがいない。俺は
何も聞こえていないとキーボードを叩く。小説を書いて主人公が 夢を追いかけるか葛藤するシーンにあたりで一段と手を早める。
真奈達から聞いたおかげかもしれない。答えはプロットで決めていても心理描写で手を遅くなると
考えていたのだが杞憂だったようだ。
「んっー、終わった」
俺は椅子の背もたれに寄りかかり両手を上げて伸びをする。
「お兄ちゃん、お疲れ様」
「あ、ああ」
歯切れの悪い答えになってしまった。趣味で夢を追いかけている商業小説家を明るく労いの言葉をされるほど立派な事をしていない。
「お兄ちゃん聞いて。わたし新しい夢を模索して考えて、これが
いいかなって絶賛、追いかけているのがあるんだ」
「追いかけている夢?」
俺は向かいにつく冬雅を見る。
彼女の目は淀みがなく透き通る瞳には夢に希望を膨らませるものだった。ペンを止めて彼女は、言うのは何か。
「お兄ちゃんがプロになって、そのイラストを、わたしが書こうと思うの。ううん、書きたい!
少し下手なんだけど見てほしいかな?」
そう言うと冬雅はテーブルに置いていたタブレットを操作して俺に両手で差し出した。見てほしいのがあるのか、俺は好奇心と決断した目指すことにしたイラストを
見る。
「へぇー、美少女を書くのが上手い・・・えっ!?これって冬雅」
俺はイラストのキャラと冬雅を見比べて比較する。ロングストレートや綺麗な瞳も似ている。三次元で二次元に負けない容姿を誇るのってアイドルでも難しいと思うのに、改めて冬雅が
ずば抜けた美少女だって再確認する。
「えへへ、美少女なんて・・・もう気づいたようなので、モデルになったのわたしです。驚きました?」
「・・・ああ、驚いたよ。けど、俺は夢を掴めないと思う。だから、
俺がなれなくても一人で!そして本当に目指すかは、ゆっくり選んでほしい」
もし、俺と一緒になることなら不可能に近いだろう。どちらも狭き門でプロになれるのは、難しい。
それに活躍するのも、きっと。
だからこそ、俺がいなくても真剣に追いかける何かを
「もちろん、そのつもりです。
だけど、やっぱり目指せるなら二人で仕事もパートナーになりたいですよ・・・わたし」
強い信念を
「冬雅・・・・・俺は何を言えばいいのか分からない」
「そこは、お兄ちゃんの心で決めることだよ」
「俺は・・・なってみせる。プロに!
冬雅と一緒に多くの人に琴線に触れて温かくなる物語を書きたい」
「えへへ、カッコいいですお兄ちゃん。わたしも誰かに喜ぶとか、そんな明確的な強い気持ちを
探してみます」
優しい微笑を浮かべて先の話をした冬雅。答えを探すのは、目指すべき夢に俺以外の何かを。
きっと、見つかれば大きな支えになり向上心の源になるだろう。
(冬雅と一緒にか――)
俺と冬雅は、そろそろ就寝しないと話になり部屋に戻った。俺は夜風なあたろうと窓を開けてベランダに立つ。外は静謐で包まれているようだ。夜空を見上げて夢を
考える。
(彼女達は夢を見て、俺は夢をつかめず)
輝く星空に俺は、右手を上げて
「目指した夢は遠く果てしなく、
心の奥底で諦めていたけど。
今は違う。冬雅の明るさを貰って俺は本当に目指すと改めて決めたんだ」
そして伸ばした右手を握る。もちろん虚空を
領域に立っているような感覚になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます