たちまち春は訪れを知らずにやってくる
第193話―同棲するとトラブル発生が多い件―
一部の学校は再開しているのもあるがJKさんである
宿題やテストが他の学校よりも少なく自主性に力を入れていて勉学の意欲や知識を扱う知恵を大事にしている。
進学校だと色々とあるが冬雅が自分に適した学校だったのだろう。それは、ともかく再開しないと困る声が著しく少ない冬雅の学校は、まだ休校。
もちろん授業対策はしていた。学校が支給されるタブレットで宿題や授業を受けることで。俺が高校生の時は無かったなぁと思い冬雅が勉強しているのを見ていた。
「お、お兄ちゃん・・・もう少し我慢してくれたら勉強が終わるので暫く待ってくれませんか?」
頬を赤く染まった冬雅は、視線だけ動かしてそう言った。俺がキーボードの
少しだけ見るつもりが、まじまじと見ていていたことを。
(あぁー!?タブレット端末が気になって執筆が集中できなかったなんて言えるわけないし・・・
どうしたものか)
それに今の発言からして俺が冬雅に寂しいと思っているではないか。決してそんな事はない。
「冬雅おねえちゃん心配は無用ですよ!わたしがおにいちゃんの相手をしてあげる」
新たなる参考書に悪戦苦闘していた比翼が立ち上がり筆記道具と一緒に持って俺のすぐ隣に座る。
肩を密着して。これ、否定していいよね。
「二人とも誤解しているけど寂しくはなくてだな。俺は・・・冬雅がおとなしいから見ていただけ」
「そ、そうなんだ」
冬雅は、どこか嬉しそうにしていたが比翼は不機嫌になった。
まるで、恋愛シミュレーションゲームで選択肢をミスしたみたいだ。さすがに俺もリアルと恋愛シミュレーションゲームを混同はしていない。・・・だって現実は夢と希望を壊すからね。それが以前の俺の主張であったが冬雅に告白されてからは思い切り夢か現か混同しているが。
「おにいちゃん今のウソだよね。ほんとーは?」
「・・・・・タブレットが気になった」
「えっ?わたしの・・・お兄ちゃんが期待しているようなものは無いですよ。それでも、いいなら」
冬雅は、おもむろに立ち上がると比翼とは反対の隣に腰を下ろす。
ツヤツヤとした長い黒髪は今はサイドアップにしている。近くで見ると普段と違い新鮮だった。不思議と髪型が違うだけで変わるのだから。
「あれ?お兄ちゃんどうかした」
「い、いや何でもないよ。邪魔にならないように気をつけるよ」
「そんなことないですよ。お兄ちゃんに教えてもらって、わたしがお兄ちゃんを教えるウィンウィンですから」
それならと、少しは気を遣わなくてもいいかなと考え画面を隣で
見るが・・・・・苦手の数学だった。
しかし、令和の授業に俺は驚くばかりだった。ふわぁー、ゲーム感覚にして積極的に勉強しやすくなっている工夫が窺えれる。
けど新しい制度と古い制度が残っている現在の各学校。殆どがタブレットを支給しているとニュースで齧る程度だけど知っていたが
面白いなぁ。
「えっへへへ」
「楽しそうだね冬雅」
楽しそうに無邪気に笑っていると心が和む。ずっと、このままいたいなぁと浸かりたいが、そろそろプロの小説家になりたい。
もう30に迫る年齢だから。
もし、万が一の可能性だが冬雅とずっといるとすれば収入や冬雅の両親を納得できるだけにはなりたい。
色々と想いが
「こうして大好きな人と勉強を見てもらうのって夢みたいなんですよ。幸せすぎて・・・もう、気絶しそう・・・・・で・・・す・・」
「それで、本当に気絶はしないでくれよ」
冬雅の気持ちは俺も心の中で同感する。もし共通していたなんて知れば、それこそ気絶してもおかしくはなさそうだ。リアルで起きるとは思わないが。
「おにいちゃん!いつまでイチャイチャしないで小説ですよ」
「そ、そうだった」
比翼に怒鳴られた俺は、執筆に戻る。「あっ・・・」冬雅が呟いた言葉は聞こえなかった、気づかなかったと俺は顔に出さないよう気をつける。けど、この中で一番下の比翼に叱責されるとは年長者である大人の俺は情けないなぁ。
冬雅や比翼には情けないところを見せないようにしないと。
そう決心するが、手が進まず新作のプロット段階で手詰まり状態だ。
「おにいちゃん悩んだりとかしていない?」
14歳で今年で15になる比翼は、そう言った。
「鋭いなぁ。そうだよ、なかなかアイデアを思いつかなくて悩んでいたところなんだ」
「それなら、取材とか」
「うーん、いやファンタジーものにするつもりなんだけど取材はとくにいいかな」
おそらく作家志望者の取材というと人間観察とデートする場所を行くのだと思うが人それぞれ。
俺はハイパーインドアなので地図アプリや画像などで調べる。
ファンタジーだと西洋が多いので
城はカルカソンヌとかノイシュヴァンシュタイン城など。
「おにいちゃん、それなら余計にだよ!技とか叫んでやるとリアリティが増すよ!」
「技までは進んでいないけど」
今は、世界観や用語など作っているから技や魔法はまだまだ先。
「それじゃあ、わたしが技をやるからおにいちゃんはその参考にでもして」
比翼は、真剣な表情でそう言ってくれた。アイデアが浮かばずにいるので一見からすると奇行でも
貴重なアイデアが浮かぶかもしれないなら、
やる価値は後で決めればいい。
「分かった。比翼、手伝ってくれるか?」
「持ちの論だよ!」
俺は立ち上がると比翼も立ち上がって頼もしく言ってくれた。
小さい
「お兄ちゃんなんだか嬉しそう」
冬雅がそう呟いたのを耳に入った。なんだか女子高校生に微笑ましそうに見られると落ち着かない気分になる。さて、比翼が参考にしてくれという技が、どんなものか楽しみだ。比翼は深呼吸をして次に腰溜めに右拳を弓を引くように構える。
「受けよ!
それは某有名なアニメの必殺技を思わせるものだった。ポーズや技名も少し違うが、ペガサス流星拳に似た技だけど比翼が知っているとは思えないので、おそらくは知らずにそうなったのだろう。
後ろの冬雅も見ても俺が振り返って、ニコッと笑顔を見せる。想像以上に癒やされる。
「な、なるほど参考になったよ。なら――」
俺は左腕を右の手首を抑える。
そして余裕の笑みを作って俺も小説のバトルもの妄想で実戦風にやってみる。
「フッ、しかしその攻撃は見切っている。魔石起動!
俺は無駄にかっこよく片足を膝を曲げて傾いて上げ、長いセリフを早口で喋って技を放つ。と言っても足を上げて伸ばすという、必殺キックの定番を比翼の前でやるのは危険なので誰もいない方へやる。
「お、おにいちゃんそれは・・・マジ過ぎて引くから」
比翼はドン引きしていた。うわぁ!?やってしまったか、やっぱり大人が特殊な中二病タイプみたいな事をすればそういう反応はするだろう。
「お兄ちゃん、かわいい」
「冬雅おねえちゃん、どんだけ、おにいちゃんが好きなんですか」
「えーと、そうだね・・・
「なに?その頭がわるそうなの」
比翼が兄と姉を慕っていたが今は変人を見るそのものだった。
比翼が神待ちや家出をしていたなんて思えないほど家族のように寛いでいる。それもこれも完璧美少女である冬雅の
その時になってちゃんと高校生にさせることできるのか、通えるように出来るかを。
「まったく、二人とも中学生のわたしよりも真面目にしてほしいものだよ」
「肝に銘じます・・・」
「お兄ちゃんと同じく・・・・・」
もう3月だ。可及的に、速やかに比翼を何とかして来年も笑えるようにすると、苦笑する俺は呆れ果てる比翼を見てそう決意する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます