第176話―歯車は既に反対に廻る3―
俺はエミリーさんと前原さんと二人が作品を書くときの
アイデアをどうやって思いつくかや設定などを作っている人じゃないと分からない悩みや拘りを語る。
「プロットってそう書くのか。
小説はよく分からないけどマンガのキャラを最初にしているのは
曖昧にぼやけた頭を落書きしてから始めたりするだよ」
黒髪をモデルのように整えている前原一誠さんは
「なるほど。あっ、私の場合はそうで多くの人がプロット同じってわけじゃないですよ。人によっては脇役に細かく書く人いるし。
俺の場合は好きな食べ物とか過去にトラウマとか嬉しかったとかを書いたりするだけで」
マンガの世界観や設定などを書いて想像して創っていくのは、小説の設定であるプロットにも活かせると俺は考えて頭にメモして
後で試してみようと密かに決意する。この人達と上手く話せるのか不安だったけど作品に対する情熱や苦労や一次予選に落ちた悔しさ
など共感して熱くなれた。
「・・・・・」
純粋な熱意と飽くなき向上心を耳を傾け吸収し、述べて再確認をする。
午後九時。
「そろそろ、お
「えっ?」
三好さんが少々、驚いた表情で見上げる。
「んっ?もうそんな時間なのか。いやぁー、夢中になると時間があっという間だからね」
前原さんは後ろ髪を掻いてそう言ってスマホを取り出し見る。
時刻を見ているのだろう。
「茜ちゃんは私この一誠がいつもは送っているんだけど、今日は兄ちゃんが送って行くの?」
「そう・・・ですね。二人がマンガを書いている忙しいところですし冬場のお兄さんに送ってもらいます。そのお手数ですが、構わないですか?」
だから、この時間帯でも誰も疑問なくいたのか。でも、こんな遅くにJKが長居するのはどうかと思う。しかし三好さんは自由気ままにしているし、エミリーさんがいつも送っているといているから
きっと大事にしているのだろう。
「それなら、俺が送ろうか?
すごーいスケジュールが真っ白だからね」
木戸孝允さんが喜々とした表情で名乗り出たのだけど・・・クレイジーな人だと思うのは俺だけだろうか?
「何か
エミリーさんが当たり前のように笑顔でスルーすると宣言。
「茜ちゃんをロリコンに任せるかよ。ほら、あっちに行けよ!
シッ、シッ」
あの物静かで
「ひどぉ!?ちょ、世界でも注目している俺をこんな扱いをするの君達ぐらいだよ!!」
「あはは、気にしないで下さい。
冬雅のお兄さん」
「あ、ああ」
そんな謎のやり取りを俺は黙って見守る。どうやら彼が
分からずじまいに後にした。
この時間帯でJKと電車に並んで座っていると淫行の疑いが確信犯な扱いで刺すような目で俺を見てくる。
ちなみに確信犯の正しい意味は、
政治的、道徳的などで正しい行いで悪事とは思わず実行する犯罪を指す。誤用は犯罪と知って行う犯罪の逆の意味で間違ったりする。
「なんだか、すみません。
こういうのは冬雅さんや真奈さん比翼ちゃん担当なのにですよね」
ほとほと参った笑みを浮かべて
周囲に俺達がただならぬ関係と勝手に思われて目立っている事に。
「いや、平気ですよ・・・・・ん?
冬雅達の担当って否定しにくいけど担当とか違うよ」
やんわりと否定したが、三好さんはまったく信じていないように
仕方ない微笑をクスクスとしている。
「からかって、ごめんなさい。
去年の冬雅さんと真奈さんって
あそこまで笑うような人じゃありませんでしたから。
これからも改めて二人をお願いしますね」
姿勢を俺に真っ直ぐと向けて深く手を組んで頭を下げた三好さん。
忘れそうになるが、最初に出会った冬雅は喜怒哀楽が乏しく表情が豊かななんて無く笑顔をするなんて思わなかった。
真奈は、友達である冬雅のために俺をどういう人物なのか吟味して
「ああ、もちろんだよ。俺が出来る範囲とつけるけど」
「その範囲で頑張ってください」
(二人は変わって成長していく。
それにひきかえ俺は何も変わってもいない・・・いいのだろうか)
三好さんの自宅である書店の前で
店長こと三好さんの父親の目には光が宿らず笑顔をしていた。
「わざわざ娘を送っていただき
感謝するよ。
それで娘に何かしたのか?どんな話をしたのか詳しく詳細に、腹を割って話そうではないか山脇くん」
初老の店長は手を肩を起き強い握力で攻撃的に笑顔で質問という詰問。
「えっ?あ、えーと」
「萎縮しているのにやめてよ。
恥ずかしい、冬雅のお兄さん早く行ってください」
父親の手首を両手で引き剥がす三好さんは俺にそう言う。
俺は
「ありがとう三好さん。それじゃあ店長も失礼します」
俺は駆け足でその場を離れる。
なんだか、どっと疲れた一日に静寂な住宅街の夜道に無心になって歩くのはそれだけで不思議と
「いつもの同じ道を・・・冬雅と歩くのと一人だけだとこうも違うのか・・・」
見慣れよく通る道に一人で歩くのと隣に冬雅達がいないのはこうも
違うのかと俺は急に寂寥感を覚えるのだった。
それから家に帰ると真っ暗の闇。
比翼は冬雅と一緒に寝ているだろうか。帰って一人だけなんて
いつ以来か。俺はお風呂やカップ麺を食べて部屋に入ってベッドに
横になる。いつの間にか眠りについたことを窓越しから陽が射し込む
「お兄ちゃんおはよう!」
「冬雅・・・」
俺は上半身を立ち上げて昨夜と色々と考えていた自分の変化のない事や冬雅といていいのかを
「お兄ちゃん?何かありました。もし悩んでいるなら話を聞きますよ。はい、さん、はい!」
「俺といて楽しいのか無理していないかいていいのか悩んでいた」
いつの間にか曖昧に
促してきた言葉で答えてしまった。
「決まっていますよ、わたしはお兄ちゃんが大好きで、ずっといたいです。
きっとお兄ちゃんの苦慮している考えは言葉では消えないでしょうけど、わたしと一緒にそれを
振り払えるように努力していきましょう!」
満面な笑みで淀みもなくはっきりと言う冬雅の言葉に・・・奥底にある気持ちを温かく包まれる気分になる。
「えへへ、それじゃあ。
今すぐに行きます!」
冬雅は部屋を出ていく。だけど戻ってくる。冬雅と一緒に寝ている比翼が目覚めていないのだから。
「告白されると顔に出ないように大変だよ」
俺はそう呟き枕元に置いてあるのは本とスマホ。
スマホ画面にタップしてラインのメッセージを観ると、昨夜に冬雅に長文の告白メッセージを送っていたのがリビングでドキマギさせ
られた。
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