第139話―得恋―
「お、おはようございます・・・
お・・・・お兄ちゃん」
告白してから絶えずしている挨拶。
だけどいつもとは違う。
至って普通にしてもお兄ちゃんの言動に含まれる想いが伝わり多幸感で心が温かく満ちていく。
「ああ、おはよう冬雅」
っと恋わずらいをしているのに、
平常運転ですよ。なんなんですか!AIみたいにスムーズすぎませんか。でも、そのおかげ落ち着こいて会話は弾める。しかし朝食は別でした。
「「・・・・・」」
(き、気まずい。気まず過ぎます!)
昨夜はスゴイことが起きた。玉砕覚悟の告白が功を奏したか、お兄ちゃんが告白された・・・された。
なんどもリフレインされる。
(えへへ、恋が叶いました)
それに、ここで相思相愛になった場所ですから嫌でも思い出してしまう。うーん、向かいにいるけど今は味噌汁とサバとレタスをエクストラヴァージョンオリーブオイルなどかけた物を凝視している。
この気まずい空気を変えねば!
「冬雅、やっぱり今日は
出掛けるのか?」
「ふぇ?今日、一日はお兄ちゃんといようと思っていますけど?」
重たい空気をなんとかしようと思ったのは、お兄ちゃんもだった。
「いや、そういうことじゃなくて私と二人ことで・・・・・」
「あ!・・・・・う、うん。二人で今日は出掛けたら嬉しいですね」
「そ、そうか」
「そ、そうですよ!」
「「・・・・・」」
わぁ、わあぁぁぁぁぁぁーー!!
デートじゃないですか、それは。
お互いその単語を避けようとしていて約束するデートに恥ずかしくなる。わたしはともかく、お兄ちゃんもそうだと頭が真っ白だよ。
「・・・それで二人は見事に
恋人になったと?」
十時になり親友が訪れて来て、昨日わたしの誕生日と告白され、両想いになった事情を包み隠さずに伝えました・・・二人で。これは初めての共同作業では!恥ずかしい。
「えへへ恋人なんでしょうか?」
「い、いや!まだだよ」
「お兄さんが告白しておいて否定って矛盾していません?
まぁ、いいですけど・・・大人のくせに」
最後に何かボソッと言ったようでお兄ちゃんは苦笑しているけど、何を言ったのでしょう?
「情けない話だけど真奈がいないと冬雅と上手く話せる自信がない」
「わたしもそうです!お兄ちゃんにいつもの告白する自信がありません!」
「お兄さんは
告白するの必要ないじゃないの?」
「ううん、相思相愛になった今は絶対に必ずしないといけなくなりました」
両想いを知ってから課題としている告白もいつもとは違う。
大好きと言ってくれた人に告白するのは想像するだけで頬が緩んでしまう。わたしの決意に真奈は
驚愕となっていますね。
「・・・あっそうなの。
それじゃあ二人のデートをサポートをするわ」
真奈は笑って快く答えてくれた。
助かりますけど、真奈はそれでいいのかな。罪悪感を覚えながら3人でデートが始まりました。
真奈も含めているのは手を繋ぎ始めたから。わたし達に気を遣って繋がっていませんでしたが、自然な流れで繋いだのです。
「お兄ちゃん嬉しそうですね」
「え、何を?」
「?」
首を傾げる真奈。後ろに振り返る二人に少し
「お兄ちゃん!どうして真奈しか話ししていないんですか!?
わたし寂しいですよ」
休みの日に彼女を放置して友達と
「ご、ごめん」
「そうよね。ワタシなんかじゃなく冬雅が繋ぐべきだよね」
仲良く握っていた手を離し、寂しげにする。
「ううん、繋いで。わたしとお兄ちゃんがするには時間が掛かりそうだし」
「い、いいの。無理していない」
「冬雅の言うとおり出来る自信がまったくない」
「・・・・・お兄さんまで。
ねぇ、二人のデートなんだよね。
ワタシがデートしているみたいなんだけど!」
「あ、あはは」
つい苦笑せずにはいられない。
手を繋ぎたいですけど、暴走してお兄ちゃんから距離を取ろうとする未来のわたしが見えるから。
わたしとお兄ちゃんのデートは
楽しかったです。ほとんど真奈と
遊んだ気持ちでしたが。夜の帳が降り真奈の家路に途中まで見送りに行く。真奈の家が見える距離に止まりここで別れる。
「お兄さん、冬雅、楽しかったわよ。下手をすると一番に楽しんだのはワタシかも」
「そうか」
「そうなんだねぇ」
名残り惜しそうに好意を抱く人の手を解放した真奈は一瞬だけ。
そして活発的な笑みと遊び満足と口にする。
「お兄さんと冬雅は恋を叶って
頑張ってよ」
「ああ善処するよ」
「とくれん?ってなんですか」
真奈は、超絶すぎる才色兼備。
あの
日頃から卓越した能力と行動と知識。
自然なかわいさと仕草。
欠点を探すのが必死になるであろう完璧すぎる美少女よりもわたしが魅力とは今でも思わない。
って、暗い考えはこれぐらいに。
「そうね・・・恋を叶えられた意味だよ冬雅」
「こ、恋を叶えられた・・・ですか」
「そう。それじゃあねぇ」
「あっ、うん。バイバイ」
見送った後は
家の前に着く。
(送りはここまで。
最後にお兄ちゃんを―――)
「お、お兄ちゃん訊いてください。・・・・・お兄ちゃんが大好きです。前よりも、もっと大好きになっているよ。だから、お兄ちゃん・・・わたしの事が大好きですか?」
確認したかった。もう一度。
「・・・ああ、大好きだと思う」
視線を逸らして恥ずかしいそうに
少年のように大好きと言ってくれました。多幸感で少しよろめきそうです。
「お、お兄ちゃん。大好き、大好き!大好き!!また明日!」
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