第80話冬雅と文化祭でデート

果たして20代後半になってJKと

文化祭でデートをする人がいるのか。

それは、俺という断れなかったわけ

です・・・はい。


デートという言葉を俺は使わず

冬雅は一切そんな単語と類似なことを

ことの葉しない。


しかし、雰囲気が醸し出すそれを

感知する。俺の思い込みの可能性も

あるけど現在の廊下で。


「今は二人きりでわくわくして

来ますねぇお兄ちゃん。

なんて、えっへへ」


(冬雅の配慮で手を繋がっていない。

いつもの告白や態度も本のわずか

に我慢してくれている)


冬雅も真奈ほどではないけど

手を繋ぐこともあるが、しない日も

ある。告白や赤らめるトンデモな

発言も雀の涙レベルで抑えている。


「お兄ちゃん聞いていますか?」


「え?ごめん考え事をしていたから

聞いていなかったよ。

煩わしいだろうけど、もう一度」


「わたしと隣で緊張しているんですねお兄ちゃんは」


「スゴイね冬雅」


「えっ?はい・・・なにをですか?」


「いや、緊張したことにだよ」


「・・・・・・え?」


なんと言えばいいのか。弟の移山は

用事が出来たと言って足早に

出ていき俺と冬雅の二人。

もちろん真奈は、看板娘だから

出られないらしい。

いや看板メイドかな?


「そ、それってお兄ちゃんは

わたしと二人で緊張して・・・・・

こうして隣いるだけでドキドキ

しているんですねぇ。

うん 、きっとそう」


「その冬雅きっと誤解しているよ」


ここは、指摘しないと妄想が膨らみ

収拾がつかなくなりそう。

周囲の学校の生徒や大人に

うらやましそうに怪訝そうに

している。逆にそれだけで済んでいて

よかったと思う。


淫行など疑いの念がなくって、

歩きやすい。

逆に堂々としていると思われない

ものだなぁ。


「誤解ですか・・・そ、それでしたら愛を育む場所を考えていたの

ですよね!」


「えっ?んっ??」


愛を育む?危ないワードが聞こえた

のですが、聞き間違いではないかな。

うん、そんな言動なんて

言ったとしても俺の想像と違う

意味だってあるはず・・・・・。


「わたしと素敵な思い出を作りに

悩んで検討して鼓動が早くなる。

そして、屋上で・・・きゃあー!?」


「あっ、これ?誤解している」


火が吹きそうなほど赤く染まり、

妄想の世界へとダイブしていますね。

宝玉のごとくつややかな

長い黒髪を舞うほど顔を左右に振る。

もう、これをデートにテンションが

可笑しくなっている以外ない。


「あ、あれはお化け屋敷だ!」


話題と暴走をなんとかしようと

してお化け屋敷を指差す。

我ながら驚くことだろうか俺よ。


「は、はい。わたしの記念の初デート

文化祭は、お化け屋敷ですね!

デートなら定番ですし・・・

それになにかイベントありますね」


(・・・話題を変えようと

強引に言っただけですが。

イベントなんてリアルで起きない。

大人のとしての威厳とか冷めるようなことを今から実行する)


有言実行いや、心で決めたのだから

無言実行か。冬雅を悲しまずに

恋愛度を急激的に下げてみせるぞ!

数分後・・・・・


「お、思ったよりも怖かった」


「えへへ、大丈夫だよお兄ちゃん。

わたしがついているから何が

あっても守ってみせるから!」


左手を安心させるように確りと握る

冬雅。まさか、文化祭レベルと

思ったら偉丈夫のゾンビの

横から大声で叫びにくるのは

怖かった。

冬雅は、咄嗟に手を繋ぎ「大丈夫」と

何度も言って、それを支えに

ようやく出られた。


「なんだか・・・大人の威厳とか

目的が滑稽こっけいなぐらいに失敗したよ。あはは・・・」


「ううん。お兄ちゃんは大人の

威厳とか、気にしなくていいんだよ。

だ、だってかわいいですし・・・

あと目的って」


「あっ、目的というのは謀略を

巡らして離間の計とか曹操そうそうの軍師の一人、郭嘉かくかのようなものじゃ・・・・・」


袁紹軍と戦いで過労死した天才を

超越せし鬼才きさいである

郭嘉がいれば赤壁の戦いで

劉備や孫権など負けなかったと

称されるほど。


もちろん脈絡のないことを三國志の話に冬雅は首を傾げる。

ですよね。俺、自身もなにを

言っているのか知らない!


「うーん、三國志の話は別の日に

して。お兄ちゃんきっと

怯えるわたしを助ける形に

しようとですよねぇ!!」


「いや・・・ああ、うん。

大体は当たっている」


本当は、当初の計画である

恋心を冷めさせることだけど、言わなくていいだろう。あの笑顔の前だと

嘘を言ってでも。


「えへへ、お兄ちゃんもわたしを

ドキドキさせようと・・・

わたし、感極まっています!

相思相愛の道は長い道のりでした」


「すみません。そういうわけでは」


出口を出て、すぐ近くの壁に寄り

かかりトークを始める。

道行く人は、冬雅の恥じらいの姿に

見惚れていて隣の俺には敵視や憎悪を

・・・いえいえ、彼女ではなく

そもそも法律ではアウトですし。


なんだか頭痛を覚える中、俺と冬雅は

中庭に行き簡易なお店が並ぶ。

確か模擬店。冬雅は既知だったが

人気者であった。

アイドルのように手を振る冬雅は

鳴りを潜めるという重要度は低い。

俺にだけ著しく満面な笑みと赤い頬。


アイドルように持てはやされる冬雅を恋をする乙女をすぐに

分かる反応ばかりなので周囲の視線が痛い・・・具体的に見たくないなぁ。


「お兄ちゃん。はい、あーん」


「ああ・・・・・自然にしましたけど冬雅、外は控えてほしいのだけど」


綿飴わたあめは甘くて美味しいけどナチュラルにあーんをしますか。

舞い上がりではないかい?


「えへへ、かわいいです。

・・・・・ゴクリ」


「はーい、その綿飴を最後まで

いただきますので、よろしいですね。

答えは聞いていないけど」


間接キスできると、一発で看破できる

示したので綿飴を掴もうと手を伸ばすがサッと避ける冬雅。


「ダメです!い、いくらお兄ちゃん

でも・・・ダメなんです!」


「わ、分かったから。そんな大声を

出さないでほしい」


「はっ!すみませんお兄ちゃん。

でも、一世一代の奇跡を無下になんてできないよ」


「大げさすぎる・・・その、

もしかして先のあーんは、これが

目的で?」


計算高いイメージは、無いのだけど

冬雅なら可能性もあると言えるかも?

俺の疑問にかああぁぁぁっと冬雅は

徐々に頬以外も赤らめる。


「う、ううん。偶然ですよ。

お兄ちゃんに楽しんでドキドキさせてほしいなぁって。

その・・・ごめんなさい!」


「あっ・・・・・」


冬雅は、口をつけた綿飴をおもむろに

パクッと食べる。

さらに、二口、三口と急いで食べる。

いやいやいや!ゆっくり食べよう!


「は、はしぃたなぃでしぃた」


「食べながら喋らない!

はしたないでした・・・か、

そうだよ冬雅。はしたないから

今度はこんなことは――!?」


言葉を途中で詰まったのは口の中を

いっぱいに、「えいっ!」と可愛らしい声で綿飴を素早く入れたから。

これ、冬雅の間接キスになるじゃあ

・・・って、なにを考えているんだ

俺は!?


「えへへ、わたしだけじゃあ

不公平ですからねぇ。

お兄ちゃんにも・・・お礼です」


「・・・ゴクッ。お礼って、

過激ではありませんか冬雅?」


「は、はい・・・ごめんなさい」


「ウヌ、よろしい。

・・・冬雅は良かったのか、

こんな所でるもう少しロマンチックな場所ですれば―――」


「お、お兄ちゃん!?

その、直接じゃないのに間接キスで

深刻になるのは・・・はうぅ」


言われてみれば、たかだか間接キス。

まぁ、冬雅が失神するじゃないか、ってパニック状態だ。


「ごめん・・・それじゃあ目立っているし移動しようか?」


ラブコメやりとりをやっていれば

注目するし羨望や期待とか怨嗟・・・

またですか!まぁ様々な視線を

向けられて落ち着かない。


「そ、そうてすねえ!

あの、最後に一つ・・・・・ お兄ちゃんは

間接キスが初めてですか?」


ぐっ、たしかにそれすらも、

していないけど・・・別に笑うなら

わらったらいいよ。


「そうだよ。初めてで

悪いですか!?」


「ふぇ!?お兄ちゃん怒っている。

うーん、でも・・・わたしはねぇ、

好きな人と間接キスが初めて。

えへへ、恥ずかしいですねぇ」


そう思うのでしたら

発言はしなくとも。そう思いながらも

まぁ、いいか。と思ってしまう。

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