第81話アクセル真奈

「お、お兄ちゃん・・・それじゃあ」


「ああ、メイド頑張って」


名残惜しむ冬雅は、教室の出入口まで

何度も振り返っていた。

間接キスを敢行したことに、少ししてから悶えることになる。

具体的には二人、中庭のベンチで

ゆっくりと食事して言葉数やチラ見など顕著けんちょなる。


あと先を考えない猪突猛進なアタック

は俺の心臓にも悪い。

なので、控えてほしいと忠告は

したいが想いを推し量ると言えない。


「冬雅、一緒に回れて楽しかったよ」


「っ――!?お、お兄ちゃんが

楽しい・・・・・わたしも楽しかった

ですよ!」


そう明るく答えてくれる冬雅は、

憧憬の存在だ。色んな表情や

全速力で体当りするような無鉄砲な

告白する。

だからこそ、好きになったことや

過剰なほどの愛情に戸惑いながらも

俺も笑顔になれる。


(冬雅は入ったが、やっぱり目立つ)


そう、出し物のメイド喫茶ドア近くで

恋愛シーンみたいにすれば際立つ。

俺はその場を今すぐに離れないのは理由をもちろんあるからだ。


「あっ、お兄さーん♪」


「お疲れ様、真奈・・・えっ?」


廊下に出た真奈は、俺に声を掛け

軽く走る。ねぎらいを言う途中で

左手を掴まれ引いて行く。


「あの、真奈これは?」


「案の定だったよ。お兄さんは

冬雅になにかしましたか?

いえ、しましたよね!」


歩く速度をわずかに落として顔を

後ろに向き睨まれた。

なにかしたって?


「いいえ、顔を赤いのはいつもの

ことで、特になにも無くって・・・

はないけど」


「やっぱり、なにかあったのねぇ。

うぅー。どうせ、お兄さんは

冬雅の要求を迷いもなく

受け入れたのよね」


「違うというのか・・・えーと、

どこに向かって?」


「更衣室です!」


なるほど、メイド服から制服に着替えてから文化祭を俺と回ることか。


「そういうわけで、覗かないで

ください」


「大丈夫。怪しい人が入らないか

見張っているよ」


「ズレている・・・はぁ」


何故かため息をこぼして更衣室に

入る真奈。ちなみに実験室と書かれている。ふーん、2年の教室から

右に曲がって奥の少し右にある。


(待っている間に、なにか

小説でも書くとするか)


小説投稿サイトで、応募用ではない

小説を執筆する。

・・・・・・・・・・・・・・・・。


「お、お待たせしました・・・

スマホ?」


頬を赤らめて、おもむろにドアを開く

真奈の声に保存と押しズボンの

内ポケットに入れる。


「ああ、小説をちょっと」


東洋とうようお兄さんって

小説をよく書きますよね。

年の差ラブコメですか?」


目を輝かせ食い気味な真奈。

め、珍しい・・・冬雅の影響を受けすぎたのか感情が隠せていない。


「えーと、普通・・・じゃないけど

ファンタジーかな?」


「ふーん、そうですか。

東洋お兄さんそれじゃあ

行きましょうか」


興味を失うのが速い!通常の3倍だ。

・・・・・あれ?冬雅が交代して

休憩となったのは真奈になるのか。


推測だけど、そうに違いないだろう。

そして、当たり前のように真奈と

回るのか・・・もういいや!

淫行とか援助とか好きに誤解して

くれたまえ。


「ふふ、デート。デート!」


(真奈さん舞い上がり過ぎでは

ありませんかねえ?)


おもむくままに真奈に連れられクイズやチェスなど色んなゲームを

楽しめる出し物3年2組の教室で。


「お兄さん次はあれをしましょう?」


「あれって・・・将棋か?」


学校の机を複数をピタッとくっつけさせた上には将棋盤が置かれていた。

窓際の後ろに対局してくれる人は

他の人と対局中で、机に吊っている

紙に友達と好きにどうぞと

書かれている。


「・・・なんと言うかアバウトだね」


「東洋お兄さんって将棋

できますか?」


「うーん、まぁまぁかな。

真奈は・・・他のゲームからして

強いんだね」


「強いとほどてはないけど

趣味の範囲ですので。

東洋お兄さんと文化祭でゲームを

するとは思いもしなかったですね」


出し物が、ちょっとしたテーマパークになっている。ちなみに進学校だけ

あってクイズ部があって

俺と真奈は、クイズ部員と早押しで

惜しいところで負けてしまった。

最近のクイズを研鑽する高校生は

恐ろしほど強い。

回想はこれぐらいにして。

椅子に座り駒を並べる。


「それでは、先手を決めましょう。

がワタシでトが東洋

お兄さんで!」


駒の中では一番よわいとされる歩。

裏にはトが書かれていて、その駒を

5つを持ち盤にサイコロように

転がす。これは先手を決める方法。


「よし、歩が4つ。ワタシの

先手ですね」


真奈は、迷いなく7六歩ななろくふと指す。この指し方はあまりにも

有名で角が攻めれる道と歩を前進

させるなどの一手。


「次こそは真奈に勝ってみせるよ!」


3四歩さんよんふと差し角道かくみちを作る。

つまり、俺も角を敵を攻めれる状態。


「ふふ、元研修会のワタシに

勝てますか?」


パチッ。真奈は、飛車ひしゃ

角すぐ右に置く。俺から視線では

左になる。


「振り飛車、使いか!」


「くっくく、深淵さえも穿うがつ攻撃力を誇る振り飛車。

恐かろうお兄さん」


「そう来ないとなぁ。

なら、ここは・・・」


攻めては取られ、取った駒を登場させ

どんな意図があるのか熟考を続ける。

進むうちに言葉も減っていき、

中盤で言葉を発さなくなる。


「お兄さん・・・これは!?」


「ふっ、気づいても遅いよ。

いけぇぇぇ!」


俺は、穴熊囲あなぐまがこいという難攻不落の陣形に作り始める。


「ぐっ、させるかああぁぁぁ!!」


「この状態では、崩しに行くのは

困難だよ」


弱点は、手順が多いこと。

鉄壁の守りがある穴熊囲いを最も

嫌うのは振り飛車。


飛車を序盤ですぐに横に振ること。

攻めること火のごとし。

定位置を動かさずスキを待つのを

居飛車いびしゃ


序盤では、迷いはほとんどなく

後から時間を使うことが多くなる。


「・・・・・こう」


(・・・・・・・んっ?こう)


真奈が座る椅子を前後に揺らして

きしむ音が鳴る。


「こう、こう、こう、こう、こう」


雛鶴ひなつるあい!?」


某有名な2つの賞を受賞した作品の

メインヒロインが集中を高めて

自然と前後に揺らす有名な行動だよ。

豆知識でいうと、この行動には

リアルの棋士モデルいる。


「やっぱり、お兄さん知っていて

当然ですよね。

・・・確認ですけど

ロリコンですか?」


「はい!ストップ。

読んでいたら、ロリコン扱いは

やめてほしいよ。

将棋が熱いのに、そんな目で見ている

人は一部です。

俺はロリコンじゃないから!!」


前にりゅうおうのおしごとを居間で

読んでいたら冬雅に小さい女の子が

好きですかって上目遣いで

訊かれたことあるのだ。

・・・あの質問はロリになること

だろうか?


「そ、そこまで強く否定するって

怪しい過ぎるんだけど・・・

まぁ、そのお兄さんがロリコンでも

構いませんけど・・・・・」


くっ、ゲームに興じている周囲の人が

蔑むような視線を感じる。

真奈の最後の言葉にもじもじが

相まって勘違いしやすくなる。


「前に仰りましたがロリコンじゃ

ないよ」


「・・・ふーん。じょ・・・・・・

女子高校生とかは?」


「いや、リアルは無いと・・・」


はっ!?このあとの言葉を想像できてしまう。

真奈は涙ぐんで・・・・・


「ありだね。うん・・・大抵の人は

高校生を恋愛対象だからねぇ」


我ながら犯罪臭がスゴイ発言だな。

真奈は、悲哀な表情からパァーと

笑顔になっていく。

・・・最近の俺は、こんなセリフを

言わざる言えない状態を起こし過ぎではありませんか?


「フフフ・・・お兄さん本当に

悲しませないようにするんですね」


「お、俺の考えが解ったと!?」


「お兄さん一人称が、俺に

なっているよね」


バチッ。真奈は、駒を動かした。

話に夢中で途中から対局だと忘れていた。それと、真奈が指摘した俺に

気づく。指摘しないと気づけないのか

俺は・・・それよりも嘘だって

気づけたことにスゴイのだけど!?

その場しのぎのようで失礼だな俺。

それからも対局は続き終盤になって

攻めることも逃げること不可能になる

と理解して俺は頭を軽く下げて―――


「参りました」


降参した。動揺して悪手が増えた。

いや、言い訳に過ぎないか。


「やったーー!

お兄さんに勝ってたぁぁ!!」


立ち上がり右腕を上げ歓喜する真奈。

その姿に、俺は頬を緩めて

愛おしく思う・・・指摘の必要は ないけど妹とか娘に抱く愛おしいで

恋人とかではない。

って娘いないし、俺に言い訳みたいに

まくし立てる必要ないはずなんたが。

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