第71話文化祭ですよ、お兄ちゃんⅡ

「文化祭か・・・」


およそ十年前に高校生の時に文化祭

していたなぁ。基本ぼっちだったから

退屈なものだったので

いい思い出がない。


「お兄さん!

文化祭は土曜日に開催するんだけど。2年一組のワタシ達は

メイドと執事喫茶をすることに

なっているんだ」


隣に座る真奈が先に食べ終えて、

親しげに笑顔で説明する。


「なるほど・・・真奈のメイド姿か」


「ど、どうしてそこでワタシなのよ

お兄さん!?」


「いや、変な意味じゃないよ。

先に頭に浮かべたのが真奈なわけで」


「ふ、ふーん。そう・・・

なら当日は楽しみにしてなさい!」


視線を避けられ会話は終了。

夏休みに真奈が冬雅の恋路を協力する形でメイド服で隣の家で、冬雅の家で

サプライズでおもてなしされた。

あの頃の真奈は好意を抱く前で

今とまったく違う反応を示す。


「ふふ、なんだか初々しいですね」


「うん。ツンデレな真奈と天然の

お兄ちゃんかわいいよね」


三好さんは親友に優しい笑みを向けて

思ったことを言葉に発する。

冬雅も俺と真奈のラブコメみたいな

やりとりに喜んでいた。


俺は冬雅に目を向け返事をしようと すれば目が合って照れ笑いをする

冬雅・・・言いにくい特に今が。


「冬雅・・・誘いは、嬉しいの

だけど、私は行くことはできないよ」


「・・・・・えっ!なにか

ご都合が悪いのですかお兄ちゃん?」


「やっぱり、今の私達の関係は

ハッキリしていない。

それに学校中で変なうわさが

立つ懸念が大きいよ。

そんなわけで行くことはできない!」


「・・・そうだね。

わたし、お兄ちゃんや真奈に

浅慮せんりょだったよ」


少しうつむけに向き落ち込む冬雅に

悪いが風評被害が大きいのは俺よりも

冬雅や真奈と三好さんの3人かも

しれない。


俺はそこに行くのは今日だけ。

毎日登校する三人を立場を

危うくするわけにはいかない。

この選択で・・・いいんだ。


「・・・そ、それなら冬雅。

お兄さんを前みたいに歓迎するのは」


「歓迎?えーと、なにを」


「冬雅がメイドになってお兄さんを

ドキドキさせた」


「そ、その手がありましたーー!!」


冬雅は、椅子から勢いよく立ち上がり

目をキラキラと輝かせる。

真奈も絶対に着るだろうね。

正直、見たいと思うが――――。


「い、いや二人とも文化祭や

趣味など忙しいだろうし無理を

しなくても」


「お兄ちゃん違うよ。

文化祭でメイドりょくを高めるなら実戦に備えた本格的な

トレーニングが必要なのです。

えへへ、決してお兄ちゃんに

ドキドキできることに考えて

いませんよ。あっ、でも

お兄ちゃんその似合っていたら

かわいいと頭をなでてほしいです」


冬雅よ。途中から本音がだだ漏れで

三好さんの頬が引きつっているよ。

一応は、仲のいい兄妹と認識ですから

控えるように頼みます。


「そ、そうわけよ。

その・・・頭を・・・・・

あの、なでなでして!」


「頭を撫でればいいの?」


「う、うん・・・・・」


真奈これで、背一杯だと言わんばかりに後ろに向けられ今はどんな

表情しているか分からないけど白磁な

肌は赤くなっているだろう。

現に耳が赤い。


「分かった。嫌だったら言ってくれ」


「なにを?・・・・・ひゃあ!?」


「ご、ごめん」


手を離すと両手で頭を抑えながら

振り向いた。真奈の目は涙目で潤っていて上目遣いで睨まれたのだけど。


「お、お兄さん今じゃなくて

冬雅と同じくそうしてほしいのに」


「け、けどお兄ちゃんも悪いようで 真奈もいつか具体的に言ったほうが」


「うん。でも真奈よかったねぇ」


冬雅は、苦笑する。

三好さんは楽しそうに笑顔だった。

真奈も目を少し開き驚く。

指をあごに触れ過去の発言を推察し

納得した表情。ありがとう真奈さん!


「お、お兄さんその誤解してごめん」


「気にしていないからいいよ。

私の方が気持ち悪い撫で方なんかで

ごめん」


「いえ、ドキッとしましたけど、

その気持ちよかったから!」


真っ直ぐな視線を向け心優しい

言葉で俺の自虐的な言葉を否定する。

・・・・・・ハッ!つい頭が真っ白になって硬直してしまった。

無性に恥ずかしくなり目を逸らす俺。


「お兄ちゃん!わたしも頭をなでて

ほしいです」


場面を目撃した冬雅が、やって欲しい

と言わないわけがない。

俺は抵抗も否定の言葉もなく

冬雅の望み答える。


「構わないけど、文化祭は俺は

いけないから頑張るだよ冬雅」


向かいに座っているので、俺が

立ち上がり手を冬雅の頭の上に伸ばして優しくくように撫でる。


「えへへ、大きな手が優しいさを

感じて大好きですお兄ちゃん」


「そうか。どうもいたしまして」


淫行など、思われば失ってしまう。

お互い真摯な付き合いでも付き合っていなくとも親しくとも親権者の告発で

逮捕される。


その両親に許可をもらえばいいのだが

俺は恋人にならないと二人にしっかりといった。


たとえ恋人になると決意

しようがニートの俺にOKがあるわけでもなく、年の差という壁もある。

それに冬雅や真奈にも

風評被害にもある。杞憂だとしても

可能性が一厘いちりだけでも。


気持ち良さそうに目を細め嬉しそうにする冬雅を見て、絶対に文化祭は

行くわけにはいかないと改めて

決意する。

二人にたとえ懇願しても。

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