第70話文化祭ですよ、お兄ちゃん

知らぬ内に秋風を感じる。

それは、窓を開けるとそんな季節を

肌で感じ、少し心が踊る気持ちに

させるもの。

午後6時に冬雅と真奈と三好さんの

いつものごとくJK三人が訪れる。


「お兄ちゃんただいま!」


「東洋お兄さんこんばんは」


「こ、こんばんは」


「ああ、こんばんは」


三者三様な挨拶する三人に笑顔で

作りでなく当たり前のように俺は

返事をしていた。

冬雅と真奈は絶対的に学校や塾の

帰りに向かう。頭脳明晰で地が足をつかないと人見知りな三好さんは、

平日で寸暇すんかがあれば

来る程度。


「外は思ったよりも寒いなぁ。

さぁ、早く中にどうぞ」


三人は、頷いて中へ入る。

靴を先に脱いだ真奈が俺の隣に立つ。


「外が暗くなるの早いし、

寒くなるで暑かった頃が

忘れそうよね東洋お兄さん」


「えっ・・・・・ああ」


「なに?東洋お兄さん少し間があったけど変なことをワタシ言ったかな?」


声に僅かな震えと言うのか不安を

思えるものに、素直に答えないと。


「いや違うよ。ただ、今日は外に

出ていないからよく分からないだけで、少し迷っただけだよ」


ごみ捨てや布団を干していたことを

カウントしていいなら外に出たことに

なるかな?とくだらないことを迷っていたなどさすがに言えない。


「勘違いさせないでよ東洋お兄さん。

ワタシの怒りを受けよーー!!」


右拳でゆっくり優しくボンと

胸に当てる。パンチの後は

足早に真奈は行ったと

思いきや振り返り親しみのある笑顔を

浮かべていた。


「お兄さんはやーく!」


「そう急がなくても・・・

分かったよ。行くよ」


真奈について行きいつものソファーで

座り後から来た冬雅と三好さんも

微笑ましそうに真奈を見てから座る。

一方の真奈は、親友に無邪気に騒いだことに気づいて頬を赤らめる。


「真奈さん冬雅のお兄さんが

大好きなんですね」


「い、いや別に好きじゃ・・・・・」


三好さんの言葉に目を逸らす真奈の

両頬に赤赤と染まっていく。


「真奈とお兄ちゃんなら、

お似合いの恋人だと思うよ」


冬雅・・・また、儚く笑っている。


「ですよね。やっぱり、冬雅さんの

姉になるんですね真奈さん」


「ハア!?いや、飛躍しすぎるから。

ま、まだ恋人にもなっていないの

だけど」


さすがに今の発言は俺も驚いた。

三好さんからすれば、真奈と付き合っているのかな程度の認識だと思っていたからだ。・・・結婚した後まで

考えていないのに三好さんは

想像していたのだろうか。


(恋愛になると興味津々なのも

女子高校生らしいが、結婚の想像

なんて普通はしないよね。

それとも当たり前なのか!?)


俺もそこまで考えていない。

それ以前に付き合うことなんて

しないように思索しているのだから。


「わたしが、真奈の妹になるのか

・・・お姉ちゃん大好きだよ」


「はい、はい。ワタシも愛してい

ますよ冬雅」


冬雅の告白に真奈は、

左手を去れ去れと振って雑に答えた。

親友だからこそできるやりとりだ。


「茜もいるからラブライブの

続きを観ましょう・・・か!」


リモコンを取る真奈は、確認をする

ことを言うが答えを待つことなく

トレイにブルーレイを入れる。


制服のままだから、帰宅はしていないだとすると最初から最初からカバンに

入れて学校に持ってきたのか。


「わたしが小さいときに放送して

いたからμ’sミューズの時代は詳しくないけど真奈はやっぱり

詳しかったりするの?」


冬雅の問いにディスクを入れ

トレイを閉める真奈は不敵に笑う。


「まぁね。ヴァイスでもデッキを

複数あるし、ソシャゲでも

メンバー高レベルだし

最初のシリーズは・・・詳しく

ないけどお兄さんが好きかな思って」


「キャーーー愛する人のために

自分も好きになろうとするなんて健気けなげさが感動!」


三好さんのイメージってこうだったのかな?しかし現実は二次元のキャラ

じゃないのだからはしゃぐと

キャラ崩壊みたいな反応するのが

リアルの人間と思っている。


「今に考えたら冬雅・・・真奈は

アニメやゲームの知識が豊富で

驚いたけど勉強の成績

とか大丈夫かな?」


もし、疎かになっているなら注意や

勉強を好きになる工夫など考えないといけない。親とか兄でも恋人でも

ないが大事な人なのは間違いはない。


「はい。すこぶる成績上位で

わたしよりも上なんですよ」


「フッフーン。どう東洋お兄さん?

アニメやカードに知識豊富で

成績優秀なワタシは」


胸を張る真奈の姿は褒めてほしそうに

見えた。自意識過剰に自分でも

思うけど俺にしか褒めてほしそうに

強い態度を呈する。


なら、褒めないといけないのだろう。

少し失礼な発言もしたし、

真奈が喜びそうなことを・・・・・。


「ああ、スゴイよ。

次のテストで百点を取ったら

嫌っていうほどデュエルや

二人の時間を一日だけ従うよ」


「・・・なんかワタシがものすごく

成績が悪いみたいなんだけど・・・

その約束を絶対遵守なんだから!」


ピシッと、人差し指を顔の前で

突きつけられた俺は首肯する。

真奈は小声でやった!と

喜んでいたけど正解だったかな?

普段、妹がいないから褒め方が

分からない。


「お兄ちゃん!わたしも百点を

取ったら告白をお願いします!」


冬雅も挙手して報酬を口にした。

もちろん冬雅の隣に座る三好さんは

目を見開き驚いていだが

冷静に反芻する表情になって

頷き一人で納得の行く答えを

見つけたようだ。


「もちろん冬雅も百点を取れば

本当の告白はできないけど、

俺なりに告白でいいなら」


「わぁー、ありがとうお兄ちゃん」


「冬雅さんブラコンだったんですね」


三好さんの言葉に冬雅は首を傾げる。

いえ、前に冬雅自身が兄妹設定を

その場しのぎが今も続行中だよ!


「そ、そうです。お兄ちゃんは

わたしだけの・・・・・ものです」


その最後は羞恥に堪えながらも

言うのは危うくないかな。

ほら、三好さんまた熟考して独特な

解釈されそうだ。


「ねぇ、3人ともアニメを観てい

るんだから静かに」


「「「はい」」」


真奈は、ラブライブを観て会話を

参加していたが長くなって

苛立ちを募り軽い爆発を起こす。

それからは一緒に食卓を囲み

夕食を食べて他愛のない話をする。

ちなみに夕食は、残り物のカレーと

肉じゃがを入れた。


「私こんな家庭的な料理なんて

懐かしく思います」


三好さんが箸を止めそう呟く。

3人の女の子に食べやすい形にした

少し大きめのジャガイモにした。

ジャガイモはピタミンCが含まれて

いて、加熱すると減少するのだが

デンプンがバリアーの役割して

減少を守ってくれる。


「えへへ、なんだってわたしの

お兄ちゃんですから!」


その設定で行くんですね冬雅。


「伊達にワタシをとりこ

させただけはあるわ」


唯我独尊な言葉をする真奈。


「・・・真奈さんが虜になるわけか。

冬雅のお兄さんは真奈さんの事が

好きですか?」


「えーと、人間的に好きか―――」


「わぁー、わぁー!!

なんて質問するのよ茜。

お兄さんもお兄さんですよ

普通に答えないで」


涙目で睨まれているけど、嬉しそうに

頬を少し緩めているけど

見なかったことにしよう。


「ごめん、つい答えてしまった」


「まるで、夫婦みたい」


「・・・茜?ワタシに怒られたいの」


二人すごく仲が良いんだな。

それにしても三好さん慣れている

人にはイタズラするのか。


「お兄ちゃん。なんだか賑やかで

嬉しそうだね」


向かいに座る冬雅は、相変わらずの

太陽、同等の満面な笑み。


「ああ、前は一人で食べていたからね。・・・賑やかなのが今でも

夢じゃないのか思ってしまうよ」


とびきり美少女の冬雅と真奈が

告白や好きな視線を向けられるのが

幻じゃないか常々そう思うのだ。


学生だった頃は下級の奴と見下され

ビジネスマンになっても

好きになってくれる女の人はいなかったのだ。まさか、人生で初めて好きになってくれた相手が誰もが振り返る

美少女JKとは思わなかった。


「そうでした!お兄ちゃん

近々、文化祭があるのですけど

良かったら来てくれませんか?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る