第68話リアルなラブコメは複雑怪奇

シルバーウィークの日曜。

昨日は小説に集中をしていたため

高校生なのに快晴な日に外に出ず

中でばかりいるのは良くない。


・・・原因は、大好きな俺に

会いたいためにわざわざ来ているのに

誠心誠意で答えないと。


冬雅ふゆか真奈まなせっかくの日曜だし外に出かけないか?」


「お、お兄ちゃんが日曜で外に

出ようと言うなんて珍しいですね」


「う、うん。東洋お兄さん・・・

何か変なものでも食べたのかな?」


向かいに座る二人はひそひそと話す。

聞こえる音量は、質問しにくい

から遠回しな意図があるのだろう。


「聞こえているけど・・・理由を

申しますといい天気だからとしか」


後付にもほどがある。

稚拙な言い訳を感が鋭くなった

二人には通じるはずがない。


「 えへへ、ですね。

それじゃあ着替えにいったん

戻ります!」


「え、えぇぇーー!?

下手か!とかププッとからかうのも

問い詰めるようなことしないの!」


「だ、だって執拗しつよう的にすると嫌われるだろうし、

言い訳が、かわいいかったので

満足です。えっへへ・・・・・

では冬雅は準備に参ります!」


ピシッとミリタリー学校で学んだのと

ツッコミを入れたい見事な敬礼して

冬雅は家に戻ってオシャレな格好で

行くようだ。


「・・・東洋お兄さんワタシも

自宅に戻りますので、ワタシは

現地集合ことで」


「うーん、手間が掛かるけど

冬雅に借りるのは?」


「サイズが少し合わないから。

さ、3人で行くんだから

ワタシも冬雅のように力を入れないと東洋お兄さんに見てくれないから」


「えーと、私は別に今の格好も

素敵だと思うけど」


ロングスカートと橙色シャツの上に

サマーカーディガン。

シャツ以外の白の格好は、真奈らしい

清潔感があって俺的にはこのままで

いいと思う。


「―――そ、それでも着替えないと

いけないから。

でも、わざわざ電車に乗って戻る

ほどじゃないですし、

冬雅の洋服を借りにいく!」


真奈は、口早にそう言って出ていた。

真奈の意見を変えるようなことは

していないが、どうしたのだろう。


俺も前に二人が選んだ洋服を

着替えPCを立ち上げ執筆して待つ。

二人がインターホンを押すのは

30分後からだった。


「二人とも、どうしたの?」


「えっ、何かわたしお兄ちゃんに

不満な気持ちをさせました」


外に出て今日も住宅街に歩けば

注目される。お決まりの俺には訝しげなのと危ない奴だなと嫌悪感を

隠さない人もいる。


通報されると心配していたが、

二人を楽しませるのが最重要。


冬雅にいつもの行動がなく尋ねたが

涙目にさせて上目遣いに答える。


「不満なんてないよ。

いつもの直進邁進ちょくしんまいしんが来ないのが不安かな?」


「でしたら真奈もそうだよ!」


「ふ、冬雅。ワタシは別に・・・」


巻き込まれる形となった真奈は、

困惑する。冬雅が親友そんな

巻き添えみたいなこと珍しいのだが

真奈の言動に俺も思っていた。


「二人がなにか悩んでいるなら

気軽に相談していいよ」


そう言っても相談を出来ないのが

人なので――――


「そんなわけで私が相談を

聞いてほしい」


「「えっ!?」」


必然、こう訊いてほしいと言った本人が悩みがあると言えば驚く。

俺はそのまま悩みを言う。


「実は金欠気味で今日は二人に

楽しめるか自信がないんだ」


俺が二人に心の距離を危惧して

打開策を考えてこれだった。

感情を強めの戦略的なプランにした。

相談を気軽にするなら、まずは

自分が弱音を吐く。


しかし、女子高校生に何を言って

いるのだろう俺。


「それならお兄ちゃんわたしが

奢るよ」


「まったく、そろそろ脱ニートを

目指さないからよ。

今日は奢るから、それで

いいでしょう。解決!」


「えっ、いや・・・待って待って!

さすがに奢らせるとプライドが

まずいので結構です」


それでも二人は・・・大丈夫だよ

いつものお礼だよ。

それで、萎縮しないでよ。


お兄さんは喜びなさいよ!

と即答と拒否され奢ってもらうことに

なった・・・強く否定できないのが

悲しい、これも金欠病が原因だ!


(それにしても冬雅の格好は暑く

ないだろうか黒のゴスロリ。

真奈は、橙色のワンピース姿)


冬雅の明るさをゴスロリの黒で

すごく似合うけど、醸し出す雰囲気には合っていない気がする。


真奈は、清楚感と明るいワンピースに

冬雅のような天使爛漫さが表れているようだ。すっかりギャルイメージは

消えている。


「それで閑話休題かんわきゅうだいに強引にしますけど、二人

どうして手を繋がず距離を?」


そう、いつもは外に出れば手を繋ぐ。

それどころか距離を取った。


「あわわ、そのお兄ちゃん

今日はそんな気分なんです!」


「そ、そうだよ。変に推測なんて しないで別の話をしようお兄さん」


冬雅と真奈が、あからさまに話を

逸らそうとしている。

反論すれば、聞けるかもしれないけど

本人が隠したいなら大人の俺は

素直に従うのが正しいだろう。


距離を取っているといっても

左右に二人がいて恋人や淫行と

間違われる距離にある。

つまり、いつもより距離が

あっても一般的に近い。


今日は3人で遊園地に来ていた。


「キャアアアア!!」


「わあぁぁーーー!?」


「真奈、平気だよ。ただの

お化け屋敷だから」


冬雅は、現れるオバケを普通に

恐怖を楽しみ右腕に抱きつき

一方の真奈は、涙を少し出て本当に

怖いようで左腕に

抱きつく力は強い。

手を繋がらないのに二人とも

それは出来るんですね。はい。


ジェットコースターでは。


「わあぁぁぁぁぁ!?」


怖い、落ちる・・・すごい速度で

上がっていく!


「わああぁぁぁぁぁーー!!」


冬雅は、両手を上げて無邪気に

笑って叫んでいる。


「ぁぁ・・・・・」


後ろに座る真奈は、

恐怖のあまり声を上げずにいた。


「わあぁぁぁぁ、あはっはは」


隣に座る冬雅すごく楽しそう。

恐怖体験が終わり俺と真奈は

ゲッソリとベンチに座る。


「つ、疲れたお兄さん」


「奇遇だね。私も疲れたよ。

真っ白になぁ」


「二人とも大丈夫ですか?

まさか、お兄ちゃん速い

アトラクションに強くないなんて」


顔を上げると心配そうにする冬雅が

俺と真奈の交互に向く。

冬雅って、天使のような容姿と性格

の美少女だと思ったけど、ときどき

意外な所がある。


絶叫マシンが得意なんてなぁ。


「冬雅あれは・・・異常だった。

アメリカのジェットコースターか!

って高すぎだったよアレは」


「そ、そうなのですか・・・

お兄ちゃんと真奈えーと、次は

なにを乗ります?」


「こ、怖かったから・・・ワタシは

メリーゴーランドがいい」


「でも大丈夫、メリーゴーランドも

一応ゆっくりだけど動くよ」


冬雅の声音にはからかいが無く

純粋100で真奈の身をあんじている。


「・・・冬雅。さすがのワタシも

メリーゴーランドで怖くないから」


そんなわけで、次はメリーゴーランドに行きことにした。

でも、俺と真奈が回復するまで

早めの昼食を取ることにした。


談笑して食事を済ませて向かうと

長蛇の列。

辟易しながらも待ちようやく

中を3人にはいる。


「えへへ、お兄ちゃんと一緒だ!」


「う、うん。お兄さんと一緒・・・」


向かいに座る二人は、明るい笑みで

照れ笑いを向けていた。


「冬雅も真奈・・・ありがとう。

こんなおっさんに奢ってくれて」


「うぅー、お兄ちゃん!

まだ27だよ。

おっさんじゃありませんよ。

2度と言わないでください!!」


「お兄さん!自虐するにしても

それは面白くないから。

ワタシと同じく若いですから」


二人が怒っていた。

十年前では25以上は

おっさんかおばさんと思っていたのに

冬雅と真奈は違っていた。

いや、恋の相手だからかな。


情けなくも嬉しいと俺は一瞬にも

思ったけど冷めたらきっと

おっさんに見えるだろうなぁ。


「ごめん。まだ若いのに・・・

実際にそうだけど二人に言われると

照れてしまう・・・」


「お、お兄ちゃん・・・行きます!

そんなかわいいお兄ちゃんが

わたし、大好きですよ。

いつか本当の気持ちを伝えるから

・・・大好きですお兄ちゃん」


冬雅は、太陽のように明るい笑みと

顔には桜色に染めて告白する。

けど最後のセリフに儚く笑う。


「・・・冬雅。最高の一日に

なったよ」


俺の言葉に呆然となる反芻する冬雅。


「・・・うん、わたしも最高です」


「お兄さん!ワタシ・・・・・

お兄さんを愛しています」


「え、ありがとう?」


「なっ、なっななぁ!?」


まさか、真奈もメリーゴーランドの

中で告白するとは思いもしなかった。

真奈の告白に戸惑いもあったけど

嬉しかった。真奈も冬雅が

楽しんでくれたらいいけど。

っと、考えていたが杞

憂だったようだ。

二人は屈託のない笑みをしていた。

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