第35話どこかの人がターンが2回とか言っているけどわたしもあるのですよ

「ママ、パパ行ってらっしゃい」


仕事に出る二人に、わたしは寂しげな気持ちを無理に振り払い無邪気な笑みを作り見送るのです。


「ええ、なるべく次は早く帰るわ」


「くっ、どうして仕事があるんだ。

これさえなければ…」


ママとパパは後ろ髪を引かれる想いで

出張に行きます。次に会えるのは

当分、先になる…それにしても

パパは名残惜しみ過ぎだなぁと苦笑を浮かべます。

バタン。ドアが閉め暫くしてガチンと

外から施錠します。


「…よし、お兄ちゃんのために

準備をせねば!」


そうとなれば思い立ったが吉日。

昨日は見つからないよう諦めてた。会えずに、わたしの心はお兄ちゃん成分が

足りず枯れてしまうのでした!気持ち的にはハグしても許容範囲な

流れで行けると思う。

よし!今日の告白はこれでいこう。

格好は、白のフリル多めのブラウス、

オレンジカラーの風通りがいい

フリル多めのロングスカート。

姿見で映る自分の全体に子供みたいだなと思う。迷い始めて、どうしようかと悩みます…衣装は大事。


(だめだ!やっぱりクール系で)


いつものように選んでは違うと交互を見ては繰り返して最終的に決めたのは…

水色のシャツの上に羽織るのは

鮮やかな青色サマーカーディガン。

今回は、スカートではなく

少し長めのショートパンツ色は白。

よ、よし!いつもと違ってクールさもありながらも

可愛さもある…はず………

お兄ちゃんにドキドキしてくれるかな。


「そ、それでも守りたい世界が

あるんだよ……よし。

いったんクールダウンしよう…わたし」


某有名なロボットアニメの名シーン

を独白するほどに熱暴走になっていた。

水を飲み頭を冷やす。

よし、くよくよせずに突撃して行く。

女は度胸です。いざ、お兄ちゃんがいるドアの前に立つと緊張する。

ちなみに隣の家に行くだけで周囲の

視線を感じる。今日もかわいい

のだと実感し自信が湧きますが

お兄ちゃんの評価が一番、

だってドキドキとお兄ちゃんしてくれないと悲しい…。


(ううん。大丈夫だよ。優しい

お兄ちゃんが似合わないとか

言うはずがない…でも

漂う微動な感情は、薄々は解る。

くっ、またネガティブな思考が!

わああぁぁぁ。わたしは勇者だあ!

行くんだあぁぁぁぁぁ)


もはや、勇気ではなく蛮勇の偽りの

力を起こしてインターホンを押す。押してしまった。

そのため、わたしは押してから

鼓動が速くなる…不安も

あるけど逢えることが嬉しい。

様々な感情でいるとドアが開きました。


「はーい、ああ。冬雅おはよう」


「お、おはようございます

お兄ちゃん…その、これ、

お土産です!」


渡したのは神奈川県で買ったお土産。

定番で名物のお土産、お兄ちゃんが

喜んでくれると楽観できず

不安でいっぱいで落ち着きません。


「うわっ!?お土産か。

まさか、お土産を貰えるなんて…はは、ありがとう冬雅。

私なんかのために」


笑みを浮かべて謝意を述べるお兄ちゃん。わたしは聞き逃しできない

言葉があった。


「お兄ちゃん!

私のなんかのためになんて…

そんなことないですよ。

お兄ちゃんだから選んだのですよ!

わたしはお兄ちゃんを喜んでくれるって、思って頑張って悩んだよ」


いつもの乾いた笑顔を浮かべて自分を卑下をする言葉に対して早口で否定しました。

怒りの矛先は曖昧でよく分からない…卑下するお兄ちゃんにか、

自己否定感を言われてしまった自分にか。


「そ、そうなのか。

それだけ、考えてくれていたなんて…ありがとう。

二度目のお礼の言葉で満足しないよね」


「いえ、そんな…いくらでも

ありがとうを言っても嬉しいん

ですよ感謝の言葉は。

…お、お兄ちゃん……

お礼してくれませんか?」


「お礼?私ができる事なら」


こ、ここが勝負です!恥ずかしくて、

逃げたいですけど本当にそれを

やればお兄ちゃんが離れそうで、その

選択を取れば会えなくて怖い。

でも、わたしが言うのは拒むく

セリフ。


「お、お兄ちゃん!!……

あ、頭を、

頭をなでてくれませんか?」


「な、なでるだけでいいのかな?」


気づけば、わたしはうつむいていた。

顔を上げるのが急激的な重力が上がったように重たい顔を上げる。

不思議そうにしていた。


「…お兄ちゃん、だめかな?」


可愛く入念に練習した狙った仕草とセリフでしたが、心が爆発しそうで演技では無くなりました。


(それにしても、あれだけ

頑張って言ったのに首を傾げる

なんて…お兄ちゃん

恥ずかしがってもいいのに)


これが大人の余裕でしょうか?経験豊富だから慣れているかもしれません。


「ああ、いいよ」


「ふぇ!?い、いいんですか?」


信じられず確認します。


「実はいくらか、なでたい気持ちはあったん

だけど…流石さすがに本人の承諾もなく

なでるわけには、行かなかった

からなぁ」


「お兄ちゃん!これから、思う存分に本能を開放して、わたしだけを。

スゴイこととか、いいんですよ!」


わたしの心は喜びで爆発して言葉が幼稚になっています。


「…よし、頭をなでるよ」


あっ、スルーされた!?

自分でも大胆すぎるので、驚きは

あまりなかった。

そして、本当に頭をなでてくれました。優しく愛おしいそうにして。


「………えへへ」


頭をなでなでしてくれます。

これは、思ったよりも気持ちいい。

ご褒美としては、満足ですね。


「終了と、冬雅。

今日もうちに上がるかい?」


「もちろん。お兄ちゃん突然

だけど、今日のわたしは

どうですか?」


手を水平に肩の左右に上げる。


「今日は、カッコよさそうで

可愛いと思うよ」


「ッ―!?えへへ、お兄ちゃん

大好きです!!」


予定にあったハグは実行には出来ませんでしたが満足です。

今日のわたしが決めつけた課題の

告白を言います。

反応は、苦笑でした。手強い!

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