第8話その家に泊まってもいいですか?
夜までいた峰島さんを隣家まで送る。
「はぁ・・・はぁ・・・・・」
「どうしたの慌てて?」
膝を手を置き息を整える。
追いかけるにしても歩いたら
いいのに。
「その、家に泊らせても
いいですか?」
「・・・ごめんそれは無理だね。
それが、危険だって高校生になるん
だから分かるはずだよ」
「ち、違うんです。いえ、違わない
けど、違うんです!」
「と、取り敢えず落ち着いて
話をしてくれるかな」
「は、はい。現れたんです・・・
家にあの黒い物体が」
怯えきた表情で正体を言いたくないと避けるその存在とは一瞬とも呼ばない刹那で悟る。・・・あれか。
「えーと、私が倒すのは?」
「イヤです!お兄ちゃんに
汚い部屋に入ってほしくないの!」
「わ、私は気にしないけど」
涙目で激しく首をぶんぶんと横へ振り強い意思で拒否された。
まあ、好きな相手に汚い部屋を
見せたくないよね。
「でも、家で泊まらせるのは」
「も、問題はありませんよ。
妹と一緒にいない方がおかしい
のてすから!」
「・・・そうだけど、違うでしょう」
本当に妹ならそうだけど。
納得させる理論がめちゃくちゃだ。
最初は普通に会話がいつから
こんなに変わったか。
恋は盲目と言うやつかな?そうだとしたら冷静に自分の発言に
「あー、わかった。もうこの流れ
だと泊まらせないといけないから
早々に白旗を上げるよ。
具体的な解決策は入ってからで
いいかな?」
「は、はい!」
いつもの一日って定義なんだろう。
新たな哲学を
なりながら家に上がり居間へと入る。
「えへへ、なんだかドキドキします」
「私は別の意味でドキドキするよ」
正しい対処方法を誰か教えてほしい。
「もう!なんですかお兄ちゃんは。
もう少し照れたり嬉しそうに
してくれたって・・・いいのに」
明るかった表情から、頬をリスのごとく膨らませ怒りと落ち込む。
喜怒哀楽がすこぶる表れている。
表情が豊かすぎる彼女に俺は、
この状況から敵前逃亡したい。
「峰島さんと居ると私も楽しいよ。
でも男と女の子が一緒にいるのは
・・・精神的に危険だから」
「そう・・・ですけど。
お兄ちゃんは変なこと絶対にしない
じゃないですか。
そこは信用しているんです」
暗い表情から、満面な笑みに戻り疑いのない信頼の眼差し。
見事な
この四字熟語が思い浮かべるぐらい明るい笑み。
それは、ある程度は慣れているけど
こうも全幅の信用とかされると・・・
「あっ!やりました。
照れてくれました!」
「そ、それは・・・部屋が
汚れていないか気になって」
くっ、否定できん。
「ほぼ、毎日ここに来るのに
そんなの・・・そういうことに
して置きますねお兄ちゃん」
言葉を続けながら彼女は、
ソファーへ進み座りボンボンと横へ叩く。
どうやら、傍らに座れと催促だ。
抵抗する理由は無く俺は隣へと座る。
「わたしこの時が幸せです・・・
昨日から不満があるんです」
不満そうに頬を膨らませ怒っていると言葉と表情。されど目は全然、怒ってない。
「脈絡もなさすぎるツッコミ
放棄して、不満とは峰島さん?」
「それです!わたしのことを
下の名前で呼んでください!」
下の名前・・・なまえ・・・し、しまった!
下の名前を知らない!?
仮に知っていても呼ぶつもりないけど。
「ふゆか・・・冬休みの冬と雅な趣味の雅で
わたしの名前ですよお兄ちゃん。
ほら、冬雅と呼んでください」
キラキラした期待の目で真っ直ぐ
見られて俺はサッと逸らす。
咄嗟に出た行動、少しして戻すと
不満、悲痛が混ざった表情していた。
疲れないかなこんなに変化して。
「いいけど、それでは呼ぶよ。
・・・ふゆか」
「・・・・・え、えへへへへ」
が、声音は
嬉しいけど恥ずかしそうにされると
こちらまで伝わり、恥ずかしいです。
「も、もう一度・・・いいですか」
「ふ、冬雅」
「やっと、呼んでくれた!
これで残った問題は年の差に
なったねぇお兄ちゃん♪」
肩へ寄り添い、これはやりすぎでは
ないかと本能的に警鐘が鳴り、
離脱しないといけないだろう。
俺は、腰を上げてイチャイチャを回避する。
「お、お兄ちゃん?」
「それじゃあ、お風呂とか布団など
準備しないといけないから失礼!」
「は、はい」
寄り添われたことに俺はドキッとして
戸惑うも、穏やかな気持ちにさせる。正直に言えばここまで好意を向けられるのは嬉しい。
冬雅が泊まる事が決定したため。
まずは、お風呂を沸かし
次は冬雅が一時的に今日の限定での使う部屋を掃除。
お風呂が沸き入浴できるよと響く。結局、お泊りする流れになって俺は何をしているのだろうと自問自答。彼女はお先に入りますね。と下に降りた俺に頭を下げて伝える。その間に居間でゆっくりとPCで小説を書く。
「お兄ちゃんお風呂から
上がりましたよ~」
小説を書くと時間の経過が速い。
ともかく言う必要性、絶対にないよね。
「その報告は・・・まあいいか。
はい、サイダー」
彼女は、着替えが無かったので
制服姿のまま。冷蔵庫から
サイダーをテーブルの上に置き。
ペットボトルを両手にして座る彼女。
俺が使っているシャンプーなのに
いいニオイが漂っていて、
それと濡れた潤いのある髪・・・魅力よりも
心を許している所に嬉しく思う。
これが、先に思ったことに俺は彼女を
好きじゃないんだなと確認できた。それでどこか安堵する。
「えへへ、こうしていると夫婦
みたいですね。わたしたち」
「ちが・・・まぁ、なんとなく」
否定しようと思ったけど、
わざわざ指摘するほどではない。否定せず肯定。
「えへへ」
幸せそうに微笑む彼女に
いつまでこの温かいやりとりが
続けるか分からない。
自然消滅するのも覚悟しているのに
ずっと続いてほしいなんて
願いたくなるのは、なんだろうか?
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