第6話オススメのラノベはなんですか?
誰も彼もが
職を失った俺は
ニートの特権である膨大な時間を
有意義に使う。
小説をたくさん書くぞ!
それで、プロになってやると
闘志を燃やしキーボードを
素早く打つ。
しかしそれは夕方まで。
窓から控えな橙色の光が窓越しから染まる居間で手が止まり悩んでいるとインターホンが鳴る。
「ま、まさか・・・」
もはや、誰がなんて一人しか思いつかない!玄関へ向かう足が重たい。俺はドアノブをゆっくりと
開ける・・・制服姿の峰島さん。
「えへへ、ただいま♪」
あらゆるものを照らす光。
そう思えるのはロリコンだな。一応、ロリコンじゃないと思いたい。
「あ、ああ。おかえりなさい・・・
で、いいのかな?」
その前に峰島の家は隣だよ。と
指摘も出来ずにおかえりと返す。
この言葉が嬉しく思う自分がいる。
「うん・・・ありがとう。
否定しないでくれて」
うろ覚えだが彼女は一人暮らしで、親しい間柄の
人がいないと言っていた。
俺と似た孤独を知りすぎた一人。
(だから、分かるんだ・・・・・
おかえりとただいまの忘却を。
その当たり前であった言葉では
表しきれない。
優しさと温かさと当然の意味を。
これだけで、このセリフだけで
俺は救われたような
安心感で満たされている。
それが目の前の峰島さんにも
伝わっている・・・かもしれないが)
似ているけど同じじゃない。孤独を知ってもその深い事は知らない。
「そ、その・・・見つめてくれるのは嬉しいんですけど。
・・・・・そ、そう微笑まれると」
「わぁ!?ご、ごめん!
気持ち悪かったよね」
「いえ!そんなことありませんよ。
いきなりでしたので、ドキドキが
止まらなかった、だけです。
・・・き、今日も言います!
す、好きです!大好きですーー!!」
目を閉じて愛を込められた告白。する峰島さん。
そ、そう全力投球の好意を
向けられると
失神するほどに嬉しく思う・・・
けど、冷めてもらわないといけない。視界の箸で
叫んだことに通りすがりの学生や
主婦さんなど、チラと見ては驚いて怪訝そうにしていた。
その奇異な視線で冷静になる。
(理由を述べれば、枚挙に
青みがった黒のブレザー制服が
似合っていてまるで美少女ゲームのシーンみたいで一種の錯覚。
JKの冬雅が大人の男性に告白。
今や頬を赤らめ
一度、過去と現在を照らし合わせてクリアーになった思考で分析。
悪目立ちしている。チラチラと視線を向けられ状態じゃ、このまま家を上がらせるのは難しい。
ここは、一手を打つか。
「今日は、どうしたんだ?
兄としてはそこでじっとされると
困るよ」
「えっ、え・・・あの、やまわ――」
突然の言葉遣いが変わり困惑しどろもどろ。
「や、やれやれだ。
ほら、早く家に入れよ!」
不自然を感じないよう程度に高い声を出す。峰島さんはボカンと硬直。ならこの状況が飲み込めずにいる峰島さんに俺は冷ややか表情を作る。
「まったく、入らないなら
学校とか友達の家に行けば?」
冷たくあしらうような言葉。
「・・・・・・・・ぁ」
だ、駄目だ。純粋な峰島さんに
俺の意図が伝わっていない。
十中八九、下手な寸劇だと自覚していた。
こうなれば、少し不自然になるが。
「俺の妹なんだから・・・
手を
ほら、入れよ妹!」
ら、乱暴すぎないかな?いや、やりすぎだ!心に傷をつかせていないか不安で心配だ。
「は、はい!お兄ちゃん♪」
そんな乱暴な促しに明るく返事した!?
ドアを閉めて意図を汲み取った彼女。もちろん外の周囲に聞こえる音量で実行してくれた。
不快ではなかっただろうか。
近所で、援助交際とか淫行などの
疑いを避けるために
「失礼な言葉の数々に本当に
すみません峰島さん!」
「そ、そんなことないですよ。
さきの強い言葉や態度が・・・
強力すぎてドキドキしましたので。えへへへ」
右手を後ろ髪に上下なでるようにくるくるとする彼女に俺は自然に笑みが出て、いつぶりか一緒に笑い合う。
少し前に行った言葉に羞恥が襲う。彼女を恋愛対象を除外したいのだが余計に冷めるのが遠くなったような・・・。
俺は料理を作り彼女は録画した
アニメを鑑賞。
夕食が完成すると向かう位置ではない斜向かいに俺は座る。―――っが、彼女はその距離感に不満そうに頬を膨らませ斜向かいから、
正面位置にあたる椅子を座る。
(・・・まぁ、いいか)
夕食のハンバーグとキノコ味噌汁を平らげて食器を洗おうと立ちがろうとする―――
「わ、わたしがやります!
せめて、これだけは」
まだ、食べ終えていない彼女は
箸を止め、皿洗いをすると言う。
「心遣いは嬉しいけど、
ここは私がやりますので」
「い、いえ!わたしの分まで作ってもらい、次は洗うのは・・・。
だ、だからお願いします!」
お願いされた。そこまで恩が窮屈に感じているように思える。
「それなら、二人でやろうか」
「は、はい!」
ニパッと花が咲く笑顔。
俺が食器を洗いそれを拭きのが直すのが峰島さん。エプロンがないのは申し訳ない。後で峰島さんの分アマゾンとかで注文しようと決意。
「な、なんだか・・・この連携って夫婦・・・・・みたいですね」
「・・・あ、ああ」
危うく食器を落としそうになった。表情にリアクションはないはず。視線を横へ向けると彼女は
(初めての共同作業。
けど・・・そんなに照れられると
こっちまで、恥ずかしくなる)
彼女の手伝いのおかげで早々と終わり静謐な空間となった。
なんとなく、リビングテーブルに挟む形で座る。
「・・・なろう系で山脇さんの小説を
沈黙にあった中でようやく終わりを告げ峰島さんの第一声にドキッとした。小説の感想は心拍数が速くなるだろう恐怖と高揚。
「そ、それで・・・どうだった?」
緊張した。軽いつもりで好きな時に読んでくれたらと言ったのだが、すぐに感想を聞けるとは
思いもしなかった。
(面白かったか、つまらなかったか・・・不安と期待でごちゃ混ぜになる)
「それで・・・ラノベって
なんですか?」
「えっ!そ、そこから!?」
まさか、知らないとは知れず
頼んでしまったか俺!
ライトノベルの略称で、軽く明るい小説で、アニメのような小説。
と、なんとか説明したが
首を傾げまだ理解していないようだ。
「その説明だけじゃ、どうしても。そのラノベを山脇さんのオススメを貸していただけませんか?
後学のために学びたいです」
「ま、学ぶものじゃないけど・・・・・まあいいか。
男性向けだけど・・・・・ああっーー!!」
「ひゃっう!?
・・・どうしたのですか?」
小説大賞の応募する俺が
書いている小説と趣味で書く小説は、どちらも男性向きだった!?
今になって頼むの間違ったと
遅まきながら気づく。
相手は女子高生で意見を求めるのは間違っていたかもしれない。
「急で、心苦しいのですが
俺の小説を読まなくて構いませんよ」
「ふぇ?本当に急ですよ」
ちょっと驚愕して納得していない様子。
「ほ、ほら俺の小説は一応は男性
ターゲットだから
峰島さんには合わないと
思うのです。
お、おそらく女性でも見れる
内容だと思うけど」
「ヒマな時間で見ているだけで、
お気になさずに。
それよりも山脇さんのオススメ
ラノベです!」
話は戻され、オススメのラノベと
促す。これは、いくら言葉にしても引くつもりらしい。
「しばらく、ここで待ってください」
二階に上がり寝室にある本棚からラノベを悩んで悩みきり初心者向きで女の子でも読めるもの。
「女性高校生でも楽しめる
内容は・・・」
すれ違い恋愛で話がかなり進む。
声を出して笑ってしまうほど面白いゲーマーズ(ラノベ)か。
人間ドラマの熱さ、
ゲームの世界観が熱くて面白い
ソード・アート・オンライン。
難しい漢字やゲームの知識がなくても
ついてこれるゲーマーズ・・・
しようかな?
俺は悩んだ末に選択したのは――――
「とりあえず、個人的に面白いと
思った小説を持ってきた!
この中を選んでくれ」
リビングテーブル上に置かれ並べるは好きなラノベの各一巻。
悩むぐらいなら悩んだラノベを全部だ!熟考ではなく直感で。
「・・・あれ。妹のタイトルつく
ものが多いですね?」
ほ、本当だ。まさか言われるまで気づかなかった。
「・・・キノセイダヨ」
し、しまったぁぁーー!最近のラノベで妹のつくタイトル多いんだよなぁ。すごい好きですけど。
「そ、その・・・このラノベを
お借りにしていいですか?」
「えーと、俺がすきなのは妹だけど妹じゃ・・・・・いやオススメ
できないよ!」
咄嗟に否定したが、個人手な感想はスゴイ神作品。
このラノベは、
讃え、それでない人でもシスコン
(シスター・コンプレックス)になるだろう・・・・・多分。
手にした小説に驚きを隠せずに
声を上げた。彼女は、大人の大げさな反応にビクッと肩を振るわせる。
「駄目・・・ですか?」
上目遣いは、
「それは・・・なんていうか
男性向けの小説で、峰島さんには
絶対に合わないと思うよ」
「そ、そうなのですか。
・・・この小説は、好きですか?」
「ああ!大好きだね。
メインヒロインが頑張って
イチャイチャしようと、気持ちが
可愛くって。
なんだって、妹とデートや告白の
シーンとか読んでいて
これが、真の勝ち組かと
シスコンなら、百人に百人が
神作品と呼べる素晴らしい小説。
布教活動したくなるほど。
「じゃあ、熱く語ったこの小説で」
「・・・へぇ?あ、ああ」
語っている途中から引かれると覚悟したのだが。まさかの言葉だった。
もしかして、女の子もシスコンいるのだろうか?
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