月ノ音

姫亜樹(きあき)

月ノ音

月は青白く輝き

都市の影を浮かびあげる

真っ赤なドレスをひるがえして

君はぼくから翔けて逝く

その白い腕をつかみ

ぼくは意識を失う


闇が深まり

月は力を増し

耳障りな音を響かせている


昼の熱を放つ

アスファルトの上を

ぼくは

真っ赤な薔薇を抱えて

一人きり歩く

都市の雑音は遠く

ただ

月ノ音だけが聞こえる


コンクリ工場の

白く浮かび上がる砂利の山

はらはら散る赤い花びら

ぼくは砂利の山のてっぺんに

真っ赤な薔薇を埋めた


月ノ音をレクイエムにして

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月ノ音 姫亜樹(きあき) @Bungo-2432Da

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