第五話Part最終『半分こ』

東矢:ホテルフロント 夜


東矢だ。思いつく限りの場所を捜索して、森羅さんを見つけた。

彼女はホテルのフロントでピアノを弾いていた。


「森羅さん」

「東矢くん、どうしてここが」

「ここは俺達が初めて会ったところじゃないですか。だから、何となくここにいると思って」


 俺の言葉を聞いた森羅さんはため息を着いて、ピアノを弾き続けた。


「この間、別の女の名前を出してしまったのは謝ります。でも彼女は本当に職場に来たばかりの女の子で、僕も彼女のことはよく知らないんです」

「そういうことやないよ」

「え」

「私と彼女、牧野玉藻は半分こなんよ」

「半分こ? どういう意味ですか」


「東矢君は秘密を守れる人?」

「勿論です。口は堅いですよ」


「じゃあ、もっと仲良くなったら教えてあげるよ。半分この理由」

「わかりました。」


半分こか・・・一体どういう意味だ。彼女と牧野玉藻の間にどんな秘密があるというんだ。


牧野:渋谷スクランブル交差点 朝方


まっきのたまもです。

ただ今、私は美咲ちゃんたちと一緒に渋谷の街を清掃しています。


「玉藻、手伝わせちゃってごめんね」

「いいんだよ、美咲ちゃん。私掃除好きだから」

「こうやって掃除をすることで来年も気持ちよくイベントが出来るでしょ」

「そうだね」

「ねえ玉藻。レインバスに入って2ヶ月になるけど、あなたの夢は順調?」

「うん。順調だよ。実はね。今度ライブハウスのオープニングアクトに出られることになったんだ」

「へえ、凄いじゃない。日にちが決まったら教えて。ぜひ観に行くわ」

「うん」


 私の夢は順調です。後は森羅さんに早く会いたいな。

 森羅さん、あなたは今どこで何をしているの?

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