第五話Part5『暗黒少女を探せ!』
犬伏:株式会社スケール 応接室
犬伏です。今日も外回りでスケールにやってきました。
社長の相楽さんは沢木さんとなにやら言い合いをしています。
「ですから彼女は絶対にダイヤの原石です」
「そんなこと言ったってお前会えないんじゃどうしようもないじゃないか」
「私が責任を持って秋田から連れてきます」
「おう言ったな、沢木。」
「はい、この沢木文殊、男に二言はありません」
「あのー、お仕事中でしたか」
「おや犬伏さん。来てくれたんだね、こんにちは」
「あ、はい、こんにちは」
「今ちょっと沢木の奴が騒いでいてね。うるさくて敵わないんだよ。」
「スペルマスサスペンションズは永遠に不滅です!」
え、スペ・・・・やだ、下ネタ。
「なんですか、そのスペ・・・なんとかって」
「スペルマスサスペンションズは秋田を拠点に活動しているメタル系バンドです」
「へえ~」
あたしはどうやら沢木さんにロックオンされたらしい。
「そのバンドメンバーの一人に女の子がいるのですか、それがとてもベースが上手くて、しかも可愛いんです」
「へえ~」
「私はスカウトするために楽屋に行ったのですが、リーダーの男に殴られて追い返されてしまったんです」
「どうせお前の見間違いだろう。もしホントに美少女だったら今頃youtubeに投稿されて話題になってるはずだ」
「それがけったいな衣装で化粧をしているので中々顔は分からないんですよ」
「じゃあなんで美少女だってわかったんだ」
「楽屋を覗き込んだときに一瞬彼女の素顔を見たんです。暗黒少女とは名ばかりの超絶美少女でした」
「お前、抜け目ないな」
「ええ、きっと彼女はスターになりますよ。すぐにスカウトに動きましょう、社長」
「あんまり期待できないけどな」
どうやら暗黒少女という娘をスカウトしたいらしい。あたしにはあまり関係のない話ね。
東矢:株式会社レインバス 営業部
東矢だ。今、俺は焦っている。
森羅さんと連絡が取れなくなってしまったのだ。
電話をかけても出ない。LINEを送っても未読スルー。
「こら、東矢、仕事中にスマホをいじるな」
「あ、係長、すいません」
一体どうしたって言うんだ。
とりあえず彼女を探さないと。心当たりのある場所をあたってみよう。
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