第3話part1『名探偵の妹はえちえちっぷりも完璧』前編

網浜蘭:私立晴嵐学園高等学校 2-A組 放課後


 蘭です。今日の授業が無事に終わりました。しかしここからが私の第二幕の始まります。

 探偵研究会に所属しているというか私は部長なのですが、そちらのお仕事が待っているのです。

 私は自分の机に「求む仕事」と書かれた紙製の三角コーンを置いて、仕事を待つことにしました。

 探偵の仕事は多岐にわたります。とくに学校では落し物探しとか人探し、浮気調査が多いです。

 え? 殺人事件? それは私にとっては専門外です。


 私が物思いに更けていると、教室に中等部の制服を着た学生が入ってきました。

 「網浜先輩! 大変です」

 彼女の名前は笠鷺夢乃、中学2年生のお嬢様です。いい年して甘えん坊で女子の先輩達を虜にしています。

 はっきり言ってジゴロです。

 「どうかしましたか? 笠鷺さん?」

 「理事長のネコが行方不明になったそうです」

 私は軽くずっこけました。

 「一体どういうことですか?」

 「理事長が部屋を掃除中に窓から抜け出しちゃったみたいなんですよ」

 「まったく世話のやけるお爺ちゃんですね。」

 私はおもむろに立ち上がり、夢乃を連れて理事長室へ向かいました。



網浜蘭:私立晴嵐学園高等学校 理事長室 放課後 


 蘭です。理事長室にやって来ました。

 室内のソファではお爺ちゃんが頭を抱えています。

 「おお、蘭。来てくれたか」

 「カムカムがいなくなったのは本当ですか?」

 カムカムというのは猫の名前です。

 「ああ、窓を開けていた隙にひょいっと部屋から出てしまったんだ」

 「まったく無用心だね。そんなことだから髪の毛が抜けるんだよ」

 「それとこれとは関係ないだろ。頼む、蘭、カムカムちゃんを連れ戻してきてくれ」

 「はいはい分かりました。言われなくても行きますよ」

 「私も行きます」

 「夢乃ちゃんは結構です」

 「そんな、私、猫の生態には詳しいんですよ」

 「ほう、例えば」

 「猫の世界には色が無いんですよ!」

 私は夢乃を置いてさっさと理事長室を後にしました。

 「ああ、ちょっと待ってください、蘭様」

 「猫の生活圏は半径50メートルといわれています。ですのでそう遠くにはいかないでしょう。

 おじいちゃん、カムカムが戻ってくるかもしれないから窓を開けておいて」

 「ああ、わかった。頼んだぞ、蘭」

 「お任せを」

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