第1話Part19 『名探偵の妹は入れ違いっぷりも完璧』


網浜蘭:六本木 夕刻


 蘭です。ただいま被告人の崎山徳子とお供の生徒会男装女子の久原流と共に容疑者の根城へ向かっています。

   

網浜蘭:私立晴嵐学園高等学校 2-A組 教室内


 蘭です。ただいま久原流と一緒に崎山徳子を締め上げています。 


 「それで、貢ぐための軍資金を稼ぐために生写真を正規よりも高い価格で販売していたと」

 私は崎山徳子の顎を指で持ち上げながら話しました。

 「はっはい。そうです」

 「全く、いい年して男に入れ込むならともかく、男装の女性に入れ込むなんて、

 あなたちょっとアレなんじゃないですか?」

 「失礼なことを言わないでください。おタマ様はそこらの男装女性とは物が違うんです」

 「ふん。とにかく、学園ではこの写真を売らないこと。いいですね」

 「・・・・」

 「い・い・で・す・ね」

 私はほっぺを叩きながら問いただしました。

 「はいわかりましたから、もうぶたないで下さい」

 「では私を件の店に連れてって下さい」

 「え?」

 「え?」

 「え?」 

 

網浜蘭:男装カフェ ジュリエッタ店内


 蘭です。さっそく男装喫茶ジュリエッタにやってきました。

 店内は閑散としています。

 男装をした給仕人が私達のところへやってきました。

 「お帰りなさいませ、ご主人様」

 「私はあなたのご主人様じゃありませんよ。ところでススガタマという女はいませんか」

 私がススガタマの名前を出すと、店員の顔が曇りました。

 「彼女は先日辞めました」

 「ほう」

 「なんですってーーーーーーーーー」

 崎山が私の隣で叫んだので、私は耳がキーンとなってしまいました。久原も耳を押さえています。

 「ああ、世界の終わりですわ。おタマ様。あなたという太陽を失った私はこれからどうすれば」

 「とりあえず事件は解決ということでいいか、蘭」

 「そうですね。拡散される写真の元がいなくなったんですから、終了でよいでしょう。 

 できれば本人にあって嫌味の一つも言ってやりたいところでしたが」 

 ほんとに、人騒がせなススガタマ。 

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