第94話 ガルルワント魔王軍
「すべてのものに声をかけ召集せよ。部隊編成については、ガイム北方将軍、ローム南方将軍、サライ東方将軍、セラム西方将軍に一任する。また、学生部隊はユウキが中心となって編成してほしい。戦闘に参加できないレベルの者は避難させるように!」
セイリウス国王の指示が終わりすべての者達の体制が整う前に・・・オルタナス国上空の魔法陣が完成してしまった。
第94話 ガルルワント魔王軍
オルタナス国上空の魔法陣から、灰色のスーツに身を固めた一人の紳士が下りてくる。オールバックに整えられたシルバーの髪の間から2本の大きな山羊のような角が生えている。
「わたくしは、ガルルワント魔王直属の私設秘書のルーカスと申します。この国の国王と話がしたいのですが一席設けていただけませんでしょうか。」
魔法陣から出ってきたのはその紳士一人だけであった。魔力感知できない兵士たちは、穏やかな話し方をする魔族に気が抜けたようにほっとしている。
しかし、魔力放出の様子もなく空中に浮遊しているだけでもかなりの魔法使いであることは学生は気づいていた。さらに、魔力感知できるユウキをはじめ数人のSクラスのメンバーは、膨大な量の魔力に戦闘態勢を崩す事は無かった。
ユウキは、国王に
「セイリウス国王陛下、ここはあの魔族の言うことを聞いていたほうがいいかと。準備をしているうちに戦闘態勢も整えることができるかと思いますし。それまで、国王陛下が相手をしていていただけると助かります。」
セイリウス国王はその言葉を聞き、他の国王とも相談をしていざという時のために、オルタナス以外の選抜メンバーも同席することで一席設けることにした。
「ルーカス殿と申したな。どのような話があるのかは知らぬが、そなた一人でなら一席設けようではないか。その代わり、こちらの同席者は決めさせていただくがそれでよろしいか?」
セイリウス国王は、ルーカスに向かって話しかける。ルーカスという魔族は、その条件を二つ返事で承諾した。
「準備ができたら花火を打ち上げる。それまでは、皆が怖がるゆえ遠方にいてもらえると助かるのだが。」
セイリウス国王は、一旦ルーカスを遠ざけるためにそう言うと、ルーカスは魔法陣の中に消えていった。
「よしっ!今のうちにユウキたちは準備を。その他の者達もできるだけの避難をさせるように。兵士たち国王軍も避難の手伝いに行きなさい。防衛も攻撃もあのもの一人には通じないであろう。唯一対抗できるとしたら、ユウキたちと勇者候補の友軍のみであろう。その者たちに任せるのだ。皆、この国難をどうか乗り切ってほしい。」
セイリウス国王は、そう言うと深々と頭を下げる。
「国王!頭をお上げください。自信をもって、自分たちで戦えますということができずに大将軍などと・・・我ら東西南北各将軍の総力をもって避難誘導に当たらせていただきます!」
ガイム北方将軍は、セイリウス国王へそう言うとその他の将軍とともに城下へ向かっていった。
ユウキたちは一旦、オルタナス学院へ戻り事の次第を学院長とSクラスを中心に話をし、総力を集めることにした。
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