第89話 ユウキ、双子と〇〇する


 第89話 ユウキ、双子と〇〇する


「「ユウキ様~!!私たちをどうぞ、お使いくださいませ~!!!」」


 ユウキが、ナーガ・ロージアの攻撃に攻めあぐねていると、ユキとフユが、ユウキの側に来る。


 ユキと、フユはそう言うと、目を閉じて何やら唱え始める。すると、二人の体が、黒く光り始め黒い光になったかと思うとユウキの周りをくるくると回り始めた。ユウキの頭の中に二人の声が響いてくる。


「「ユウキ様、これは、私たち二人が本当にあなた様を主と認めている証拠でもあります!私たちを使って存分に戦ってくださいませっ!!」」


 声が消えると同時に、黒い光はユウキの体を包み込む。


 【覇王の剣・盾装備】攻撃力 現攻撃力+500


 【覇王の防具一式】 防御力 現防御力+500


 ユウキのステータス画面に、覇王装備のステータスが現れる。ユウキの固有装備【破壊竜装備】に比べると数値は劣るものの、その辺のSクラス武器の補正で+100程度であることを考えるとかなりの高性能装備である。しかし、ユキとフユの2人の力を借りるということは、状況によっては戦力低下の可能性もあるため装備する際には気を付けないととユウキは思った。


「・・・しかも、この装備、ユキとフユに全身を包まれている感触がしてかなり気持ちよく脱ぎたくなくなってきそうなんだよなぁ・・・。」


「「それはそれで、いいんですけど、そろそろ目の前の恐竜さんがしびれを切らしてそうな顔してますよぉ~?」」


 ユウキと、双子の様子にあっけをとられていたナーガ・ロージアは我に返り、ユウキを食いちぎろうとユウキの頭から噛みついてくる。


 しかし、噛みついた先からナーガ・ロージアの太く鋭い牙は、ボロボロと腐食してしまった。【覇王装備】の特性の【腐食】によって腐食耐性のないものはすべておかされてしまうようであった。


「この防具・・・。能力高すぎだろ・・。」


「「お褒めにあずかってうれしいですわっ!!」」


 【覇王装備】は双子の体で構成されているため、双子が喜ぶとキュッと甘く締め付けられる感触が全身にある。


 ユウキは、巨大な恐竜の足元から切り付けていく。体格差はあるものの、剣にも腐食効果があり数回切っていくと巨大な恐竜は膝から崩れ落ちてしまった。


「でかくても、頭がここまで下がればどうってことないな。」


 足と口の腐食による痛みに耐えきれず、立つこともできないナーガ・ロージアは、手でユウキを攻撃しようとするももちろん当たるはずもない。

 地面に落ち、ふがふが言っているナーガ・ロージアの目はすでに赤くはないものの、体を元に戻すことはできなくなってしまっているようである。


「力を悪に求めた代償か・・・。これ以上苦しまないように・・・。」


 ガスッ!!!


 ユウキの剣によって切り落とされた、巨大な恐竜の目からは、一筋の涙が流れているが、助けを請う雰囲気ではなく最後をユウキに任せられて安心しているようにみえた。


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