第78話 レインとナミ


 第78話 レインとナミ


「う~ん。ユウキ様ぁ~。もっと抱きしめてくださいぃ~。」


 戦闘訓練が終了した後、ユウキに抱きかかえられて保健室に連れていかれたレインは目を覚ますと、ユウキの【隷属魔法】にかかっていた。ユウキは、意識して魔法を使用していなかったのだが、強い衝撃を与えた事と抱きかかえて保健室まで行ったときに密着したことによって勝手に【隷属魔法】が発動してしまったようである。


「ちょっと、おねえちゃん!どうしたのぉ~??」


 ナミは、レインの様子を見に保健室に行くと布団の中で悶えているレインに驚き、両肩をつかみ揺さぶっているがレインに布団の中に引きずり込まれ抱き枕にされしばらく抵抗していたが、一緒に寝てしまった。


「ナミさーん。レインさーん。もう門が閉まっちゃいますよー起きてくださーい。」


 ノーラ先生が、保健室のベッドですやすや寝ている姉妹を見つけ声をかける。ナミが目を覚ますと、レインは、いつもと変わらないキリっとした表情で長い金色の髪の毛を整えていた。


 『あのお姉ちゃんは夢だったのかな?』と、ナミは思いながら起き上がると、なぜか制服はすべて脱がされ下着姿になっていた。『・・・ほんとに夢だったのかなぁ・・・』



 ~メル・ヴァニラ~


 自宅に戻ったメルは、部屋に入ってピンクを基調とされたベッドに寝ころびながら、今日の訓練のことを考えていた。


「ユウキはもちろん、ユキちゃんとフユちゃんも悔しいけど強いわね。あの三人は、まだ実力の半分も出していないはず。今、私が戦ってもとてもじゃ無いけど敵わないわ。でも、いつかは勝つからっ!」


 いつも学院では、お嬢様タイプで通っているメルであるが実はかなりの少女趣味である。可愛いパジャマに、大きなクマのぬいぐるみたちに囲まれた部屋でくつろいでいる。


「ユウキとユキちゃんフユちゃんってどんな関係なんだろう?兄妹じゃなさそうだし・・・。でも、いつも一緒にいるし。・・・そう言えばっ・・・いつも一緒に帰ってるっ!?・・・まさかっ!一緒に住んでいるんじゃないかしら!?不純ですわっ!不純異性交遊ですわっ!」


 実は、メルは、見かけによらず大分、妄想少女であった。抱いていたクマのぬいぐるみをバンバンとベッドにたたきつけながら、妄想だけで身悶えていた。

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