第77話 訓練後の夜



 ノーラ先生を左手で抱きかかえ自分の後ろに避難させ、龍神化したレインの身体を右手でこちらも抱きかかえるようにして止める。そのまま、左手の手刀で後頭部を一撃するとレインは崩れ落ち、変身もとけてしまった。


 第77話 訓練後の夜


 戦闘訓練によって、負傷したものはいなかったが初めての訓練で全員に強い疲労が残ってしまい、訓練終了後は帰宅することになった。


 ユウキと、ユキ、フユの3人は、そのまま宿に帰ろうとしていたが「春姫」から呼び止められていた。


「ユウキくん。うちのおねぇちゃんが、今日家に連れてきてと言ってたんだけど来てもらえますか?」


 ユウキはしばらく考えた後、ユキとフユに


「二人ともどうする?一緒に行くか?」


「「ユウキ様が、行かれるならついていきたいけど・・・あの人少し苦手ですぅ。ただでさえ宿に勝手に来るのにさらに家にまで行くのは・・・。何かおいしいものでも食べながら宿に先に帰っときますぅ~!」」


 ユキとフユは、本気で嫌な顔をしながら、二人で手をつなぎながら帰っていった。


「じゃあ、僕一人で行くよ。春姫ちゃんも僕が行かないと姉ちゃんから何言われるか分からないからね。」


 ユウキが一緒に帰ってくれるということになり、春姫の顔がぱぁあっと明るくなった。舞姫に似てはいるが、さらに童顔で姉と同様胸も大きい。身長はユウキより頭二つぐらい低いため、ユウキを覗き込むようなクルクルした目がとてもかわいく見える。


 春姫に手を引っ張られながら、ユウキは学園の隅に建てられたこじんまりとした家に連れていかれる。


「あれぇ~?おねぇちゃんまだ帰ってないのかぁ~。今日は早く帰ってくるって言ってたのにぃ~。」


 家の前に行くと、明かりは消えており誰の気配も感じない。


「ユウキ君どうする~?中に入って待っててもらっていいかなぁ~?」


 春姫に聞かれて、外で待っているのも億劫なので中で待たせてもらうことにした。


「ねね。紅茶でいい?」


 春姫が、すぐにキッチンに行き紅茶とお菓子を持ってきてくれる。


 一緒に、紅茶を飲みながら、今日の訓練の話などしていると


「ただいまでござる!」


 随分と古風な挨拶をしながら、舞姫が返ってきた。


「春姫~~!!あんたさいっこう!!ユウキ様をおうちに連れてきてくれたのねっ!待ってって、着替えてくるからっ!お姉ちゃんにも紅茶お願いねっ!!」


 帰ってくるなりユウキを見つけ、頬を真っ赤にしながら部屋に飛び込んで行った。

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