第38話 家庭教師 桜・舞姫



第38話 家庭教師 桜・舞姫


ついにその日が来た…。


勝手に【隷属魔法】をかけてしまいユウキの隷属となっている舞姫の家庭教師の日が来てしまった…。


本人は魔法をかけられていることを知っているのか、また以前、闇の森であったあの姿と変わっているため気がつくのかなどこの日まで気になっていた…。


しかし、心配は杞憂だったようである。


「こんにちは、ユウキくん!


忍者をしてます桜・舞姫ですっ♪


舞姫先生って呼んでねっ!


今日から数日間、忍びの心得や技など教えますねっ!」


なぜなら、朝からこのテンションで元気よく屋根から忍び込み、ユウキの目の前に突然現れたからである。


魔法の効果は、自分のステータスと舞姫本人のステータスにも隷属魔法の記載が残っていることからまだ有効であることがわかる。


『余計な指示さえ出さなければ大丈夫…かな?』


ユウキは、指示を出したことにならないように舞姫のいうことを素直に聞くだけにしようと心に決めた。


「では、まず…」


グーーー!


舞姫先生が話し始めようとした瞬間に、舞姫先生のお腹が盛大な音を立てる。


舞姫先生は、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。


「あらあら〜。桜さん。ご飯を食べてから始めましょうかぁ〜。」


珍しく、桜の声で目が覚めた母親が、階段を降りてきながら話しかける。


母親の助け舟もあり、みんなで朝食を食べてから授業を開始することになった。


「桜さんは、まだお若いのに優秀なんですねぇ〜」


母親は、まるで娘が来たかのようにニコニコ笑顔で舞姫先生に話しかけている。

舞姫先生も、ご飯にガッつきながらも話しかけられると嬉しそうにしている。


朝食が終わり、


「さて、ユウキくん!お腹も一杯になったから基礎体力をつけるために運動をしましょう!」


舞姫先生は、パンパンになった自分のお腹をさすりながら体をほぐし始める。


「じゃあ、わたしと背中合わせになって。体を伸ばしますね〜!」


背中と背中を合わせて、腕を組み背骨を伸ばしていく。


以前、闇の森で会った時は、僕の方が全然小さかったのだが

今は、頭一つぐらい僕の方が大きくなっていた。


一回背中伸ばしをすると、舞姫先生は、その場にペタッと座り込んでしまった。


「あれっ?


舞姫先生…


どうかしましたか??」


舞姫先生は、座り込んだままモジモジしている。僕が話しかけたことでハッとし、トイレに行ってくると屋敷に戻ってしまった。


「こほん。


もう、着替えてきたので大丈夫ですっ!」


帰ってくると、ズボンが変わっていた。少し恥ずかしそうにそう言い何事もなかったかのように授業を再開した。


『あぁ、そういう事か…魔法の効果は絶大なんだな…触れただけでああなっちゃうんだな…。』


何となく状況を理解して、気をつける項目を心の中で一つ増やした。



舞姫先生の話は、とても興味深いものが多かった。


まず、出身は遠い東にある倭国というところであり、サムライや、忍び、ゲイシャなど、日本の江戸時代のような格好をした人たちが住んでいるらしい。


武器も、独特のものが多く刀やクナイ、手裏剣などもあり製造は倭国でしかできないとのことであった。そのため、舞姫先生も武器が壊れたら買い換える時には一度、倭国に帰っているとのこと。


舞姫先生の刀を見せてもらったが、昔何かで見た鍔の四角い忍刀というもののようであった。クナイや手裏剣も何となく見たことがある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る