第32話 家庭教師 サラン・マルモット(朝)
暖かい体温で、目を覚ます。
普段は大きなクマのぬいぐるみを抱いて寝るため、こんな体温を感じる事は無いしぬいぐるみのもふもふ感もない感触の物に抱き付いていた。
「なんだっけ・・・」
眠たい目をこすってしばらくすると、抱き付いているものがぼやーっと見えてくる。
「めがね・・・めがね・・・」
枕元に置いてあった眼鏡をようやく取りかけると、
『!!??・・・!!!!』
抱き付いているのがユウキであることが分かり飛び起きようとするが、ユウキの手が胸と自分の股の間で挟んでしまっていることですぐに身動きが取れなかった。
起こさないように、そっと手をどけ
なんでそんなことをしたのか分からないが、そっとユウキのおでこにキスをして部屋に帰る。
部屋に帰ってから、自分のしたことに気付き顔を真っ赤にしてベッドに飛び込んで頭から枕をかぶった。
「めがね・・・めがね・・・」
一瞬、寝てしまったユウキは、眼鏡を探しているサランの声でまた起こされた。
しかし、さすがに自分の手がどこにあるか覚えており寝たふりをすることにした。
『ちゅっ・・・』
手をそっとどけられた後、おでこに温かい小さな感触を感じる。
『き・・・キスされた・・・』
さすがにキスぐらいはしたことはあるが、付き合ってもいない可愛い少女にしてもらったことは人生で一度もなくユウキはドキドキしていた。
そーっと物音を立てない王に部屋を出ていく姿を薄眼で見ながら、パタンとドアが閉まったあと布団ののかで丸まりながらおでこの感触を確かめるように手を添えて悶えていた。
第32話 家庭教師 サラン・マルモット(朝)
「ユウキ様、今日は付与魔法について講義をさせていただきますねっ」
昨夜のことには触れないようにサランは講義を淡々と始めようとしている。
しかし、昨日より声が優しくなっている気がする。
「付与魔法は、基本的に装備品や道具に魔法を付与するのですが魔導師レベルで2個付与できればいい方です。」
「私は、成功すれば3個までは付与できるんですよっ!」
成功すれば、という言葉は少し引っかかったがこの世界でかなりの実力者であることはわかる。
先ず、装備品や道具の構造を理解して付与できる場所や付与魔法の種類を選択していく作業を経て付与していくらしい。
魔法付与を施された剣と普通の剣を並べて違いを説明してくれる。
見た目に大きな違いはないが、付与魔法の施された剣の刃の根元にこちらの文字で火を表す言葉が掘り込まれている。
教えてもらったとおりに、まだ付与魔法の施されていないほうの剣を手に取り準備をしていく。
「素材は鉄製、持ち手には皮を巻いてある。」
「鞘は木製、鉄で装飾をしてある。」
「なら付与できる個所は・・・」
ぶつぶつと、ユウキは教えられた通りに付与魔法をかけていく。
魔法がかかっていくたびにその魔法の属性の色で剣が光っていき、付与された魔法文字が剣に刻まれていく。
「えっ・・・ちょっ・・・
ええええええええええええっ!!!」
サランは、丸メガネの奥の目をメガネの大きさと同じくらい大きく丸くして驚いている。
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