第19話 隷属魔法


砦で待っていたオーク・キングは、取り敢えず殴らないと気が済まないほど苛立っており、拳を握りしめながら大広間へ向かう。


凄惨な光景に自分の目を疑うのであった。


「なっ…なんじゃこりゃ…」



第19話 隷属魔法


大広間に帰ってこれたものに、ゴブリンの姿はなく、命からがら帰ってこれた数匹のオークにしても四肢が満足に残っているものもほとんどいなかった…。


「な、何が起きた!

今の人間の勢力で我らに勝てるものなどいないはず…

何万の軍隊に襲われたんだ!?」


ボロボロのオークの中でも、両手だけの欠損で済んでいた隊長に確認する。


強靭な精神で、物事に動じないオーク族でありしかも一部隊の隊長に任命していた者が…


顔面蒼白になり、自分の手であろうものを口に咥えたまま目が虚ろな状態である。


話しかけても答えは聞き取れないが、一言…


「赤ん坊…が…」


と言い残して、絶命した…。


「な、何がこの森に現れたんだ…。


赤ん坊…?


意識が混濁してしまったのか…?


お前の赤ん坊は無事立派な戦士に育てるから安心しろ!」


先日このオークが種付けした女の腹にいる赤子の事であろうと思い、弔いの言葉とした。


前線に出せる部隊が消滅してしまった事に気づき、暫くは今いる女達を使い部隊の作り直しをしなければならないなと


「エンペラーになんと伝えれば…。」


頭を抱えながら他のキング達と相談し、このことは暫く伏せておく事にした。



~闇の森~


「一直線にみんな逃げるってことは

あっちが住処なんだろうな。」


逃げた方向に再度、【龍線】を放ち敵が来ないことを確認してくノ一の様子を見る事にした。


『龍線のレベルが上限に達しました。

【魔竜線】へ進化しました。』


『レベルアップ!

レベル1→53

各ステータスにレベル×100の補正』


『ゴブリンを一定数倒したため

【ゴブリン・キラー】

の称号を獲得。

ゴブリンに対して必中を獲得。』


『オークを一定数倒したため

【オーク・キラー】

の称号を獲得。

オークに対して必中を獲得。』


『女性を救った事により

【隷属魔法】

を獲得。』


『木々を一定数倒したため

【森林の破壊者】

の称号を獲得。

森にいる魔族から恐怖の対象とされる。』


なんか色々とツッコミ所が満載ではあるが、そろそろ帰らないと母親が起きてしまう…。


くノ一はまだ眠った状態である。


流石に連れて帰るわけにはいかないため、くノ一には、助けた見返りにというわけではないが


何かあった時に助けてもらおうと、先ほど覚えた【隷属魔法】をかけてから置いて帰ることにした。


『強制隷属完了しました。

種族 ヒューマン 年齢 15才 職業 くノ一

レベル 5 武器 花鳥風月 防具 くノ一装備』


頭の中に、くノ一の情報が流れ込んでくる。

強制…


悪いことしちゃったかな?


名前や詳しいステータスまでは分からないようであるが、後々この魔法のことも理解できる日が来るのではと期待する。

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