剣と魔法と・・・時々アスパラガス〜ユウキの異世界転生記〜
mosurapapa
第1話 かつ丼とアスパラガス
プロローグ
「こんにちは〜!!」
元気なこどもたちの声が聞こえる。
「こんにちわ~!みんな、今日も元気ねー!」
これまた元気な下宿先のおばちゃんの声がする。
『もう、下校時間か…』
眠たい目をこすりながらも、今日も一日グータラな生活を送ってしまったことを後悔していない自分がいる。
高校を卒業してからいろいろな夢を見て、鹿児島から東京に出てきて大学に入れたまでは良かったが、サークル活動に明け暮れてサークル内恋愛も経験して楽しい大学生生活をと思った矢先に振られて引きこもってしまっている。
しばらくは仕送りをしてくれていた両親にも、引きこもっていることがばれて以来、見放されて仕送りを止められた。妹からのラインも、来なくなり先日久しぶりにこちらから送ってみたが、いまだに既読にならない・・・。
人に会いたくない僕は普通のバイトもできず、週に3日だけ下宿先の一階にある食堂で、表に出なくてもいい皿洗いだけさせてもらっておばさんの好意で食事と部屋だけは貸してもらっている。
子供たちの声を聴き、もう下校時間なのかと考えながら、朝から点けっぱなしの見ていないTVをぼーっとしながら眺めていると、
「ご飯食べにおいでー!」
おばさんの元気な大きな声が聞こえてきた。慌てて、パジャマを着替えて一階の食堂に降りる。いつも、食堂の休憩時間の3時半ごろが食事を摂る時間になってしまっている。
いつもの好物であるカツ丼をお願いする。お手伝いの週3日以外は、特に空腹も感じないため1日一食で済む。野菜は嫌…苦手であるため別に無くてもいいのだがおばさんが食べろとサラダを必ず付けてくる。
今日は、アスパラガスを湯がいてマヨネーズを添えたものが付いている。
『アスパラガスかぁ…』
食わず嫌いでもあるのだが…本気で苦手…。
今までの生涯で一度も口にした事も正直近づく事もなかった食材である。
しかし、残すとかなり悲しそうな顔をされてしまうので、後で食べるからとカツ丼だけ食べて部屋に持ち帰る事にする。
『さてと・・・』
いつもの様にパソコンの画面の前に座り電源を入れる。夕方になり薄暗くなってきた部屋に少しずつパソコンの画面の明るさが広がっていく。
唯一の楽しみであるゲーム。
この歳になって、ゲームが唯一の楽しみとか悲しくなる表現だが初恋、初恋愛、初失恋。そして居場所がなくなったサークルからの逃げ場としてはこんなとこだろうと半ば諦めてゲームにのめり込んでしまった。
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