Powerlessness

床町宇梨穂

Powerlessness

一人の女の子がとても傷ついている。

そして僕は彼女の事をとても大切に思っている。

でも僕が彼女にしてあげられる事は何も無い。

優しい言葉で励ましてあげる事もできない。

黙って肩を抱いてあげる事もできない。

思いっきり泣かせてあげる事すらできない。

そう、僕にできる事は何も無い・・・。

無力感・・・。

常に人々はこんな事を感じているのかもしれない。

そして僕もその人々の一人として、今それを感じている。

彼女は笑顔にならなきゃって無理して鏡を見つめている。

少し引きつった顔が彼女自身を余計に悲しませている。

顔色が悪いから、ファンデーションを変えてみた。

シャドウもあまりはっきり書くのをやめた。

口紅だって流行に逆らって明るい色を引いた。

髪の毛だって気合を入れて巻いてみた。

彼女はまた鏡を見た。

そこには少しだけポップになった彼女がいた。

でも僕にはその彼女の姿が余計に辛く思えてしまう。

泣きたい時は泣けばいい。

悲しい時は思いっきり悲しんだらいい。

楽しい事がそう長く続かない様に、辛い事だってそんなに続くものじゃないんだ。

だから、今のうちに自分自身の感情を素直に受け入れてみるんだ。

そうすれば、君はまた美しくなってゆく。

宇宙の果てはいまだに見つからない。

そして、僕には君の魅力の限界が見つからない。

君はまだまだ美しくなれるはずだ。

僕は君のために何一つできないけれど、君はきっと今までよりももっと素敵な女性になっているはずだ。

空はいつも灰色ではない。

空気だっていつも濁ってるわけじゃない。

雨だっていつかは止む。

いつかは・・・。

ほら、もう君は三日前より美しくなっている。

君の魅力には限界なんて無いんだ・・・・・・。

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Powerlessness 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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