と─トマト

 ある日、トマトは思った。なぜ、私は赤いのだろう…、と。野菜は緑色が多いのにトマトだけが赤だからだ。トマトはスーパーの棚から転がり落ちて、外に出た。外は坂だらけだったのでずっと転がって行った。そして、海に落ちてしまった。トマトは色々な色形の海草や魚を見て楽しんだ。そうしているうちに游いでいる魚の大きさが大きくなっていった。そして、トマトは正面から見ると楕円形で横から見ると円のようになっている魚…、つまりマンボウを見つけた。トマトはマンボウの口に触ってみた。マンボウは落ち着いて游いでいた。その時、トマトは遠くにサメを見た。

「あれがサメかぁ。」

と思っていたが次の瞬間には目の前にサメがいたのでとても驚いた。サメは言った。

「おまえは丘の上のスーパーから逃げたトマトだろ?早く戻らないとこの俺様が喰ってやる!!」

トマトは叫んだ。

すると、驚くべきことが起こった。大量の海水が一瞬にしてなくなり、その代わりに、目の前にはギロチンが現れた。トマトはとても怖くなった。そのギロチンの横にはブロッコリーやキャベツや人参、キュウリ、黄色のパプリカ、ピーマンなどがいて、皆トマトを睨み付けていた。トマトが1つ足りなかったというだけでスーパーは閉まってしまい、警察が捜査をし始めたので野菜の新鮮さがなくなってしまったのである。だから皆は怒って、トマトをギロチンで殺そうと思い、ここにいるのであった。トマトは数秒で全てを察してギロチンの前までフラフラとした足取りで歩いてきた。そして、トマトの上半分を入れた時に…、赤い汁が飛び散った…。


(関連している小説『苺』)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る