第5話 回想そして現在

「まだ…とってたのかよ…」


嬉しいのともどがしさが

心いっぱいに広がる


折り紙を初めて一人で

折ることの出来た折り紙


〜回想〜


「よーちがんばりゅじょ」


張り切って折り紙で工作する

幼い日の僕


上手く折れなくて泣いて

たくさん折り紙使って

母に怒られた


母にあと一枚だけとねだって

やっと上手く折れた


母は冷たい視線で

「誰も喜ぶわけないでしょそんなの」

そのまま買い物に行った


泣いたらダメだ。おにいちゃんに

渡しに行かなきゃ

誕生日おめでとうって言うんだ



「おにいちゃん…あのね…」


優しい笑顔で僕を見てくれるお兄ちゃん


「おにいちゃん、わたちね

 おりがみでねつくったのあげりゅ」



「ありがとう。実沙子

 わぁい。口紅だ

 宝物にするね」


優しい笑顔でぎゅっとしてくれた


そうだ


「兄貴は…優しかった

 僕が劣等感抱いて突き放した

 ごめん……ごめんなさい

 お兄ちゃん…私…」


「謝らくていいよ俺も悪かった

 実沙子が作ってくれた宝物が

 あるから俺は俺でいられるんだよ」


だからありがとうって涙目な笑顔で


「お…お兄ちゃん…ありがとう

 そして史也さんも

 ありがとうございます」


「長い兄妹喧嘩も終わりか?」


史也さんの一言で三人して笑った



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