第4話 復讐

僕は、息を殺して時を伺う

30 分くらい経った頃に

兄貴は帰ってきた


兄貴が部屋に入った音を確認してから

僕は兄貴の部屋にゆっくりと近づく

この時は、まだ気がついていなかった


僕は勢い良く扉を開けて

握り締めていた、アイスピックを

力の限り振り下ろした


だがアイスピックは床に刺さり

僕は体勢を崩した

体勢を直し、アイスピックを

抜こうと思ったら


「ストップ。」


声がした

兄貴の声じゃない

なんで?なんで居るの?


「どうして史也さんが居るの?」


史也さんは鋭い声で


「それは…実沙子が

 復讐することを

 知ってしまったからだ

 もし、復讐を続行するなら

 俺は実沙子を軽蔑する」


僕は泣き崩れた

数少ない僕の、

友人を失いたくない

軽蔑されたくない

認められただけなのに


「コレさ、実沙子が小さい時に

 “おにいちゃん、わたちね

 おりがみでねつくったのあげりゅ”

 そう言いながらくれた

 口紅とか覚えてる?」


ふわっとした優しい

兄貴の声が聞こえてきたんだ


「えっ?」

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