お兄ちゃん3

まきもの

第1話 始まり

『たみ子くらい可愛いくなったら

相手してやるよ。出直してきな』


ゲラゲラと笑い声と

屈辱感を与えるには

充分な言葉


大好きだった人に言われた言葉

未だに消えてくれない


笑い声が聞こえるだけで蘇る記憶


クソ、どいつもこいつも

たみ子 たみ子 って


僕は、たみ子なんかより可愛いくない

だけど僕は、生物学的に女だ


たみ子はオトコの娘。悔しくて仕方ない

可愛いさでは兄貴に負ける


だけど…たみ子と比べないで


産まれてから14年

物心ついた時にはずっと言われてる


親からも友達も

大好きだった片野くんも

先輩も後輩も

どいつもこいつもみんな

僕に哀れな目を向けてくる


兄貴が僕に向ける優越感に浸るような

見下したような目で僕をみる


もう耐えられない…


僕が僕で居るためには…復讐しかない


間違えてると言われても


復讐しなきゃ気が済まない


これから復讐の準備の為に


始めなきゃ


血を流さず心に痛みを

屈辱感を味わってもらいたい


そうだとりあえず


あの人に相談

いやそれは最後にしておこう

友達が少ない僕にとって貴重な存在だ


うじうじしてらんない


とりあえず今夜は兄貴はいない情報収集だ

そしてせっせとやさがし

けど何にも出てこない

出てくるのは折り紙で作られた

口紅とファンデションコンパクト

なんか見覚えのある髪飾り


「バカにしてんのかクソ」


思わず呟いた

萎えたからもう寝よっと

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