虹戦記 ~レジェンド・オブ・レインボー~

賢者テラ

序章



【序】



 世界が出現する前、宇宙の大本である「幻無」あり。



 その幻無より出でし、五つの神々あり。

 火、水、大地、風、光。それぞれを司る精霊が、それぞれに国を誕生させた。

 火の精霊の創りし、炎羅国。

 水の精霊の創りし、氷水国。

 大地の精霊の創りし、金郷国。

 風の精霊の創りし、風雷国。

 光の精霊が作りし、七波国。

 光の精霊が中心となりて、5つの国は栄えた。



 しかし突然現れた「黒死王」率いる影の化身の軍団により、幻無の宇宙は混沌の戦場と化した。五つの精霊は力を合わせて戦うも、黒死王の強さにただ消耗するのみで、勝機を見出せず力尽きるのも時間の問題となったその時……

 光の精霊が、最後の切り札としての宇宙最強の魔装具「虹の杖」の力を使い切って世界を守るも、自身の命と引き換えになった。果てしない昔の神話である。



 五つの精霊を実際に見た者は、誰もいない。

 それでも、我らは誇りをもって信仰する。火の精霊は、間違いなくこの炎羅国を創造し興した創始者にして神であり、今でもこの国を統べるにふさわしい王家の血筋の者を祝福し、その血の中に住まわれるのだ、と。

 そして、かつて世界を救いし「虹の杖」が、光の精霊消滅以後、我が炎羅国のどこかに隠され、存在しているらしいという王家に伝わる伝承がある。



 なぜ、虹の杖のありかが、元の持ち主である光の精霊のいる七波国でないのか、誰にも分からない。




 ~炎羅国に伝わる古文書『炎精伝・創世の章』より抜粋~

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