八日目

8-1 いつもどおりな土曜の朝

いつものように朝が来る。

窓の外ではチチチと鳥が鳴き、枕元ではスマホがピピピと鳴っていない。

といっても、スマホのアラームをつけ忘れたわけではない。

今日はゆっくり寝ていてもいい日なのだ。

なぜなら、土曜日だからな。


「Zzz……Zzz……Zzz……」


いつもの習慣で少しだけ目覚めかけた意識が、再び眠りの中に沈んでいく。

そして心地いいまどろみの中でしばらくたゆたっていると……。


「起きて~。朝だよ~」


コンコンと柔らかいノックのあと、咲が扉越しに声をかけてくる。

時間に追われていない土曜の朝は、咲もいつものように無理に俺を起こそうとはしてこない。

半ば確認のような感じで、声をかけてくるだけ。

そして大抵の場合は、俺はこの声を目覚まし代わりにして目を覚ます。


「起きた~」

「ん~、じゃあ朝食の準備しとくね~」

「おーう」


短いやりとりのあと、トントントントンと咲が階段を降りていく。


「さて」


俺は寝覚めのぼーっとした感じを振り払うように少しだけ気合を入れながら、ベッドの上に身体を起こす。


「んー」


天井に向かって両腕を広げ、身体の中に新しい酸素を取り入れる。

頭の中が少しずつクリアになっていき、俺の一日がはじまっていく。

カーテンを開け、朝の光を部屋に取り入れた。


「えーっと……」


いつもなら制服に着替えるが、今日はそうではない。

なぜなら、今日は土曜日だからだ。


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