黒闇家
瀬川
プロローグ
とある街の、丘の上。
そこには、大きな洋風のお屋敷が建っていた。
住んでいるのは、夫婦とその子供二人。名字は黒闇。
他にも何人か住んでいるのだが、誰もその姿を見たことは無い。
近所の人達は彼等の不思議な行動に、たまに驚かされるが特に問題視はしていなかった。丘の上という離れた場所に住んでいるのと、実害があるわけでは無かったからだ。
だから親しく付き合いもせず、当たり障りなく過ごしていた。
そして、その行動は正しい。
平和に生きている人達は、何も知らない。
彼等の恐ろしい性格と、本性を。
知らないからこそ、のんびりと彼等の近くに住んでいられた。
しかし、たまに深く関わってしまう人は出てくる。
そういう人達は、いつの間にか消えてしまう。
そして誰も変だとは思わず、記憶からも消え去っていく。
陰に、一家の存在があるとは知らず。
これからも平和に過ごしたいのならば、この家族には関わるべきではない。
この街で生きていくために、絶対に守らなくてはならない約束だ。
関わったら最後、彼等という闇にのまれて消える運命を迎えるだけなのだから。
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