サラマンダア×マンダラ ~ 神代に在りし最強の魔龍は、現世に人となりて惑う ~

大根入道

赤龍

 全ての息吹が神の理の中に在った頃。

 果ての無い海と、尽きぬ大陸のある場所で一匹の赤い龍が産声を上げた。


 赤龍は億千の戦いを繰り広げ、千年の時を生きた。


 数多の聖なる存在もの、邪なる存在ものに勝利を収めた。

 長き身体は空を翔け、輝く鱗は海を駆け、大地にはその声が届かぬ場所は無かった。

 

 ある日。


 赤龍は一人の少女と出会った。

 人同士の戦場の後にただ一人残された少女は、赤龍を恐れ忌むことはなかった。

 

 赤龍の側に白い髪と碧の瞳の少女が寄り添うようになって、また千年が経った。

 人の世から多くの存在もの達が去って行った。

 赤龍と少女の姿も、彼らの住処としていた庵より消えた。


 戦いの果てに命が尽きたのか。

 あるいは永遠に等しき天寿を全うしたのか。


 それを知る者はいなかった。 


 そして更に長い時が経ち、人はみな彼らのことを忘れてしまった。


 そして今。

 人の満ちる世界となった現代では、鉄の臭いと共に生きる人の生に神秘は遠いものとなった。

 科学という力、そして信仰の中で人は生きるようになった。


 それでも、いやだからこそか、神秘の残り香を求めて彷徨う者達がいる。

 

 表の社会と裏の社会で、『神代の力』を振りかざし、権勢を得る者達。

 絶えざる闘争は、危難の世となったことで、また激しさを増した。


 蘇りし赤龍。

 そしてそれを手にした者が現れた時、人ならざる存在もの達の戦いが、再びその幕を開ける。


 

 

 


 

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